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天才魔術師の私が、異世界から勇者様を召喚するまで  作者: 楚々園 ゆるぎ
八章 運命を変えよう!

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Awake:86 魔女の結界

 世界を滅ぼすと予言される【終わりの魔女】。

 その討伐作戦が遂に決行された。

 俺達勇者パーティー全員は、連合軍と共に帝国と旧エルタシア王国の国境を訪れていた。


「これが魔女の張った結界か……」


「はい、そうです。そう言えばアイクは、魔女の結界を見るのはこれが初めてでしたね」


 魔女の張った結界を見上げた俺に、ティアナがそう口にした。


 魔女の結界。

 旧エルタシア王国全域を囲むように張られたその結界は、虹色の泡のような感じでドーム状に広がっている。

 内部の様子は外部からは分からない。

 結界によって、上空も、地中も、隙間無く魔力の膜が覆っている。


「この結界の効果は、内から外に出るものを遮断するというものです」


「つまり、進入するのは拒まないが、出ることは出来ないってやつか」


 ティアナの説明に、俺はそう呟いた。

 すると、彼女は言った。


「過去に何度か軍や冒険者などの調査隊が結界内に侵入しましたけど、誰一人として戻ってきてはいません。私の『固有魔術』でも全てを解析出来ませんが、結界の効果は本物でしょう」


 一方通行の結界。

 一度その中に足を踏み入れれば、もう魔女を倒すしか帰る手段は無いということか。


「この結界、俺のカリバーンで壊せないか?」


「術式自体を切り裂くカリバーンでは、多分難しいと思います。そもそも結界という魔術は、基点となってるものに術式が込められているので、結界は術式の本体ではありません」


「つまり、結界を維持している基点を壊さないことには、結界自体は消せないってことか」


「そうなりますね。ですけど、事前の調査では結界の外部には基点らしきものは存在しないとのことなので、おそらく内部から解除しなければならない仕組みなのでしょう」


「この結界を消したければ、中に入ってこいってことか」


 結界は解けない。

 これは俺の持つ聖剣の力でも不可能のようだ。


「なんつーか、魔女の思惑に乗るようで気に食わねぇな」


 ラッシュが結界の機能に対し、そう不満を口にした。

 確かに魔女は俺達を自分の土俵に誘い込んでいるように思える。


「ですが、それでも我々は進むしかありません」


 そう口にしたのは、俺達よりも一歩だけ前に出たアミィだった。

 そして、彼女は一人で結界へと近付いていった。


「私が先に進入し、安全を確認しておきます。皆様も続いて下さい」


 物怖じした様子を見せず、アミィの姿が結界の中に消えていく。

 その光景はまるで、虹色の泡に吸い込まれていくようだった。


「勇敢な嬢さんだな。アイク、俺達も行くぞ」


 師匠がそう言い、俺達を促す。

 覚悟を決めよう。

 一度中に入ってしまえば、もう引き返せない。

 俺は魔女を殺し、世界を救う。

 心の中でそう念じた俺の手を、不意に誰かがぎゅっと握った。


「ティアナ……」


 俺の手を取ったのは、彼女だった。

 そして、口にする。


「行きましょう、アイク」


「……ああ」


 真剣な瞳をした彼女に頷きを返して、俺達は先行したアミィを追い掛けるように、結界の中に足を踏み入れていった。



 ◆



 結果だけを言うと、結界の内側は外とあまり変わらなかった。

 というのも、内部からは結界自体が黙視できなかったからだ。

 空は結界など存在しないかのように青く、外の景色と全く変わらぬ林道が続いている。

 どんな異世界が広がっているのかと身構えていた俺だったが、ある意味肩抜かしを食らったような思いだった。


 それから俺達はしばらく道なりに歩いて、林を抜けてなだらかな草原にたどり着いた。

 見晴らしの良い草原で一旦足を止めた俺達は、この場で休憩を取ることにした。


「アイク殿、結界内はかつてのエルタシア王国の地理と何ら変わっていないようです。これならば持ってきた地図通りに、王都・アロンヘイムまで進軍出来そうですぞ」


 そう俺に話し掛けてきたのは、連合軍を率いるベックフォード大将だ。

 彼のその報告に、俺は言った。


「そうですか。それは良かったです」


 結界内の地形が以前の地図と変わっていないことが分かったというのは、これからの進軍ルートを考える上で重要なことだった。

 どうやら作戦会議で危惧していたような、アドリブで切り抜けなければいけない事態は当分はなさそうだ。

 ベックフォードは言った。


「結界内に侵入してまだ少し進んだだけですが、ここまでは何の問題も起きていませんな。魔女が我々の存在に気付いていないとは思いませんが……」


「確かに結界を通過しましたから、魔女側から何らかのアクションがあってもおかしくはないですね」


 俺はそう口にした。

 結界内ではここまで何も起こっていない。

 魔物などが襲ってくることもなければ、天候がおかしくなることもないのだ。


「目的地のアロンヘイムまでまだ暫く掛かります。用心しておきましょうぞ、アイク殿」


「はい」


 まだ結界の中に入って少ししか経っていないが、ここまでは順調だ。

 しかし、いつ魔女が仕掛けてくるかも分からない。

 用心に越したことは無いのだ。

 想定通りなら魔女は王国の中央、王都・アロンヘイムを拠点としている筈である。

 そこに辿り着くまでに、まだしばらく行軍しなければいけないだろう。

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