朝の風景
《登場人物》
パパ……あなた。妻と8人の娘を溺愛している。平凡なサラリーマンだが、一戸建てに住み、8人の娘を養っている。
妻・沙織……若々しい外見の眼鏡美人。
長女・理沙……12歳の小学6年生。眼鏡をかけていて、沙織の若い頃に似ている。やや内気だが、よく気が付く優しい子。
次女・翔子……11歳の小学5年生。スポーツやテレビゲームが好き。ショートカットで、ちょっと男の子っぽい。
三女・凛……10歳の小学4年生。最近ちょっとパパに冷たい?
四女・美貴……9歳の小学3年生。小悪魔系。
五女・巴……7歳の小学1年生。眼鏡をかけている。ネットや読書が好きで、マニアックな知識を持つ。
六女・華弥……幼稚園の年長さん。困り眉がチャームポイント。おとなしい性格で、妹たちによくいじられている。
七女・愛……幼稚園の年中さん。元気いっぱい。よく華弥で遊んでいる。
八女・優結……幼稚園の年少さん。マイペースな大物。愛と一緒によく華弥で遊んでいる。
ジリリリリリリリ。けたたましい目覚ましのベルが鳴り響く。
「あと5分……」
反射的に手を伸ばしてベルを止める。が、無駄な抵抗だ。
すぐにあいつが来る。
ガチャ、どたどたどた。
「とーちゃん、起っきろー!」
どす。
う。一瞬息が止まった。
やっぱり来た。顔を見なくても分かる。
今部屋に入ってくるや否やフライングボディプレスをかましてくれたのは、俺の愛する世界一可愛い娘の一人、次女の翔子だ。
「とーちゃん、朝だよー。ご飯食べて会社行く時間だよー」
言いつつ、翔子は俺に馬乗りになって、体を上下に揺らしている。
「華弥ちゃんたちもとっくに起きて着替えに行ってるよー」
「わかった、起きるから降りて……」
「えー、もう起きちゃったのー。つまんなーい」
起こしたいのか起こしたくないのかどっちなんだ。
ともあれ、虫の息で訴えると、翔子は名残惜しそうにしながらも降りてくれた。
ベッドから体を起こし、翔子を見る。
上は半袖で下はホットパンツ。いつも通りのスポーティな装い。すっかり身支度は済ませているらしい。
翔子は娘たちの中では一番のお転婆で、スポーツやテレビゲームが大好きだ。
髪はショートカットで、肌は少し日焼けしていて、八重歯がチャームポイントの11歳、小学5年生。
今の起こし方といい、色々大雑把だけど、元気で可愛い娘だ。
「起こしてくれてありがとう。でも、もうちょっと優しくしてほしいかな……」
やんわりと苦情を告げると、満面の笑みで、
「優しくするととーちゃん起きないじゃんー。それに面白くないし」
と何とも反省のない答えが返ってきた。
なんだかその笑顔が愛しくて、つい頭を撫でる。
「えへへ~」
翔子も気持ちよさそうに撫でられるがままになっている。
いつまでもこうしていたいけど、そうもいかない。
名残惜しさを堪えてベッドから出る。
「じゃあ、ボクはチビたちの着替え見てくるね」
「ああ、頼むよ」
一足先に起きている下の子たちの着替えの手伝いを翔子に任せ、俺は食卓へ向かった。
食卓では朝食のいい匂いがしていた。
「おはよう、あなた」
「おはようございます、お父さん」
台所で調理をしていた妻の沙織と、食器を並べていた長女の理沙が出迎えてくれる。
まだ頭に残っていた眠気も吹き飛ぶ、最高に愛おしい笑顔と共に。
「おはよう。今日はトースト、ベーコン、目玉焼きか」
食卓に満ちる匂いから判断して言いつつ、席に着く。
「そうですよ。……また翔子にやられの?」
沙織がフライパンから皿に目玉焼きを移してくれつつ聞いてきた。
