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天才魔術師の私が、異世界から勇者様を召喚するまで  作者: 楚々園 ゆるぎ
七章 転移魔術を作ろう!

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Retrace:76 私の魔術理論 その③

「ノルン様、何をしているんですか?」


「貴方にも原理が分かりやすいように、似たような現象を見せてあげようと思ってね。その準備をしているのよ」


 どうやって私の魔術が適正属性以外の魔力を操っているのか。

 それを直接口頭で説明するより、分かりやすい例を見せてあげた方がネルファにとっても理解しやすいだろう。

 そう思った私は、早速その準備を始めた。


 何も大掛かりな実演ではない。

 そこまで時間も手間もかからない。


 まず私は魔術で、少し平らな容器を作り出す。

 そして、そこに生成した土を底が見えない程度に敷き詰めた。


「これでよしっと。さあネルファ、見やすいようにもう少し寄りなさい」


「分かりました」


 指示通りに近寄ったネルファは、私の正面から不思議そうに容器の中にある土を眺めた。


「それじゃあ、今から実演して見せるわ。これを見れば、私の作った魔術が何故外部魔力を利用出来るのか、その原理がハッキリ分かる筈よ」


 そう言って、私はネルファの前で片手を容器の土の上にかざした。

 あくまでかざしただけで、中の土には触れてはいない。


「しっかり見てなさいよ」


 私はゆっくりとその手を動かしていく。

 すると、土の表面が私の動きに合わせて移動し始めた。


 まるで引き寄せられるように、砂が手の進路に合わせて波打っていく。

 直接触れて無いのにも関わらず――だ。


「実は今、この手は魔術によって軽い磁石状態になっているの。あっ、磁石って何か知ってるわよね?」


「流石にそれくらいは分かります」


 まあ磁石くらい知ってるわよね。

 ちょっとネルファを馬鹿にし過ぎかも。

 気を取り直して、私は説明を続ける。


「それでこの容器に入った土の中には、少しだけ砂鉄を混ぜてあるわ。だから磁石になった私の手に引き寄せられるように、土の表面が動いているの」


「ほう」


「つまりね、今の私は沢山の土の中から、鉄だけを操っている状態なの」


 この実験みたいなものは、実に単純なものだ。

 土の中に少しだけ混ぜておいた砂鉄を、磁石によって移動させる。

 たったそれだけのものだ。


 でも、私はこれをネルファに見せたかった。

 何故なら今実演してみせたこれこそが、私の魔術理論の肝なのだから。


「注目して欲しいのは、磁石に引き寄せられた鉄じゃないわ。鉄が引き寄せられたことによって()()()()を見て欲しいのよ」


「動いた砂の方ですか?」


「ええ、そうよ」


 鉄が移動したことによって、その周囲の砂も動いている。

 鉄に押されるような形で動いているのだ。


「ピンと来ないかしら? 何故、私の魔術が外部魔力を利用出来るのか。何故、適正属性以外の魔術を使えるのか。その答えは、全てここに詰まっているわ」


 私はドヤ顔でそう言った。

 すると、ネルファは顎に手を当てて考え始めた。


「……」


 黙って考えるネルファ。

 それをジッと見つめる私。


 説明をただ聞いてる時の覇気の無い顔とは違って、今の考え込むネルファの顔はとてもクールだ。

 考えてる時の顔がこれなら、普段の彼女はどんだけ頭を使っていないのよ……。

 珍しいネルファの思案顔を堪能する私だったが、しばらくして彼女はこう口にした。


「ノルン様、もしかしてこの土は、一般的な外部魔力の状態を見立てているんですか?」


「そうよ」


 私が頷くと、ネルファの表情は確信したものに変わった。


「外部魔力を土だとすると、つまり鉄はその人の適正属性の魔力に見立てているということなんですね?」


「ええ、その認識で合ってるわ。貴方で例えると、鉄が適正属性の火で、土はそれ以外の属性ってことになるわね」


 ネルファの魔術適正は火属性だけ。

 つまり、鉄=火属性という認識で合っている。


 そして、鉄を含んだ容器内の土は外部魔力そのものだ。

 あらゆる属性が混ざった状態を、私はこの土で表現したのである。


「私の魔術が、扱えない筈の属性すらも操れる理由は簡単よ。魔力を()()()じゃなくて、()()()に操っているのよ」


 魔力は砂粒だ。

 大気中にこの砂のように集まっている。


 私の魔術はそんな砂粒の中から、まずは適正属性のある砂粒だけを操作する。

 魔術適正のある属性なら、人は操れるからだ。


 そして、一種類の砂粒を操作出来さえすれば、砂粒の動きに押し出されるようにして、直接動かせない筈の砂粒まで動かせてしまう。

 間接的にだが、別の属性の魔力までもを操ることが出来るのだ。


「まあこの土の例は極端に見せてるだけで、実際はもっと複雑なんだけどね。でも、これで私の開発した魔術がどれだけ優れているものなのかを、しっかり理解出来たんじゃないかしら?」


「はい。言われてみれば単純な発想ですけど、それを実際に魔術の形として落とし込むなんて、ノルン様は流石です!」


「どう? 惚れ直したかしら?」


「はい! 大好きです!」


 だ、大好きだって……。

 面と向かってハッキリ言われると、正直ちょっと照れるわね。


 まあ今回ネルファに教えたのは、あくまで基礎的な理論の部分である。

 ベーシックな魔術と私の魔術とでは、これ以外にも機能面で多くの違いが存在するのだ。


 でも、その説明はまたの機会にしておこう。

 これ以上解説すると、ネルファの頭が爆発しそうだしね。

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