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天才魔術師の私が、異世界から勇者様を召喚するまで  作者: 楚々園 ゆるぎ
五章 地下迷宮を攻略しよう!

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Retrace:48 迷宮探索

 冒険者登録をした翌日、私は一人でトワリアル地下迷宮に潜っていた。

 この迷宮は都市の中央に位置し、毎日多くの冒険者が訪れる。


 とりあえず私は慣らしのつもりで、まずは地下迷宮の一層を探索してみることにした。

 適当な鞘に収めた太陽剣・ガラティーンを腰に差し、私は迷宮内を進んでいく。


 迷宮内部は薄暗いものの、壁面がところどころ光っているので光源に関しては問題は無かった。

 ただ気になるのは、すれ違う冒険者パーティーが驚きの表情で私を見てくることだ。


 やはりメイドがパーティーも組まず、一人で迷宮内を歩いているのは、誰の目にも異質に映るようである。

 そんな事を考えていると、前方から物音が聞こえてきた。


「……魔物ですか」


 私は面倒だと、息を吐いた。

 目の前に現れたのは、巨大なアリだ。


 グランドアント。

 たしかそんな名前の魔物だった気がする。

 低級の魔物で、この迷宮内にはこのアリが多く生息しているようだ。


「ギギギ……」


 グランドアントは顎を擦り、耳障りな音を鳴らした。


「仕方ありませんね」


 迷宮内の通路は狭い。

 面倒だが、遭遇した魔物とは戦うしか無さそうだ。


 唯一の武装である太陽剣を抜き、私は目の前の魔物に対峙した。

 正直このアリにこの聖剣を使う必要は感じないが、いい機会なのでここで試し斬りをしておこう。


 手にしたガラティーンの黄金の剣身は、暗い迷宮内であっても抜群の存在感だ。

 ただし明らかに目立ち過ぎるので、他人が見ている時は使うのを控えるべきだろうが、ちょうど周囲に人はいない。


「――」


 スッと息を吸い、私はグランドアントに向かって剣を振るった。

 そもそも私は剣士ではない。

 ある程度の基礎は学んでいるが、剣を振るのは久し振りだった。


 聖剣は鮮やかな弧を描き、巨大アリの胴と頭を二つに斬り飛ばす。

 鋭い切れ味だ。


 姫様がほったらかしにしていたとしても、本来の切れ味は落ちていないようである。

 それから私は、次々と遭遇するアリ達を斬り捨てていった。


 所詮は低級の魔物。

 たとえ群れが相手だろうと、私にとっては問題では無かった。


 気を取り直して先に進む。

 この地下迷宮の構造は、下の階層に降りれば降りる程に階層の広さは狭まっていくらしい。


 つまり私のいる一層は、階層の中では一番広いということである。

 聞いた話だと、街の冒険者の殆どはこの一層と二層を拠点に活動しているようだ。


 そこから下の階層になると、魔物のレベルも随分と上がるらしい。

 ちなみに転移の魔法陣が存在するのは、最下層の十層目だという。


 初めは楽観していたが、思ったよりも大変な仕事に思えてきた。

 一層の広さを考えても、十層まで辿り着くのは中々に骨が折れる行為だ。


 そんなことを考えていると、また魔物が現れた。

 のそのそと緩慢な動きで現れたのは、泥のような液体状の魔物だ。


 これは……スライムでしょうか?


 しかし、その姿はラムのような愛らしいものではない。

 まるで汚泥のようなドロドロのスライムだった。


 確かスライムは環境と食べ物に合わせて進化すると、姫様がそう言っていた気がする。

 この迷宮では、スライムはこんな姿になってしまうようだ。


 私は再び聖剣を抜いた。

 スライムを倒すのに、刀剣類はあまり向かない。


 しかし、私の持つ物は聖剣だ。

 このスライムを相手に、もう一度試し斬りをしよう。

 次は普通に斬るのではなく、聖剣の持つ能力を使ってだ。


 姫様は言っていた。

 この聖剣は刃先からビームが出る――と。


 聖剣とは魔道具の一種。

 剣自体に魔法陣が書き込まれており、魔力を注ぐことで魔術的な機能を発揮する。


 手にした太陽剣・ガラティーン。

 それに魔力を込めて、私は剣を振るった。


 スライムとの距離はそれなりに空いている。

 だが私の放った斬撃は、その距離を無視して飛んでいった。

 眩い閃光が宙を走り、スライムの身体を焼き尽くす。


 斬撃と言うより、まさにそれはビームだった。

 私が込めた魔力は熱に変換され、ガラティーンは光線として解き放ったのだ。


 迷宮の壁まで焦げ付いている。

 太陽剣の一撃は、とてつもない威力だった。


 攻撃を受けたスライムの全身は、跡形もなく消し飛んでいる。

 完全にオーバーキルだった。


 恐ろしいのは、これでも軽く魔力を込めただけという点だ。

 もし私が本気を出せば、どんな威力のビームが放たれてしまうのだろうか?


「……これはしばらく封印ですね」


 低級の魔物にビームは過剰過ぎる。

 聖剣としての能力を使うのは、しばらく禁止にしておこう。


 しかし聖剣というものは、本当に使い勝手が悪い道具だ。

 姫様がいらないと言った理由も、今なら分かる気がする。


 再び聖剣を鞘に収め、私は一息ついた。

 そして、私は懐から一枚の地図を取り出す。


 迷宮が薄暗いせいで見にくいが、その地図にはしっかりと一層の道のりが網羅されていた。

 事前にギルドで貰ったものだが、初心者の私にとってはとても役に立つものだ。


 なお一層の地図は無料だったが、二層からは有料らしい。

 一層分が貰えるだけありがたいと思っておこう。


 地図を確認して進んで行くと、ようやく一層の終点に辿り着いた。

 一層の終わりにあったのは、巨大な下に伸びる階段だ。


 その階段の周りには大きな空間があり、冒険者達が多く休憩している。

 この下は二層目だが、この調子なら問題なく行けるだろう。


 今頃、姫様はどうしているでしょうか?

 そんなことをぼんやりと考えながら、私は二階へ降りる階段を下っていった。

次の話からノルン視点になります。

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