さっき翔子からダメージを受けた腹をさすっていたのが見えてしまったらしい。
「そうなんだよ。でも、あれがないと一日が始まった気がしないんだよな」
「ほんと、親バカなんだから」
沙織が眼鏡の奥の目を細めて笑う。
沙織は、眼鏡の似合う自慢の妻だ。優しくて可愛いくて、間違いなく世界一の妻だと断言できる。
そして長女の理沙は12歳、小学6年生。妻に似た眼鏡美人だ。翔子とは対照的におしとやかで、ちょっと内気なところもあるが、よく気が利く優しい子だ。
「お父さん、ミルクがいいですか、オレンジジュースがいいですか」
今もこうして飲み物を用意してくれている。
俺は礼を言いつつミルクをもらった。
俺が朝食をとり終わる頃、三女の凛がやってきた。
部屋で身だしなみを整えていたらしい。凛は10歳、小学四年生だ。四女の美貴と並んで家庭内で一番身支度に時間をかける娘だ。その甲斐あってか、今日も長い黒髪が綺麗に艶めいている。
「凛、おはよう」
挨拶もせず、視線を避けるように食卓についた凛へ声をかける。
凛は反抗期なのか、最近俺に素っ気ない。10歳の女の子となればそういうものなのかもしれないが、他の娘が全然そんな気配を見せないので少し戸惑う。まあ、理沙や翔子がちょっと素直すぎるのかもしれないが。
「……おはよう」
そんな凛も、一応挨拶は返してくれた。
凛もとてもいい子なのだ。俺に冷たいこと以外は、ママや姉妹と仲が悪いわけでもなく、問題行動もない。そんな凛がとても愛おしくなって、つい余計なことを言ってしまう。
「今日も髪、綺麗だね。とっても可愛いよ」
途端に凛の顔が真っ赤に染まり、
「~~~~っ! バ、バッカじゃないの!? 何言ってるのよ!」
こっちを見てそう言った。これは怒らせてしまったかな。
純粋に褒めたつもりでも、年頃の娘の気に障ってしまうことはあるものだ。
でも、今日初めて俺の目を見てくれた。
そのことにまた嬉しくなり、
「変なこと言ってごめん。でも、本当に綺麗だよ」
またつい言ってしまった。一応謝罪のつもりだったのだが、顔は笑ってしまっていた。
凛は耳まですっかり赤くして、顔をうつむけ何やらぶつぶつつぶやいていた。
食器を下げて洗面所へ行こうとすると、2階から五女の巴が降りてきた。
「巴、おはよう」
「おはよう……」
巴は7歳、小学1年生だ。沙織や理沙と同じく眼鏡美人なのだが、雰囲気はかなり違う。
頭はかなりいいのだが、少し変わり者で、ネット等から仕入れたらしい妙にマニアックな知識を持っていたりする。
「パパ、今ネットを見ていたら……とてもいいことが……分かったわ……」
今朝も、ギリギリの時間まで部屋で何やら調べていたようだ。ちなみに我が家では、巴から上の娘は皆2階に個室を持っている。
「へえ、どんなこと?」
「ゾロアスター教っていう……宗教では……親子で結婚することが……認めらているんですって……」
「え?」
この子は何を言っているんだ。というか何を調べているんだ。
「そ、そうか。まあ世界は広いから、そういう宗教もあるかもな」
「うふふ……。これでパパと私で……結婚できるわね……」
いやいやいや。
「いやいやいや。そういう問題じゃないだろう……。大体そのゾロアット教とかいうのが何なのかよく分らないし」
「ゾロアスター教よ、パパ……。別名は……拝火教といって……炎に礼拝するの……」
「わ、わかった、今度ゆっくり聞くから、今は早くご飯食べなさい」
「そうね……。私も……もっとよく調べておくわ……」
何とか話を切り上げる。巴は自分が調べた話をよく俺に話してくれるのだが、その話がいつも長い。
