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天才魔術師の私が、異世界から勇者様を召喚するまで  作者: 楚々園 ゆるぎ
五章 地下迷宮を攻略しよう!

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Retrace:55 迷宮内での遭遇

 私はいつも通り、トワリアル地下迷宮を訪れていた。

 迷宮に潜る際の格好は、かなり身軽だ。


 大抵の困ったことは魔術で解決できる為、大きな持ち物といえば腰に差している聖剣だけだった。

 ちなみに私が今のところ攻略出来たのは、七層までである。


 ベテラン冒険者でも五層で活動するのがやっとだと聞いていたので、私はかなり早いペースで迷宮を攻略出来ていた。


 目的の十層まではあと少しだが、問題なのは七層の地図が存在しないことだ。

 上層は冒険者達が多く活動している為、迷宮内部の道順がかなり網羅されている。


 しかし、七層を訪れる冒険者は殆どいない。

 そのため下層を攻略するには、自力での探索が必要なのだ。


 それに五層以下になると、魔物の強さが上層とは桁違いになってきた。

 とは言っても、私の敵ではないのは確かだ。


 それでも魔物と出会う度に時間を消費させられ、それが迷宮探索の妨げになっている。

 このペースでは、十層まで行くのにどれだけの時間が必要なのか。


 そもそもこの地下迷宮に生息する魔物は、毎日多くの冒険者達に狩られているにも関わらず、一向にいなくなる気配がない。

 巣などがあるというのは分かるが、そのことに関しては流石に違和感があった。


 そもそもこの地下迷宮は、一体何なのだろうか?

 古代の遺跡だと聞いているが、建物内にここまでの複雑な迷路を作る必要は感じない。


 トワリアル地下迷路の構造としては、ピラミッドを逆向きにした形だ。

 そのため必然的に下層ほどエリアが狭くなるが、その分だけ魔物の強さが上がるようになっている。


 そんなトワリアル地下迷路の第一層。

 その誰もいない通路で、私はスッと息を吸い込んだ。


「……」


 魔術を行使し、全身の身体機能を強化する。

 これでどれだけ走っても疲れない。


 上層をまったりと歩いている時間が勿体ない。

 私はスカートの裾を摘まみ、脇目も振らずに走り出した。


 七層までの道のりは暗記している為、通路内では魔物が道を塞いでない限りは止まることはない。

 ただし一つの階層の終点では、流石に走るのは控えている。


 その理由は、次の層へ下る階段前にはそれなりにスペースがあり、多くの冒険者が休憩しているからだ。

 そこを走って通過するのは、あまりに目立つ。


 私は特に問題も無く、いつものように五層まで降りた。

 ここから魔物が強くなっていくエリアだ。


 別に戦っても問題ないが、出来る限りの戦闘は避けたい。

 私が駆け足で五層を進んでいると、今までの魔物とは違う気配を感じた。


 その直後、私の耳に男の声が聞こえた。


「そっちに向かったぞ! 例の魔物だ!」


 例の魔物……?

 私は思わず眉を潜める。


 すると私の進行方向に、杖を構えた女性が立っていた。


「任せて下さい!」


 女性の声と共に、通路を塞ぐように炎の壁が出現する。


 これは魔術ですか……?


 私は急ブレーキを掛け、仕方なくその場に立ち止まる。

 すると、そんな私目掛けて肉薄する男の影が見えた。


「オラァ――!」


 茶髪の男が掛け声と共に、私に向かって剣を振るう。

 その刀身は青い稲妻を纏っており、私は咄嗟に受け止めるのは困難だと判断した。

 私は強化したままの身体能力を生かし、半身を反らしてその斬撃を回避する。


「コイツ、俺の一撃を――」


 男の目に驚愕が浮かぶ。

 私があっさりと避けたことがそんなに意外だったのだろうか。


 しかし、茶髪の男は再び動く。

 滑らかな動作で体勢を整え、手にした剣を再び私に振るってきた。


 眼前に剣が迫る。

 並みの冒険者ならば即死するような必殺の剣を、スローモーションの中で私は冷静に見つめていた。


 後少しで、その刃が私に届く。

 そこに声が飛んできた。


「ラッシュ待て!」


 ピタリ――と私の鼻先で、男の剣が動きを止める。

 目の前に剣を突き付けられた私は、その場から下手に動くことはしなかった。


 そこに慌てて駆け付けたのは、くすんだ赤髪の青年だ。

 剣を突き付けられている私を見て、彼は男に向かって口にする。


「よく見ろ、ラッシュ。彼女は魔物なんかじゃない。どうみても人間だ」


 彼のその言葉に、男は大人しく剣を下ろした。


「悪ぃ……。剣を避けられて、ついカッとなってたわ」


 茶髪の男はそう言って、私の傍から離れた。

 そして、遅れて彼ら以外の二人がこの場にやって来る。


 先程の杖を持った女性と、軍服を着た少女だ。

 その二人を見て、私は今更ながら気が付いた。


 くすんだ赤髪の青年が、見覚えのある顔付きであることに。

 そう、彼はあの勇者アイクだった。


 そして残りの彼らも、ギルドで一度見掛けた勇者パーティーのメンバー達だったのだ。

 その豪華な面子に突然取り囲まれ、私は内心困惑していた。


 これは一体どういう状況なのでしょう?

 何だかよく分かりませんが、面倒なことになってきましたね……。

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