第五話 労働者はつらいよ
新キャラ登場!そして降版wwww
食事を終え、ベットの上で今後どうするかメルメは迷いに迷っていた。
「う~、どうしよっかなぁ・・・」
少年の方の依頼は下調べはほぼ終わっている。
そもそも相手の情報を少し持っているし、『犠牲』さえ払えば恐らくは即座に解決できると踏んでいた。
ただ、実行には心の整理が必要なのだ。
幸いにも物品の入手と依頼人が都合を合わせるのに時間がかかりそうな状況なので、覚悟を決める時間はあった。
問題は夫婦からの依頼の方である。
本当に神が行っているというならば洒落にならないが、それはありえないことをメルメは知っていた。
それをやってそうな存在が知り合いにいるうえに、その者が同僚だからである・・・・・といってもメルメではなく正確に言えば似たような事をしているだけなのだが。
「そんなこと出来るっていったら、アイツぐらいだもんなぁ・・・」
『彼女』にとって信賞必罰がこの世の絶対的真理である。
一度罪であると判断された者は改善が見られるまで罰が与えられ、努力するものには手厚い加護を与える為に人々に支持されている。
慈悲深い女神として知られる彼女だが、とても融通がきかない性格なのである。
それを思い知っているからこそ、同僚達は皆表立って彼女には逆らわない。
そんな存在に『ごめん、ちょっとこの子だけ見逃して♪』と 言ったらどうなるか。
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「ごめん、ちょっとこの子だけ見逃して♪」
「何か言いましたか?」
「いやだから、見逃してほしい子がいるんだけど~」
「何か言いやがりましたか?」
「いや、だから・・・・」
「如何に子どもとはいえ、罪を犯したのなら償うべきなのです。子どもという理由だけで見逃していたら本人の為にもなりません」
「そこを何とか。なんだったら貴女が好きな例のモノを今度持ってきてあげるわよ?」
「・・・・・・・・・・・・・」
「お願いします、お姉さま♡」
「そうですか、それが貴女の考えなのですね」
「うん。なんで何処からともなく鞭を取り出すの?」
「・・・・・フフフ」
「いや、ちょっと・・・!ア―――――――ッ!?」
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・・・想像だけでも恐ろしい。
相手が誰であろうと彼女は容赦なく鉄槌を下す。
人格が矯正されるまで続くともいわれる彼女の「懲罰」に耐えられるのは極僅かなモノたちと、特殊な性癖を持つ者達のみ。
(二つある依頼の片方が精神的、もう片方が身体的か・・・)
部屋を明るく照らすランプの光が目にしみる。
暫くの間、夜空を眺めながら唸ってベットをごろごろ転がる魔女っ娘。
第三者から見れば中々に微笑ましい光景だが、本人は必死だ。
暫くの間、モンモンと少女らしからぬ裏取引の数々を思案していた。
どうせ賄賂や取引を持ち出しても断られるのが目に見えている。
なら―――――
(説得するしかないか~)
正攻法である説得手段をとるのが最善と思われた。
かといってメルメ自身が赴いたのでは少年の方の依頼に支障が出てしまう。
其の為、『あちら側』にいる存在に頼るしかなかった。
あて先はもう一人の同僚であり、それなりに親交のある人物。
さらに『彼女』を説得できるだけの存在となると、メルメには一人しかいなかった。
(あいつしか頼めないけど・・・)
同僚の中でメルメはあまり重要な仕事をしていない。
役割があまり無いのに加えて、性格上押し付けられる仕事が嫌いな面がある。
その為に扱いが軽んじられており、メルメ本人も自覚がある為に表立って荒波は立てていない。
が、内心不満はある。
そんなメルメを一応気にかけてくれる存在が『彼女』―――神葬の令嬢である。
メルメは荷物の中から洋紙と羽ペンにインクを取り出す。
彼女ならあの堅物を説得してくれるだろう、そう願いながら少女の手は滑らかに、流れるように紙という雪原に言の道を作っていく。
ランプと満月の優しい光が少女を明るく照らしている中、時間は緩やかに積もり重なっていった。
※
一羽の鳥が雄大なる空を飛んでいく。
眼下には一面青色・・・・全ての命の源であり陸に生きるモノにとっても母なる大海原が広がっていたが、鳥は目もくれず与えられた使命を果たすべく飛び続ける。
鳥の首には一通の書簡が括り付けられており、不思議な力の作用で落ちる事がないようにメルメによって処置が施されている。
彼は休む事無いまま一昼夜、空の道を歩き続けて目的の場所が次第に近づいてきたのを視認。
其処は人々からは完全に隔離された神聖さを漂わせる巨大空中庭園。
同じような鳥たちが羽を休める一室に書簡を届けるのが彼の仕事だ。
部屋に入り他に大勢いる同胞達に挨拶をしつつ、鳥たち以外にいる職員達に括り付けられた書簡を丁寧に取り外されるのを確認した。