一生懸命話してくれる巴の姿は、それはもう目に入れても痛くないほど可愛いのだが、さすがに出勤・登校前にゆっくり話している暇はなかった。
それに何より、話が何やら怪しい方向に行きそうで、恥ずかしながらちょっと焦ってしまった……。
洗面所に行くと、四女の美貴がおめかしの真っ最中だった。
美貴は9歳、小学4年生だ。
今日は髪をツインテールにしている。よく似合っていてとても可愛らしい。
これ以上どこをどういじる必要があるのか分からないが、鏡の前で必死に首をかしげたりポーズを取ったりしている。
「おはよう、美貴」
「わ! パパ、もう来ちゃった」
「パパが来たらまずいの?」
「だってぇ、パパには一番キレイな美貴を見てほしいんだもん。メイク中を見られるなんて恥ずかしいわ」
ボーイフレンドに向けるような台詞を言われ、むずがゆくなる。
メイクって言ってもせいぜい顔にクリームを塗るくらいだし、そもそもよく一緒にお風呂に入ってすっぴんを見てるのにって突っ込みも浮かぶけど、そんな美貴が可愛くて。
「大丈夫。美貴はそのままで充分可愛いよ」
と言った。
途端に美貴の顔が赤くなり、小さな八重歯を見せて照れくさそうに笑った。
「えへへ、パパだ~いすきっ!」
足場にしていた椅子から飛び降りて、俺の腰に抱きついてくる。何だか甘い匂いがした。
美貴はちょっと生意気だったりわがままなところがあるが、俺の前では甘えん坊になる。
凛以外の娘はややファザコン気味な気配があるが、美貴はそれを特にはっきり態度に出してくる。
懐いてくれるのは嬉しいのだが、9歳にもなって「パパのお嫁さんになりたい」と公言してるのは少し不安だ。……巴も似たようなものだが。
とはいえ逆に考えればまだ9歳。甘えたいうちは存分に甘えさせてあげたいとは思う。
だが今はまず。
「うん、分かったから歯を磨かせて」
えへへ~、と俺の腹に顔をぐりぐり擦り付けている美貴を引っぺがした。
スーツに着替えてリビングに戻ると、こども部屋から誰かがぺたぺたと走り出てきた。
六女の華弥から下の幼稚園組3人は、通称こども部屋という一室を使っている。寝る時は3人ともまだ俺や沙織と一緒だけど、着替えはこども部屋に置いている。きっと着替え中にトラブルがあったのだろうと思って振り返ると、そこには六女の華弥がいた。
「おとうさん~たすけて~」
半泣きで走り寄ってくるその姿は、
「えっと……、お姫さま?」
着物を引きずっていた。
布地を引きずるその姿は、十二単のお姫さまみたいだ。
幼い女の子特有の柔らかい黒髪と相まって、着付けのめちゃくちゃさも気にならないほど良く似合っている。しかし呑気に見惚れてばかりもいられない。
裾を踏んで転びそうな華弥を抱きとめ、ファッションショーが始まった経緯を訊く。
「その着物、どうしたの?」
「えっとね、愛ちゃんが、たんすから出してきて、優結ちゃんといっしょに、着せたの。起きたら、服が脱げてて、着物がぐるぐるになってたの」
「やっぱりそうか」
どうも、七女の愛がタンスに保管していた七五三用の着物を引っ張り出して華弥に着せようとし、それに八女の優結が便乗したってことのようだ。
多分翔子も着替えを手伝うと言いつつ一緒に遊んでたんだろうな。
華弥は6歳で、幼稚園に通っている。眉がちょっとハの字気味になっていて、どことなく困ってるように見える顔がとても可愛らしい。性格は内気で、理沙の小さいときを思い出す。
その性格と容姿のせいか、妹の愛によく着せ替え人形のように遊ばれているのだ。
「華弥ちゃんまって~。お姫さまごっこしようよ~」
