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天才魔術師の私が、異世界から勇者様を召喚するまで  作者: 楚々園 ゆるぎ
一章 召喚魔術を研究しよう!

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Retrace:11 召喚魔術の限界

「ここから本題に入るわ」


 私がそう言うと、セレンとネルファの視線が私に注目した。


「結論から言うわ。召喚魔術をそのまま勇者召喚の術式に転用するのは不可能よ」


「不可能……ですか」


 セレンの重々しい言葉が部屋に響く。

 私だって認めたくはない。

 けれど、不可能なものは仕方ないのだ。


「そもそも私が召喚魔術を解析したのは、これを勇者召喚のベースの魔術だと考えていたからよ。でもね、結論から言うわ。今ある召喚魔術を改良して勇者召喚を成功させることは、現状考える限り無理ね」


 私の言葉に、険しい表情をしながらネルファが言った。


「本当に、本当に可能性はないのですか?」


「ええ、残念ながらね。結局のところ、召喚魔術は魔物を召喚することに特化した術式だったのよ。勇者召喚とは似て非なるものということね」


「そうですか……」


 残念そうに目を伏せるネルファ。

 その気持ちは私も同じだ。


 魔物を呼び出す召喚魔術。

 これが私の考える勇者召喚の魔術に最も近いであろうものだった。

 しかし、スタンダードとも思える魔法陣を用いた召喚魔術では、現状勇者召喚を行えるポテンシャルはない。


 悔しいが、私には分かってしまうのだ。

 召喚魔術というものが完成した術式であり、それ故に完結した術式であると。


 つまり、この魔術は魔物を呼び出すことに特化し切っているのだ。

 いかに改良を加えようと、船は船の形を変えぬように術式はそれ以上の性能を引き出すことはない。


「今回のことで改めて確信したわ。やっぱり過去の資料は嘘っぱちね。召喚魔術を使って勇者召喚を行っただなんて、無知な著者が適当に書いただけなのよ」


 発想はいいと思ったのだが、結局それ止まりだった。

 勇者ほどの強力な存在を異世界から召喚することは、魔物を召喚することよりも遥かにレベルの高い行為だ。


「召喚魔術に先はないわ。それが分かっただけでも、今回の検証は有意義だったわね」


「そうですね……」


 目の前であからさまにネルファが落ち込んでいた。

 私よりも落ち込んでくれるなんて、何だか罪悪感を覚えるわね。

 すると、セレンが私に尋ねた。


「姫様、召喚魔術が駄目と分かったことはいいのですが、これからどうなさるおつもりですか?」


「そうね……」


 彼女の言葉に、私は考えた。

 勇者召喚を成功させる。


 その為には、現状の路線は厳しいと判断した。

 ならば、私がとるべき選択肢はただ一つだ。


「この際、召喚魔術はキッパリ諦めるわ。でも、勿論勇者召喚を諦めるつもりは無い。だから私は、別の手段を模索するつもりよ?」


「具体的には?」


「……」


 セレンの問い詰めるような物言いに、私は言葉を返せなかった。

 急に具体的と言われましても……。

 うーん。どうすればいいのか。


 ぶっちゃけ、今急いで決めなくてもいい気もする。

 でもそれでは駄目だと、セレンはこの場で私の決断を催促しているのだ。

 勇者召喚を成し遂げる為には、一分一秒も無駄な時間はないのである。


 でも、どうすれば?

 頭を抱えて悩む私を、セレンとネルファは真剣な眼差しで見つめている。


 彼らはジッと私の選択を待っているのだ。

 そんな二人の思いも背負っている以上、主たる私が適当な選択など出来る筈がない。


 そうね……。

 ここは一つ、召喚魔術がもたらした成果を元に考えていこう。


 まず、召喚魔術は勇者召喚には向かない。

 これが結論だ。

 しかし、当然成果はあった。


 それはこうしてラムを召喚出来たことだが、そのことは今は除外して考えよう。

 となれば、一番の成果は検索魔術を編み出せたことだが、実は私は召喚魔術の術式からもう一つの魔術を発見していた。


 それは私が確立した検索魔術ではなく、大昔から存在するものである。

 その術式は、魔物を別の場所から魔法陣へと空間を飛び越えて移動させるもの。


 そして、太古から存在する大魔術でありながら、実現させるのが難しい秘術である。

 そう。その魔術こそは――


「転移魔術……」


 自分の口からポツリと溢れた言葉。

 それに一番衝撃を受けたのは、何を隠そう私自身だったのだ。


「そうよ! 転移魔術を研究するのよ!」


「転移魔術ですか?」


 セレンの言葉に、私は頷く。


「召喚魔術の術式には、転移魔術が含まれていたわ。そもそも勇者様を異世界から連れてくる為には、転移魔術は必要不可欠な術式よ!」


 いや、ちょっと待て。

 転移魔術とは、別の場所にあるものを更に別の場所に移す魔術だ。


 違う。それだけでは不足している。

 勇者様がいるのは、この世界ではなく()()()なのだと!


「転移魔術は空間魔術の一種……ってことは、転移魔術の研究だけでなく空間魔術自体の研究も行えば、一石二鳥じゃない!?」


 自己解決した。

 転移魔術の研究ついでに、大元の空間魔術も研究してしまおう。


「答えは出たようですね」


 セレンの問い掛けに、私は満足げに答える


「ええ。これからは転移魔術を中心に、空間魔術を研究するわ! 二人とも、私について来なさい!」


 私の宣言に、セレンとネルファの二人は頭を垂れた。


「かしこまりました。これからも姫様に誠心誠意尽くさせて頂きます」


「私も全身全霊でノルン様にお供します!」


 二人の熱意を耳にし、私が次に進むべき道は決定した。

 さあ、次の研究も頑張ろう!

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