彼は数日後にやってくるであろう返事を届ける時まで、此処でゆっくりと羽を休めるべく気持ち良さそうにして藁のベッドに横たわった。
「・・・・・・・中々面白い手紙ね」
深紅を基調としたゴシック・ロリータの服装に御身を包ませて、仕事に従事していた大鎌を用いる女性は送られてきた書簡を読むやいなや発言。
「――――――面白い、ですか?」
女性の部下が怪訝そうに答える。
元より上司の言動についていけないところが多少あったが、要請書類に面白いも何もないだろうと内心で呟く。
上司と同格である存在は十七であり、直接的に同僚に要請するなどあまり例が無い。
鳥に括り付けられていた筒は真鍮製。
丁寧かつ精巧な細工と数百年は使用に耐えうるよう造られている代物であり、世界でも指折りの職人の傑作。
これを携えた鳥を使用できるのは世界でも極僅かな者達だけである。
その為に緊急性が高いと判断し、急いで上司に報告した直後の台詞が―――『面白い』。
部下としては立場上難しいと知りながらも、一体どういう事なのか説明してもらいたい。
それが本音だが、正直に言うわけにはいかないというのが実情である。
「ええ・・・一人の少女の為に私達のリーダーを説得して欲しいなんて馬鹿げた要請だから」
部下である男性はあっさりと説明してもらった為に拍子抜けしてしまい、その言葉の意味を理解するのに少々時間がかかってしまった。
そして内容が示す事実――――そして重要さを理解して心なし緊張してしまう。
「あの御方を説得・・・・・メルメ様はそれほどその少女を助けられたいのでしょうか」
元々メルメはこの組織の中では十七の一席を担っているというのに、他の同僚と交流を持とうとしない。
生来の性格や役割に加えて、過去の大仕事にて一悶着あったのが今も尾を引いているというのが通説だが真相は誰も知らないとされている。
「そういう性分だものね、彼女・・・」
部下の目の前にいる深紅の死の神たる女性、その人以外。
趣味や性格、その他あらゆる接点を持てるはずがない二人。
しかし現に二人の間には確かな繋がりがある。
メルメが欧州に留まることに対して態々彼女が弁護するなど、何がしら外側からは見えない繋がりがあるらしいことが伺えよう。
そうでなければ、上官の慈愛に満ちた美笑など見られるはずが無い。
「いかがなされますか?」
部下からの問いかけに言葉で伝えず、流水のような動作で部下に意向を示す。
「承知しました、早急に手配いたします」
指示を受けて部下は準備に取り掛かる為、静かに退室した。
(・・・・また仕事が増えそうね)
女性はその日初めての溜息をつきながら書類に再び目を通して、上申書を作成するべく羽ペンの先にインクを湿らせた。
※
数日後、神葬の令嬢は鳥が書簡を携えてやってきた時と同じ様にメルメに対しての返事を記した書簡を丁寧に括り付けた。
鳥を送り出す準備をしている其の顔を部下は見る事が出来なかった。
花瓶に活けられている一輪の白い花の花弁が落ちた瞬間、一筋の風が吹き込んで女性の深紅の髪を梳く。
赤き瞳に見送られながら、一羽の郵便鳥は堂々と雲の大海へ翼を広げた。
~後書き劇場~ (出番少ない者達の楽屋)
末期(筆者)です。
この度は駄文を読んでいただきまして誠にありがとうございます。
?「皆様初めまして。メルメの想像の中で鞭を持っていた者です・・・私の名前ぐらい明かしてもいいのでは?」
ぶっちゃけお前さんの出番はもうないだろうから無意味www
?「・・・イッペン、イッテミル?」
私は滅びぬ!何度でも蘇るさ!!
?「変態は放置して・・・まぁ考えてみれば、神葬の令嬢などと表現されている彼女の名前が明かされてないのですから妥当な扱いなのかしら」
うん。ぶっちゃけその通り。一応、17人全員の名前と能力は考えてるよ?
?「・・・・チート気味なアレですか」
チートいうな。お前達の存在からしたらこれぐらいないとネb
?「確かそれぞれが別の物語の主人公、或いは中核を担うキャラクターとか」
うん。最初に書き始めた処女作は未だ未完成だがねー
?「初心忘れ、己が欲望にかまける・・・・人はそれを堕落という」
ロ●兄さんっぽい!?
?「彼の言葉には重みが在ります」
存在感もなw
?「そういえば今日はバレンタインデーですね」
ああ、そうだよ。
?「貰う予定はあるのですか?」
家族から(チョコ菓子)
?「・・・・・・・生きてればいい事ありますよ」
優しく慰めるな!チクショウ、本命チョコもらえる奴は人類の敵ッ!!
大体な、神父さんの命日なんだぞ!?
270年頃のローマ帝国において、結婚を禁じられた兵士達の結婚を密かに行っていた神父さんがいました。
その行いが皇帝にバレて、処刑された日が2月14日なの(以下、見苦しいので省略)
?「嫉妬に狂う変態は放置プレイ・・・・・・それでは皆様、よいバレンタインデーを」