愛がやってきた。純真無垢で天真爛漫、元気いっぱいな5歳児だ。
我が家のトラブルメーカーで、特に姉の華弥に懐いている。……というか、よく華弥で遊んでいる。
しかし、勝手に着物を出して、しかも無理矢理華弥に着せたというのは問題だ。注意しなくては。
俺に腰にしがみついてくる華弥の頭を撫でつつ言う。
「愛~、勝手に着物を出しちゃダメだよ。それに華弥姉ちゃんも嫌がってるじゃないか」
すると愛もすぐ申し訳なさそうな顔になる。
「ごめんなさい。でも……華弥ちゃん、おひめさまになりたいってよく言ってるの。
それでね、さっきタンスあけてたら、きれいなお洋服が出てきたの。きっと華弥ちゃんに似合うと思ったの。おひめさまみたいになるから、よろこんでくれるかなって……」
確かに華弥には似合うしお姫様みたいというのも同感だ。まあ着物はお洋服とは違うけど。
「わかったよ。だけどね、着物は着るのが難しいから、パパやママと一緒じゃないと着られないんだよ。それに、いくら似合いそうでも、華弥姉ちゃん嫌がってるのに無理矢理着せたら可哀想だよ」
「うん。わかりました。華弥ちゃん、ごめんね」
愛は素直に謝る。華弥も俺から体を少し離して応じる。
「いいよ。私、着物が嫌なんじゃないの。お姫さまみたいで好きだけど、ちゃんときれいにして着たかったの」
「わ! やっぱり好きなんだ! おひめさまみたいで素敵だよね!」
愛が途端に目を輝かせて身を乗り出してくる。と同時に、華弥は一歩下ってまた俺にしがみつく。
「こらこら」
またグイグイ行きそうになってる愛を止めようとすると、
「華弥ちゃんおひめしゃま~。優結もおひめしゃまやりたい~」
末っ子の優結もとてとてとやってきた。
優結はほっぺたも小さな手もぷくぷくとした3歳児。我が家の天使だ。愛といつも一緒で、華弥とよく遊んでいる。……というか、よく華弥で遊んでいる。3歳ながらなかなかの大物だ。
これはまた状況がややこしくなるかなと思っていると、
「優結、お姫さまごっこは今はおわりなの。華弥ちゃんにあやまらないといけないんだよ」
なんと愛が優結を諭した。
「どうしてー」
よく事情が分かっていない優結はきょとんとして聞き返す。
「華弥ちゃんが嫌がってるからあやまらないとダメなのよ。おひめさまごっこはまた今度するの」
「わかった、あやまるー。華弥ちゃん、ごめんなさい」
「うん、いいよ。今度きれいにして着ようね」
優結の素直な謝罪に、華弥も少し照れくさそうに応える。
みんな本当に優しくていい子だな。愛がお姉さんぶる姿も微笑ましく、成長を感じて感動してしまった。
「なんだー、もう終わっちゃうのかー。可愛かったのに残念」
悪びれた様子もない翔子がにやにやしながらやって来た。
「翔子、着替えを見てくるって言ってたのに何してたんだ。一緒になって遊ぶなよ」
いや、ボクは一緒に遊んでないよ。ちゃんと着替えを“見てた”もんね~」
「また屁理屈を……」
「だって華弥ちゃん可愛いもん。パパも分かるでしょ?」
「そりゃよく分かるけど、時と場合があるだろ」
翔子となんだかんだ言い合っていると、
「翔子姉ちゃんもあやまらないといけないんだよー」
「そうだよー」
今度は翔子が愛と優結に注意された。
「あれ、やっぱりボクも?」
「そうだよ」
「だよー」
「当然だな」
愛と優結に俺も同調する。
「分かったよ。ごめんね、華弥ちゃん。悪気はなかったんだけど、可愛いからさ。今度きれいに着付けしたのを見せてよ」
「はい、翔子お姉ちゃん。着るときは手伝ってください」
よしよし、これで一件落着だな。それにしても愛と優結は頼もしいな。
