プロローグ
日本の歴史と現代社会。なぜか、一つにまとめてみました。
第一話は、邪馬台国です。
散った桜は、ピンク色の絨毯になってキャンパスに広がっている。
菜穂子は、深呼吸をしてから校舎に歩きはじめた。
ヒールの靴で颯爽と歩いているつもりだ。
彼女の歩みは、颯爽とはかけ離れている。どこからみてもおぼつかない歩みだ。
「そこの猫背のお姉さん。うちのサークル見て行かない」
失礼極まりない。初対面の女性に言う言葉ではない。菜穂子は、睨みつけてから歩きはじめた。
国立の名門『尾張大学』に頑張って合格したのに嫌な気分になっていた。
「大学生と言えば、テニスに決まってるでしょ」
菜穂子は、心の中で呟いてそれらしいテーブルを探した。
「きっとあそこね」
テーブルには、綺麗にテニスボールが並べられ、文鎮代わりにラケットが置いてある。日焼けした顔に白い歯が印象的な男の子が座っている。
「あのう・・・入りたいんですが・・・」
「本当に・・・?ありがとう。よろしくね」
まさに、好青年を絵に書いたような男の子だった。
「はい。宜しくお願いします」
テーブルに置かれた紙に名前と学部。電話番号を書いた。
「へえー。教養学部なんだ。僕と一緒だね。山本教授のゼミは、取っといたほうがいいよ」
「そうなんですか。有り難うございます。高校と違うから何かわからなくて」
「わからなかったらいつでも部室にくるといいよ。みんな色々教えてくれるから。はい、これ。部室の位置ね」
そう言って一枚の紙を渡された。
菜穂子は、その紙を鞄に仕舞うと、颯爽と(本人基準)猫背になって歩きはじめた。
ここで書かれた歴史は、一部の見解であり、異なる見解もあります。また、登場人物、企業、団体名は、架空のものでありフィクションです。