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第九話 創られしモノ

幻想水滸伝3に久しぶりにハマっております。

クリスが某サーヴァントに見えて仕方が無い・・・

ペトラルカが温かくも冷めたお茶をを飲んでいる頃、魔女っ娘と依頼人は魔女の古城を目指して夜空を飛んでいた。


秋も深まり、最近の夜は随分冷えてくるようになっている。


それを考慮してメルメは厚着をしてレオルには用意してあった『例のブツ』の別バージョンを着込んでもらっている。


しかしレオルはというと、何と言っていいか分からないのか表情が硬かった。


それもその筈、少年は着ぐるみ(クマ)を着せられていたのだから。






「・・・・これ、本当に効果あるんですか?」


「あるある、ホントあるってば。入手に苦労する珍品なんだから!」


「単に貴女の趣味とか」


「・・・・・・・・・テヘ☆」






少女の背中にしっかりとしがみ付いている状態なので顔は見られる心配は無い。


確かに自分は丈夫ではないので夜の空気は少々堪えるが、これを着ていれば寒くない。


メルメ曰く、『これ着てれば魔術だろうが何だろうが基本的に大丈夫』との事で最悪の場合に備える意味合いも籠めて事前に渡されていたのだ。


それがまさか、魔女の城に忍び込む前に使う事になるとは思っても見なかったが。






「でもどうして深夜になんですか?昼間は動物の姿になっているというなら其処を叩いた方が楽になるのでは?」


「ああ、それは深夜の方が月が出てて道具とか使うのに都合がいいからね」





魔術というのは月が出ている夜の方が威力が高くなる傾向がある。


それは相手の魔女にもそうなのだがレオルが使う道具類も魔術が施されている。


レオルの安全性を考慮した結果、あえて夜に赴いた方が得策だとメルメは踏んでいた。













既にペトラルカがお茶を飲み始めてから既に半刻。


夜も深まってきているのを体内で感じ取り、テーブルで俯いている主人に一体のホムンクルス――――レティスが声をかける。






「マスター、これ以上の起きられているとお体にさわります。ご就寝を」


「・・・そうさせてもらおうかしら」





ホムンクルスたちのリーダーとして製造されたレティスは自分の創造主を休息するよう促す。



彼女はこの城で魔女によって生をうけた最初のホムンクルスであり、次々に生み出されていったホムンクルスたちを纏めるよう命令を受けて以来長年に渡って何十人もの姉妹達を統率してきた。



周りでは彼女の姉妹に当たるホムンクルス達が無表情に命じられた仕事を黙々とこなしていく中でレティスだけが微かな感情を露にして主に接していた。



彼女達には時間というものが存在しない。一応人と同じ生活を送る事可能であるのだが、どうにもこうにも自己を自覚することが構造上困難なのだ。



命令する存在がいないと彼女達は何もせず、朽ちるのを待つだけという『機械化した人間』と揶揄される性質を持つ生体人形、それがホムンクルスである。



性質上彼女達は基本的に容姿身体能力共に優れているので、様々な意味合いで貴族達や王族達に重宝されている。


しかし彼女たちホムンクルスを製造する事すら困難を極めるとされており、また材料が非常に希少な為と製造に時間がかかり過ぎる為に人間には不可能とされている。



その為にホムンクルスは現存するものだけが取引されており、遺跡発掘やその関連産業は世界経済を動かす事が出来るといわれているのだ。



かつて隆盛を極めたとされる失われた技法によってのみ製造可能とされているホムンクルス。



心無き人形達を言われている彼女達だが、無いのではなく『自分が分からない』と言う点と寿命が人間の数倍という点以外は普通の人間と変わりない命である。






「分かったわ、それじゃ私はもう寝るから・・・・片付けた後は皆にも休むよう言って」


「了解しました、マスター・・・・良い夢を」






レティスは深々とお辞儀してから立ち去る主の背中が見えなくなるまで見送って、それから姉妹達に指示を出していく。



運んでおいた食料の在庫を確認し、不足してきた事を把握すると城内の外れにある洞窟内の保管庫に材料を取りに行く為に何人か引き連れて外に出た。













(明日のメニュー・・・・)




唯のホムンクルスならば思考する事は出来ても表現する方法を知らないが、彼女は『特別製』なのである為ある程度は自己精神を持ち、独断で行動する事が可能である。



もっとも、そうしなければ警備や管理上の問題が発生するのでそうされただけであるのだが。



静かな夜の庭を歩きながらホムンクルスは食事のメニューを思案する。


 

『小鳥たち』の事も普段の管理は任されている彼女はその事も踏まえて、量を計算していると一つの知らせが彼女の頭に飛び込んできた。






(―――――――了解、今そちらにいきます)






