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天才魔術師の私が、異世界から勇者様を召喚するまで  作者: 楚々園 ゆるぎ
二章 偽勇者あらわる!

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Retrace:15 お風呂回

「はぁ~極楽っすねぇ~」


「そだね~」


 リッカと私の二人は、大浴場の湯の中でそう口にした。

 ここは城にある王族専用の浴場だ。


 今は私達の他には誰もいない。

 完全な貸し切り状態だった。


 はぁ~お風呂はやっぱり気持ちいい。

 温かいお湯が身体の芯まで染み込むようだ。

 研究で疲労した私の身体にとって、最高のご褒美である。


 隣のリッカも同じなのか、随分リラックスした表情だ。

 彼女は私の密偵として、各国を飛び回ってもらっている。

 私達の中では一番危険な仕事なので、ストレスも多いのだろう。


「けど、私なんかが姫さんと一緒にお風呂なんて、本当にいいんすかね?」


「いいのいいの。私と貴方の仲じゃない。遠慮なんてしなくていいのよ」


 そう言って、私はヒラヒラと手を振った。


「けど、ここって王族専用の浴場っすよね?」


「別に王族専用って言っても、今は誰も使ってないし。使っても怒る人なんていないわ」


「誰も使ってないって、姫さんも普段使ってないんすか?」


「うん。全然使ってない」


 私の言葉に、リッカはビックリした顔をした。


「確か姫さんの部屋って、お風呂は付いて無かったっすよね? まさか……」


 リッカは怪訝な表情で私を見てくる。

 何でそんな汚物を見るような目を私に向けてくるのか。

 普通に傷付くからやめて欲しい。


「さては貴方、普段私がお風呂に入ってないと思ってるわね?」


「えーと……はい」


 リッカは歯切れ悪くも、首を縦に振った。

 素直でよろしい。


「確かにお風呂には入ってないのは認めるわ。でも、イコール私が汚いって決め付けは良くないわよ?」


「べ、別に決め付けてはいないっすけど……」


 リッカは目を泳がせ、そう言った。

 これは素直じゃないわね。


「じゃあ、姫さんは普段どうしてるんすか?」


 リッカの率直な質問に、私は答えた。


「いや、普通に魔術でなんとかしてるわよ?」


「魔術っすか?」


「そうよ。体を清潔にする魔術を使ってるの。お陰でお風呂に入る時間を節約出来るし、その分を研究時間にあてられるわ」


 お風呂が嫌いっていうのとは違う。

 ただ、お風呂に入るのが面倒なのだ。


「何よ。リッカ、貴方本当に私が体を洗ってないと思ってたの?」


「はは……姫さんならあり得るかなって、ちょっと思っただけっすよ」


 乾いた笑みを浮かべ、リッカはそう言った。

 私ならあり得るって……。


 だらしないのはいつものことだけど、今回の件はちょっとショックね。

 私が落ち込んでいると、リッカが急にこんな提案をしてきた。


「そ、そうっす! 折角一緒にお風呂に入ってるんすから、私が姫さんのお背中流しますよ!」


「え? リッカが私を洗ってくれるの?」


「駄目っすか?」


 そんな小動物のような目で頼まれれば、断れる筈もない。


「別にいいわよ。でも、しっかり洗いなさい」


 元から綺麗なつもりだけど、洗うからにはしっかり洗ってくれないとね。

 体を洗おうと私達が湯から上がろうとした、その時だった。


「話は聞かせて貰ったぞ? リッカよ、ノルン様のお背中を流す役目は私が引き受けよう」


 私達の前に突如現れたのは、全裸+タオル姿のネルファだった。


「ネルファ姉っ!?」


 唐突なネルファの登場に、リッカは思わず声を上げた。

 そんな彼女の反応に対し、私はボソリと呟いた。


「面倒なのが来たわね……」


 私が浴場を使うなんて珍しいし、ネルファが乱入してくることはまあ予想してはいたけど。

 でも、浴場に現れた彼女の姿はちょっと意外だった。


 全裸+タオルなのは分かるけど、今のネルファは普段のポニーテールでは無かったからだ。

 髪を解いた彼女は、何だが別人みたいに思えてくる。


 それに鎧を着てない状態だと、ネルファのスタイルの良さがより強調されていた。

 胸も大きいし、いつも鍛えているからかしらね。


 それに比べて幼児体型のリッカは……。

 可哀想だから考えるのは止めよう。

 そんなリッカに向かって、ネルファは入ってきて早々宣戦布告をした。


「リッカ、ここで私と勝負をしろ。ノルン様のお背中を流す権利を掛けてな!」


「え? 勝負っすか?」


 困惑するリッカを他所に、私は半目で呟いた。


「なんか前にも見たわね、この展開……」


 確か前は、セレンとのメイドの座を掛けた勝負だったっけ?

 そう言えば、今セレンはどうしてるのだろう。

 私が入浴中ということで、彼女は浴場の入り口で待機している筈だったけど。


「ネルファ、貴方一体どうやってここに来たの? 入り口にはちゃんとセレンが待機していた筈よ」


 私の質問に、ネルファは答えた。


「セレンですか? 彼女なら倒しました。『やはり来ると思っていましたよ』と言いながら、魔術で攻撃してきましたので」


 ああ、セレン負けちゃったのか……。

 彼女では私を好きすぎるネルファの暴走は止められなかったようだ。


「ノルン様が全裸の状態だと聞いて、この私が我慢出来ると思いますか?」


「いや、全く思わないわね。どうせ来ると思ってたわ」


 ネルファの頭は素直だからね。

 彼女の考えそうなことは大体分かる。


 セレンもネルファの乱入を予想して、自ら入り口での待機を申し出たのかな?

 けれど、セレンの戦闘力でネルファに挑むのはちょっと無謀だったわね。


「それで、ネルファ。勝負って何をするつもりなのよ?」


 湯の中から立ち上がり、全裸の私はネルファに尋ねた。

 すると、全裸のネルファは全裸のまま答えた。


「それはまだ考えてません」


 考えて無かったんかい!

 心の中で、私はそんなツッコミを入れた。

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