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天才魔術師の私が、異世界から勇者様を召喚するまで  作者: 楚々園 ゆるぎ
七章 転移魔術を作ろう!

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Retrace:75 私の魔術理論 その②

 私はネルファに魔術ついて教えることになった。


「まず、そうね……。貴方には外部魔力と内部魔力の説明からした方が良さそうね」


「外部魔力と内部魔力ですか?」


「ええ、聞いたことは無いかしら?」


「いえ、あります。外部魔力とは人体の外にある魔力のことで、逆に内部魔力とは人体の内にある魔力――ですよね?」


「凄いじゃない! 正解よ!」


 ネルファの言葉に、私はとても感動してしまった。

 まさか脳筋の彼女から、こんな完璧な回答が飛び出すとは……。

 まあでも、こんな事は魔術を使えない人でも知ってるような常識なんだけどね。


「外部魔力と内部魔力の違いが分かっているなら、私も説明しやすいわ」


 外部魔力と内部魔力。

 この二つの魔力の違いは、先程ネルファが口にした通りである。


 元々大気中には沢山の魔力が存在する。

 霊地と呼ばれるような場所は、その魔力濃度が非常に高い土地なのだ。

 そんな魔力を外部魔力と言う。


 一方で内部魔力とは、人体の内部に存在する魔力のことだ。

 一般的な魔術師が魔術を行使する場合は、この内部魔力を使うことになる。


 人体の外にあるのが外部魔力。

 人体の内にあるのが内部魔力。


 この二つの魔力はそれぞれ異なった状態で存在している。

 それをこれから説明していこう。


「外部魔力と内部魔力はね、それぞれ違う性質を持っているの。具体的に言うと、それは魔力の種類に関する違いになるわ」


「二つの魔力には、その種類に違いがあるんですか?」


 ネルファの質問に、私は答える。


「ええ、そうよ。まず外部魔力はね、色々な属性の魔力が大気中に混ざった状態で存在しているの。逆に内部魔力の方はというと、その人物の持つ魔術適正に該当する属性しか体内に存在しないのよ」


「つまり、火にしか適正の無い私の内部魔力は、全て火属性の魔力なのですか?」


「その通りよ。適正属性が一つしかないネルファの場合は、体内には火属性の魔力だけになるわ。二つ適正属性のある人の場合は、その二つが混ざった状態という訳ね」


「なるほどー」


 呆けた顔でそう口にするネルファ。

 うーん、今のところ理解してそうだけど、やっぱりこの顔は不安になるわね。


「それでここからが肝心なんだけど、人間にはそれぞれ魔術適正というものが存在するわ。これはつまり、適正の無い属性の魔力は操れないって性質のことね。事実として人間は大気中から魔力を取り込んだ時、適正の無い魔力を排除してしまう為に、内部魔力は全て適正属性のみで統一されちゃうんだけど……」


 つまり、魔術適正の無い属性は操れない。

 それは人体自体がその体に適応しない魔力を拒絶してしまう為だ。

 結果として、内部魔力はその者の魔術適正の属性で統一されるのである。


「従来のやり方で魔術を使う場合、適正属性以外の魔術は使えないし、魔術を使えば当然体内の魔力が減る。ここまで話せば、従来型の魔術の仕組みは大体予想出来るでしょ?」


「従来の魔術のやり方だと、体の中にある内部魔力の方を使っているんですね!」


「そうよ。適正属性で統一された内部魔力を使い、魔術師はその属性の魔術を行使する。それが常識的な魔術の仕組みよ」


「それではノルン様の開発した魔術の場合だと……」


「ええ、私の作った魔術はその真逆。内部魔力よりも外部魔力をメインとして消費しているわ。だからこそ、従来の魔術よりも魔力の消費が大幅に少なく、更に燃費が良い分だけ威力も高い」


 完全に外部魔力だけに頼った仕組みではないけれど、私の魔術の場合だと内部魔力の消費は極端に少ない。


「具体的に数値で表すと、外部魔力を使ったことにより、魔術の威力は類似した従来のものより10倍も向上。消費魔力も従来のおよそ1/100まで抑えられたわ」


「威力が10倍!? 消費魔力が1/100!? そんなに凄かったんですか!」


「そうよ。使っていて分からないものなの?」


 結構分かりやすい違いだとは思うんだけどね。


「すいません。私の場合、全力で魔術を使う機会は殆どありませんから」


「確かに貴方が強力な魔術を放てるような状況って、これまで一度も無かったわね」


 ネルファは一番戦闘力があるが故に、中々戦わせられる機会がない。

 それって何だが矛盾してるわね……。


 でも、ネルファの強さって本当に世界最高レベルだし。

 彼女がある程度手加減無しで戦える状況って、これからも無さそうね。


「人体の内にしか無い内部魔力より、大気中にある外部魔力の方が沢山あるのは明らかだわ。その点でも、外部魔力を使えば魔力切れなんて状況とはほぼ無縁ね」


 私の開発した魔術なら、魔力切れはぼぼ起きない。

 何故なら、魔力は常に外から供給されているからだ。

 ネルファは言った。


「ノルン様が開発した魔術は、外部魔力を基本に使っているということは分かりました。ですが、そもそもどうやって外部魔力を使っているんですか? 適正のある属性以外の魔力は、人間には扱えないんでしたよね?」


 そう。

 前提として、人間は適正属性以外の魔力は操れない。

 つまり、あらゆる属性が混ざった状態の外部魔力は本来扱えない筈なのだ。


「その質問を待っていたわ。私の作った魔術の肝の部分は、本来なら人間が扱えない外部魔力をどうやって利用可能にしているのか――よ」


 私は言葉を続けた。


「そもそも人間が外部魔力を使えない理由は、適正属性以外の魔力を操れないからよ。要は適正属性以外の魔力さえ操れれば、外部魔力も自由に扱える。そうは思わない?」


 ニヤリの笑った私に、ネルファは眉をひそめて尋ねてきた。


「……適正属性以外の魔力を操るなんて、そんなことが可能なんですか?」


 人は生まれついた適正属性の魔力しか操れない。

 それはこの世界の常識となっている。

 だが、私にその常識は通じない。


「可能よ。寧ろ、誰もが操れないと決め付けていること自体が、私には昔から疑問だったのよね。だって一種でも魔力を操れるというのなら、それは全ての属性を操れることと同じだもの」


 何故、誰もが常識を疑わないのか?

 私は小さい頃から疑問だった。


 どんな魔術の研究者も決め付けている。

 世界の常識に囚われている。

 でも、私は少しだけ発想を変えた。


「これから教えてあげるわ。どうやって適正属性以外の魔力を操るのかを――」

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