防衛の為に張ってある探査結界内に未確認反応が侵入してきたとの知らせを受け彼女は姉妹達に指示を与えていく。




「シウ、貴女は後ろの四人と保管庫に材料をいつもの通り取ってきなさい」


「わかりました」


「アルテ、シラナは私についてきなさい。不審者を調べます」


「「了解です、姉様」」






深夜。


月下の下でホムンクルスたちが本来の役目である創造主の居城に踏み入る者に制裁を齎さんと一糸乱れぬ動作で隊列を整え、城内を音もなく疾走する。


侵入者と守護者は双方共に救う為に静かに行動を開始した。















レティスが目標を捕捉し、遭遇したとき芝生の上には一人の少女が立っていた。


その姿は月夜と相成っておとぎの国を思わせる魔女。


背丈はそれほどでもなく、年齢は十二歳前後といったぐらい。携える箒は背丈よりも少々長く、マントももう少しで引きずるギリギリの長さ。


だがどうしてだろうか、其の姿にホムンクルスであるレティスが恐怖を感じていた。




(油断はしない・・・・出来るわけがない)




レティスは目の前の少女から発せられる波動を見た瞬間に感じ取った。己が主に勝るとも劣らぬ威圧感に最大限の警鐘を鳴らす。




「こんばんは、お姉さん。いい月夜ですね」




魔女は三体のホムンクルスと対峙しているというのに悠然と話しかけてきた。まるで近所の知り合いに声をかけるような仕草は緊迫した雰囲気に相応しくなかった。




「・・・・・目的を言いなさい、さもなくば処分します」






来訪者の言葉に返答せず、相手の意思を問いただす為に通告する。


一応、彼女達の主にも交流があるのだが癖のある者達ばかりで、初めて来る時に面白半分で攻撃してくる者もいる。


そういう場合は冷酷な接し方で本題に入ってくれやすい。


もっとも、この招かざる客は最初から交戦する意思があるようだが。






「大切な小鳥が迷い込んだらしくて引き取りに来ただけですから、お構いなく」


「相応の対応をしないと失礼にあたるので、そうは参りません」


「お姉さん、生真面目すぎるっていわれない?」


「・・・・」


「ま、こちらとしては助かるけどね」





少女は箒を構えると共に足元に魔方陣を浮かび上がらせた。半径2メートルの円の中に複雑怪奇な紋様と呪文が刻まれた五芒星が深紅の光を灯らせる。


レティスが懐から取りだしたのは名家の主などが使用人を呼ぶ時に使うハンドベルと呼ばれるものだが改良が施されていた。


取っ手に穴が空けられチェーンが通されており、本来の用途以外の使い道がある事は一目瞭然。






(ペトラルカ様のご就寝の妨げにならないよう、速やかに排除するよう留意)


((了解))





レティスは右にいるシラナと左にいるアルテに意識を通じて命じる。


彼女達、この城に仕えるホムンクルスたちは意識を繋げて直接連絡が可能であり、レティスを中枢に一つの情報網――――――現代で言う所のネットワークを形成していた。


これは城の保持や警備において効率を良くするために『魔女ペトラルカ』によって構築され植え付けられたものである。






「では実力行使させてもらいますかね~」






侵入者の言葉を受けてリーダー格のメイド同様、左右のメイドがそれぞれ得物を取り出す。


シラナは一対のナイフ、アルテは棒針(手芸用、セーターなど編む時に使われる)をこれまた一対取り出し構える。


双方が隙を窺っている中、冷たい風が流れた瞬間魔女っ娘が動いた。





「集え、戦の精霊達よ――――我が盟約の元、立ちはだかるものに粛清を!」





術によって生み出された光の矢たちが存在意義を果たす為、空気を切り裂き射抜こうと放たれ、





「「「迎撃」」」





異口同音な言葉を持ってメイドたちは飛散し回避する。


音無き爆発が空気を震えさせ、それが戦いの合図となった。












一方、レオルはというと・・・・




(見つかったらやばい、見つかったら・・・・!)




少女たちが繰り広げる戦場を遠くから横目にしつつ、城内にこっそりと入ろうとしていた。



『私が派手にやってあげるから、其の間に城内に侵入してレーナちゃんを助けて。ついでに捕まっている子達も余裕があったらお願い。魔女と会う時までにはそっちに駆けつけるから』



・・・と入る前に二手に分かれて行動する作戦でいくとき言われ(一方的に)、びくびくしながら出入り口を探して、ようやく倉庫らしい所から何か運び出している集団に遭遇した。



少年が身に着けている装備は存在次元をずらしてほぼ完璧に察知されないよう処理されているとの説明どおり、何やら運んでいるメイドたちは出入り口の横にある大木から様子を伺っているレオルに気づく素振りすらみせなかった。



容姿端麗なメイドたちに視線が奪われそうになりつつも幼馴染を助ける為に注視する其の先には可愛らしい小柄なメイド・・・・・・・がもっている大きな箱があった。



様々な食材が入っているらしい一抱えほどの箱を十数人ものメイドたちが黙々と城内に運びこんでは戻っていく作業風景をみて、レオルは城内に侵入する方法を考える。





(簡単にいくとは思っていないけど)





自分が思いついた策に従ってレオルはゆっくりとメイドたちに近づいていった。

さて、ホムンクルス達をようやっと出せた!

メイド服を着たキャラを出したいが故に考案したキャラ。



今回は後書き○○はお休みです。

ゲストキャラが逃走してしまいましたので・・・・というか本編で忙しい状況なので無理っぽい。



読者の皆様、宜しければご意見ご感想をばー!!!

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