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天才魔術師の私が、異世界から勇者様を召喚するまで  作者: 楚々園 ゆるぎ
五章 地下迷宮を攻略しよう!

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Retrace:44 冒険者ギルド

 リッカと別れ、私は宿の近くを散策していた。

 相変わらず、通りには冒険者が多い。

 しかし、この宿は街の出口に近いことから、荷馬車を引いた商人の姿も良く見かける。


「まだ日暮までに時間がありますね。今日の内に、冒険者登録を済ませておきましょうか」


 私は事務的な独り言を呟き、懐から地図を取り出した。

 それはリッカが予め渡しておいてくれた、この街の大まかな地図である。


 聞いていた通り、トワリアル地下迷宮はこの街の中心に存在する。

 そして目的の冒険者ギルドは、そんな地下迷宮のすぐ近くに建てられているようだ。


 この場から歩いて向かうと考えると、まあまあ距離はある。

 しかし、ここは行くだけ行ってみよう。

 私は街の中心部へ向かって、しばらく通りを歩いていった。



 ◆



「ここが……」


 ここがリッカの言っていた冒険者ギルドなる施設ですか……。

 私はギルドの建物の前で、少し驚いていた。


 まさかこんなに大きな建物だとは聞いていなかった。

 それは最早、小さな城と言ってもいい大きさだ。


 冒険者ギルドがこの大きさの施設になっているのは、この街の産業が冒険者によって支えられているからだろう。

 入り口を見ているだけでも、かなりの冒険者が出入りを繰り返している。


 私がこの街の通りで見掛けていた冒険者達は、あれでもかなり少なかったのだと認識を改めてさせられた。

 さて、それでは中に入ろう。


「……」


 ギルドの中に入ると、困ったことが起こった。

 それは皆の視線が、全て私一人に集められたことだ。


 シンと静まり返った屋内。

 会話をしていた者達も皆話すのを止め、全員が私という存在を注視している。


 なるほど、私がメイド服だから皆注目しているのですね。

 リッカがこの服装は目立つと言っていましたが、どうやらそれは間違いなかったようです。


 ギルド内を見渡せば、冒険者達は全員しっかりと武装をしていた。

 甲冑を着込む者や、不思議な武器を持つ者もいる。


 奇抜な出で立ちの者は沢山いるが、誰もが魔物と戦う為の格好をしていた。

 メイド服を着ている者は、私以外には誰もいない。


 当たり前と言えば当たり前の話だ。

 魔物との戦闘をする場に、こんなメイド服で訪れる者などいる筈もない。


 そう納得したところで、私の中では注目されているという意識はとっくに消え失せていた。

 私は注がれる視線全てを無視し、一直線にギルドの受付まで歩いていく。


 冒険者は皆親切で、私の通り道を無言で空けてくれた。

 そして受付まで最短でたどり着いた私は、対面のギルド職員に対して言った。


「冒険者になりたいのです。手続きをして貰えませんか?」


 すると私の言葉が意外だったのか、受付の女性職員は一瞬硬直するも慌てて対応してくれた。


「す、すいません! 冒険者の手続きですね! では、こちらの用紙に必要事項をご記入していただきまして、あちらの受付まで提出して下さい」


「分かりました」


 私は用紙を受け取り、ちょうど空いていたテーブルの席に腰を掛けた。

 早速用紙を記入することにしよう。


 私はテーブルの中央に親切に置かれたペンを取り、紙面に向かい合った。

 すると、ギルド内がざわつく声が耳に入る。

 冒険者達が私を見て、それぞれ小声で話しているのだ。


「おい。あのメイド、冒険者登録をするみたいだぞ?」


「もしかして、どこかの貴族の召し使いなのかな?」


「でも、メイドって魔物と戦えるのかしら?」


「滅茶苦茶美人だし、ダメ元で俺達のパーティーに誘ってみないか?」


 色々な声が耳に届くが、気にするのは止めよう。

 とにかく冒険者登録が優先だ。


 ギルドに登録し、冒険者にならなければ、この街の地下迷宮には入れない。

 面倒だが、そういう決まりなのだ。


 私はじっと用紙を眺めた。

 受付から貰った登録用紙には、幾つか記入欄がある。


 まずは名前、性別、年齢、そして出身国。

 その他にも、個人を証明するような内容を記入させられた。


 別に隠すような事はない。

 私は上から順番にスラスラとペンを走らせていく。


 名前、性別を正直に書く。

 年齢だけは多少誤魔化したが、特に問題にはならないだろう。

 しかし次の欄で、私の手はピタリと止まった。


 出身国ですか……。

 これは年齢同様、誤魔化しておくべきですね。


 そう考え、私は知っている国の名前を適当に入れておいた。

 出身国を素直に書くと、私の場合不都合が多そうですから。


 リッカ曰く、冒険者登録はあくまで書類上での手続きが主だ。

 わざわざ個人情報の裏までは取らないらしいので、多少の誤魔化しならば問題ではないだろう。


 出身国を記入し、私の視線は次の欄に向かった。

 そこにはこう書いてあった。


「使用武器・役職……? これはどう書けばいいんでしょう?」


 使用武器は、おそらく魔物と戦う際の装備のことだろう。

 しかし私の戦闘方法は、ほぼ魔術に頼ったものである。


 武器は一切使わない。

 それに役職というのは、一体何だろうか?

 冒険者に詳しくない為、書いてあることがいまいちピンとこない。


 どうしましょうか?

 一度、受付に聞いてみるべきでしょうか?

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