ネットの住民
こういう投稿をするのははじめてです。
拙い文章だと思いますが、読んでいただけると嬉しいです。
Twitterっていうのは残念なものだ。孤独をつぶやいて、フォロワーの反応を見る。たぶん本人は面白いと思ってつぶやいてるのだろう。でも、私からするとだいたいつまらない。ネットの住民だけに通じる内輪ネタも多い。あなたたち、本当に寂しいよ。
知人をフォローしたら、本性が垣間見える。こういう人と関わっているのか、と気づく。こっちは辛いよ。
兄の息子のTwitterをたまたま見つけた。小学生のころ会ったけど、明るい子どもだったぞ。それ以来会ってないけど、今はどうだろう…残念なネットの住民になっていないよね?フォローします。
3月。
「A大学文学部に受かりました。キラキラした大学生活を送りたいぜw」
A大学なんて結構いいところだからな。昔からあの子は真面目で、頭が良かった。そういえば、兄さんがこの前わざわざ電話してきたわ。よほど嬉しかったみたいだな。
ものすごい頻度でつぶやいてる。そのエネルギー、ほかで使えばいいのに。だいたいのつぶやきがほとんど何も意味のないことだもの。
「アニメ一気観、号泣オタクと化す」
アニメオタクなのか、もしかして…。明るい子だったのに。でも、明るい性格のオタクがいてもいいのか。そういう時代なのかもしれない。日本の文化だし。
「YAYOI NO OWARI」
SEKAI NO OWARIのパロディですか。ときどきTwitter上で見るけど、あまり面白いとは思えない。絶対、発信者の自己満足だよ。発信者とフォロワーのすれ違いのような気がするんだよね。
4月。
「四月病、一限から授業とりまくってる」
四月病ってなに?モチベーションが高いって意味?
「第一印象重視でコミュ強を演じてる」
新しい環境になじむって難しいからな。まあ、わかるよ。おとなしい友達はだいたいこういう時期に頑張ってた。ここでしくじると、一人寂しい生活を送らなきゃならなくなる、彼はそう言っていた。
「ワイ、ぼっち回避」
ワイってなんだ…
友達ができているなら、まあ良かった。こういうつぶやきって、孤独をつぶやいてはいないけど、どこかで普段の自分の孤独をアピールしようとしてるような気がする。普段はぼっちになっちゃう、そういう存在なんだぜ、みたいな。
5月。
「GW待ってたぜ」「GW待ってくれ」
休みが終わるのは早いよね。結局、GW中のつぶやきはこれとなんかよくわかんないつぶやきがいくつかあっただけだったな。休みの方が忙しいってことか。充実すると、つぶやきが減る。そういうことなら、いつも、いかに充実してないのか。必死に勉強して、いい大学に進んで、彼はなにを得たのか。寂しい話だ。
「学校行きたくねえ」「今週15コマ中出席7コマ、一限オールぶっちw」
五月病が始まったらしい。半分しか出席してないとは、笑いごとじゃないぞ。確かに彼の家から大学は遠いから、一限は辛いだろうけど。このままではだめな大学生になってしまう。いい大学に入ってもこれではね。
6月。梅雨に入って、憂鬱な日々だ。Twitterも鬱ツイートであふれてる。見たくないな、余計疲れるから。
「一限休むことは大学生の常識」「相合い傘してえ」
やっぱりイラつくわ。
7月。
「テスト。やばい。」「レポート締め切り間違えた。死」
そういう時期か。
「優2良3可7不可3でした。ありがとうございました!!」
良くないよな。最初でこの結果か。なんか、彼の大学生活、沈むの早くないか。
8月。最近気になるのは、夜になると、かなり暗いつぶやきをすること。夜は確かに人を暗くするが、ちょっと病的なんだよな。
「学校ないのに帰りたいと思う日々」「生きる辛さ」「人生やめてえんだと何度言ったら」
挙げ句の果てに、「ああ」「感情を失った」
見てるこちらも疲れてきた。兄はこのつぶやきを知っているのだろうか。
そっとミュートにした。
1月。彼のTwitterのことなんて忘れていた。だが、正月にひさびさに親戚が集まる、というので、彼のことを考えていた。彼へのイメージはTwitterによってできあがっていた。オタクで暗い。残念な大学生活。彼の外見まで、なんとなく想像できた。
彼が現れて、はっとした。画面の向こうでつぶやいていたのは、こんな人だったのか。少しおとなしそうだが、ハンサムな顔。服装も清潔感にあふれてる。かつて彼が小さい頃会ったが、その頃の面影も残っている気がする。その彼が、あんなに暗いツイートやオタクを思わせるツイートをしている。信じられないな。
こっちがそんなことを考えていることなど、彼は知らないだろう。Twitterを見られてたことも、たぶん気づいてない。
「あけましておめでとう。」
「あ、お久しぶりです。あけましておめでとうございます。」
そっとTwitterを見てみた。
「ひさしぶりすぎて、自分の親戚の顔がわからない。誰ですかって感じだ」
まあ、そうだろうな。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。