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トラブルメーカー友田友美  作者: あすなろ
3/7

アルバイト

生徒会の校内行脚から二日後、僕は学校帰りに近所のカフェで店長オススメのコーヒーと書かれている水出しコーヒーを飲んでいた。定価650円のブルジョワコーヒーだ。

昨日給料日だったのでちょっとした贅沢がしたかった。

僕がやっているアルバイトはおそらく日本で楽な仕事ベスト100選なんかが週刊誌で特集されてたらかなりの上位に食い込めるだろうと思っている。

仕事内容は車の助手席に座っているだけ。

基本的にはそれだけだ。飲料水を自動販売機に補充するお兄さん達が駐車違反でキップを切られないようにお兄さん達が汗水垂らして飲料水を補充している間、僕は助手席で眠っているだけでお金を貰える。たまに優しいお兄さんにはほらよと缶コーヒーまでご馳走になる待遇もついてきます。

こんな楽なアルバイトで月に六万近く貰っていいんだろうかとたまに思うけれどこれはあくまで臨時で普段このアルバイトをしていた70過ぎのおじいさんが辞めてしまって新しいおじいさんが入ってくるまでの間だけという契約を結んでいる。

このアルバイトは高齢者が優先されるらしいのだ。

さっき基本的にと言ったのはこれはあくまで僕が勝手にしていることなんだけど運転中はお兄さん達の会話を盛り上げなければならない。

なにしろ座っているだけで運転して汗水垂らして仕事をしているお兄さん達と殆ど変わらない時給を貰っているのだから。

普段は別段難しくもないしこれを仕事なんかと言ったら怒られるかもしれないけれどゲイのお兄さんと話している間はとにかく愛想笑いが大変で次の日顔面筋肉痛になってしまった。

とにかくテンションが高めでマシンガントークしてくるゲイのお兄さんの会話はあまりにもつまらなすぎて僕は一昔前の通販番組のエキストラにならなくてはいけなかった。

ただ聞いてるだけならいいんだけど僕は相槌を打ったり驚いて見せたり自分の感想を述べたりとひたすらお兄さんのテンションが下がらないように努力した。

ただ幸いだったのはお兄さんは筋肉質で格闘技系の男がタイプだったので僕のような痩せてる男には興味がなかったことだ。


そうやって稼いだお金で僕はコーヒーを啜りながら店に置いてある手塚治虫全集を読んでいた。

アドルフに告ぐはユダヤ人を絶滅させようとしたヒトラーが実は自分自身もユダヤ人でその極秘情報を入手した日本人が数奇な運命を辿る名作だ。僕はこの漫画を毎回少しづつ読み今回ついに最終巻までたどり着いた。


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