それに華弥だって、着物を着るならきれいにして着たいだなんて、こだわりをしっかり言えるんだ。気が弱いから心配だけど、少し安心した。
「大事な着物を目につくところに入れていたパパも悪かったよ。今度、愛と優結の分も合わせて着せてあげるから、それで許して」
「はい!」
「やったー!」
「やたー」
華弥、愛、優結が喝采を挙げた。
そうして年少組3人が食卓へ向かった後、翔子が俺に振り向いて言った。
「着るときは手伝ってください、だって! やっぱり華弥可愛いよ。嫌がってる姿もまた可愛いかったんだよな~」
お前、充分悪気あるだろ。俺は黙って翔子の頭に手刀をかました。
そうこうしているうちに出勤時間が近づいてきた。
娘たちの登校・登園より一足先に出発しないと電車に遅れてしまう。
「じゃあ、そろそろ行くよ」
鞄と取って玄関に向かうと、沙織が見送りに来て、お弁当を手渡してくれた。
「いってらっしゃい、あなた」
そう言って、俺の頬にくちづける。
「うん、行ってきます」
俺も沙織の頬にくちづけを返す。
沙織と“行ってきますのチュー”を交わしていると、美貴も駆け寄ってきた。
「ママばっかりずるーい! パパ、いってらっしゃい♡」
俺に飛びつき、唇に限りなく近い場所へ口づけてくる。本当に美貴は甘え方が激しいな。
でもその気持ちが嬉しく、頭を撫でておでこにキスを返した。
他の娘たちも次々と集まってくる。
「お父さん、いってらっしゃい」
「いってらー」
理沙と翔子に続き、
「いってらっしゃい」
凛までが無愛想ながらしっかり見送りに来てくれる。
「パパ、帰ってきたら……ゾロアスター教に……入りましょうね……」
巴が怪しげな微笑みを浮かべながら言う。
「あ、ああ、まずは調べておいてくれよ」
「ええ、もちろんよ……」
俺は苦笑を返すしかなく、話の内容が分からない沙織たちはきょとんとしている。
「おとうさん、まってー」
「パパー、いってきますのチュー」
「チュー」
さっき食卓へついたばかりの華弥、愛、優結もやってきた。
華弥、愛と順にほっぺにチューをしていると、
「パパ、だっこ!」
優結が両手を挙げて抱っこをせがんできた。
「よーし、優結、抱っこだ」
俺は鞄を置いて、優結を抱き上げる。幼児特有の体温の暖かさと、日々成長している体の重さが心地よい。
「パパ、チュ~」
優結は小さな両手で俺の頬を挟んで、鼻の頭にチューをしてくる。
「優結、チュー」
俺も柔らかな頬にチューをする。
「パパ、おちごとがんばって、はやくかえってきてください」
汚れも曇りもない優結の目に見つめられながら言われると、頑張る力がいくらでも湧いてくる。
娘たちは、何気ない一言一言で本当に俺を救ってくれていると実感した。
「うん、優結たちが待ってるから、頑張って早く帰ってくるよ」
優結のふわふわな髪を撫でて、床に下す。
名残惜しいが、この続きは戦いが終わってからだ。
優結の体温が残る手を握り締め、鞄を取り、靴を履いた。
「みんな、いってきます」
「「「「「「「「「いってらっしゃい」」」」」」」」」
妻と娘たち、9人の声を背に、俺は玄関を出た。
我が家の朝はいつもこんな様子だ。なんだか大げさな感じもするが、1日の活力をもらえる大事な一時だ。この家に帰ってくるために、この家を守るために働こうと心から思える。
改めて胸に刻み、腕時計を見た俺は駅に向かって駆け出した。
人名にルビを振りました。(2014.4.22)
改行を増やす等、一部修正しました。
文章の内容自体は変更ありません。(2018.9.29)