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天才魔術師の私が、異世界から勇者様を召喚するまで  作者: 楚々園 ゆるぎ
五章 地下迷宮を攻略しよう!

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Retrace:41 都市・フラミア

「ここがトワリアル地下迷宮のある都市・フラミアですか?」


「そうっす。通称・迷宮都市フラミア。なんと世界一冒険者が集まる都市らしいっすよ」


 私――セレンは今、リッカと共に都市の入り口に立っていた。


 迷宮都市・フラミア。

 迷宮の上に築かれたこの都市は、まさに冒険者の街と言ってもいい。


 軽く見た限りでも、往来を行き来する多くの人は、大抵武装している冒険者なのだ。

 基本的に彼らは魔物を倒し、その素材を売って生計を立てている。


 トワリアル地下迷宮の内部には、珍しい魔物が生息することから、それを素材を目当てとした冒険者が多く集まるのだろう。


「かなり活気のある都市みたいですね。少し驚きました」


 通りをゆっくりと歩き、私はそう口にした。

 すると、横からリッカが言った。


「まあ冒険者以外にも、色んな人がやって来るみたいっすから。やっぱり人の集まるところに、お金が集まるってことなんすかね」


 冒険者の姿を一番多く目にするのは間違いないが、リッカの言う通りでそれ以外の人の姿も多く見られた。


 冒険者の次に多く見かけたのは商人の姿だ。

 彼らは魔物の素材を取引したりするのだろうか?

 そんなことを考えていると、リッカが口を開いた。


「パッと見た限りでも、迷宮の生み出す利益がこの都市の中心ってことっすよね。迷宮の魔物目当てで冒険者が来て、その冒険者目当てで宿屋や武器屋が繁盛する。それでいつしかこんなに立派な都市になったなんて、色々凄いっすよね」


「確かに凄いですね」


 私は素直に驚いていた。

 ここまでの道中に立ち寄った地方の都市や街とは、人の活力が全然違うように感じられる。


 それから、しばらく私とリッカは通りを歩いた。

 ただ歩いているだけなのに何故だろうか、すれ違う人達が私の方をチラチラと見ている気がする。


「……何でしょう? 度々視線を感じますが?」


 私が首を傾げると、リッカがその答えをくれた。


「セレン姉が美人ってこともあるっすけど、一番はその服装なんじゃないっすか?」


「服装ですか? 私の服装の何がおかしいのでしょうか?」


 怪訝に質問した私に、リッカは言った。


「ほらセレン姉、メイド服のままじゃないっすか? だからかなり目立ってるんすよ。何せここは冒険者の街っすから」


「ああ、なるほど」


 道行く人は大抵が冒険者。

 武装している人が多く、その中でメイド姿はとても奇異に映るのだろう。


「それにしてもリッカ、貴方の服装はとてもこの街に馴染んでますね」


「まあ職業柄、馴染まないとやってけないっすから」


 そう言ったリッカの出で立ちは、シーフのような身軽な格好だ。

 冒険者だらけのこの街に、彼女はとっくに溶け込んでいた。


「ところで、セレン姉はずっとそのメイド服だけで過ごすつもりっすか?」


「はい。着替えのメイド服も持ってきていますし、抜かりはありませんよ」


 私は手に持つトランクを軽く叩いてみせた。

 すると、リッカは言った。


「けどやっぱりメイド姿だと、目立ち過ぎじゃないっすか? 道中が街でもかなり目立ってましたし」


「メイドがメイド服を着て、何がおかしいことがあるのですか?」


「いや、別に無いっすけど……。本当にメイド服のまま過ごすつもりなのか聞いただけっす。一応服屋を見掛けたんで……」


 リッカの指差した先には、確かに服が売っている店があった。

 しかし、私にはメイド服がある。


「他の服は不要です。私はいかなる時でも、姫様のメイドなのですから」


「そうっすか。なら良いんすけど……」


 何故だかリッカは諦めたような顔をしていた。

 どうしてそんな顔をするのか理解出来ない。


 私は姫様のメイド。

 それに誇りを持っている。

 例え姫様の傍を離れても、この服装こそが私の正装なのだ。


「あっ! セレン姉、ようやく宿屋についたっすよ」


「これが貴方のオススメする宿ですか……?」


 話をしている間に、最初の目的地であった宿屋についたようだ。

 しかし、これがリッカのオススメする宿なのか。


 一見すると普通の宿に見える。

 どうやら宿泊費も高くはないが、安くもない丁度中間くらいの値段のようだ。


「本当にここで合っているんですか?」


「はいっす。さあ、中に入って早く部屋をとっちゃいましょう!」


「分かりました」


 リッカに促されるまま、私は宿の受付に向かう。

 対応してくれたのは、身なりの整った女性従業員だった。

 彼女に向かって、リッカは手慣れたように手続きをする。


「二週間、女性一人でお願いするっす。空きがあれば部屋は浴室とトイレ付きを希望したいんすけど?」


「少々お待ち下さい。……現在、御希望のお部屋に空きが御座いますので、問題なくご用意出来ます。失礼ですが、ご利用のお客様は一名でよろしかったですか?」


 従業員の質問に、私は思わずリッカに視線を向けた。

 すると、彼女は言った。


「ここにはセレン姉だけっす。私は用事があって、一緒に泊まれないっすから」


 てっきりリッカも一緒の宿に泊まると思っていた私は、頭を鈍器で殴られたような衝撃を受けた。

 用事があるとは聞いていたが、まさか一緒に泊まれないとは思わなかった。


 ここまでリッカの旅知識に頼っていた分、私は少し不安になったのだった。

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