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第三話 出会いと契約

少々ミスって未改稿のをうpしてしまいましたので修正。

欧州にあるとある小さな村。


主要都市近辺の村々は日々戦火に怯えながら日々を送っているが、この村はもっとも近い地方都市でも馬車で十日以上かかる程距離がある為に村人達はのどかな生活をしていた。


豊かな自然や風土もそういった生活の要因となっており、この村は激動の時代からは隔離された印象すら持っていた。


夜になり家々の明かりが幻想的な雰囲気を醸し出している様子を、一人の少年がじっと自分の部屋の窓から見ていた。





(・・・はやくこないかな・・・)


「何やってるの、もういい加減に寝なさい!」

「は~い・・・」



母親からの注意も聞き流して少年はじっと窓の外を見つめる。


満月が夜に光を与え、暗闇の中の道しるべとなっている中を時折村人が通る以外に人通りはない。


もう、十分夜も更けており子どもはとっくに寝ているはずの時間である。

それでも少年は待っていた。


もうじき秋も終わり冬になって行く中、一つ少年には悩みがあった。


それは子供の力では解決の仕様がない出来事であった為、ある噂に藁にも縋る思いでかけてみたのだ。


既に村では騒動となりつつあるが、大人たちは子供である自分たちの話など聞こうとしなかった。

・・・正確には大人たちは信じたくなかったのだ。


一人の少女が行方不明になったのを切っ掛けとした一連の騒動の犯人が、自分たちにとって抵抗しようのない存在だという事に。











そっと窓を開けてみる。


風が入り込んできて部屋に夜の冷たい空気が流れ込んできたが、少年は意に介さずにじっと夜の月に祈り続けていた。




(きっと、魔女は来てく――――)


「ご依頼どうもありがとうございま~す♪手紙くれてありがとね」

「うわッ!!だ、誰!?」




突如として後ろから声をかけられ、振り向くと―――後ろにはとんがり帽子被り、大きい箒携えた一人の少女が立っていた。


少年は驚きの余り夜という事も忘れて大声を上げてしまう。

即座に母親から扉越しに注意を受けるが、目の前の光景に驚いてしまい返事出来なかった。



「・・・・・君は?」

「依頼しておいてそれですか。誰って君が依頼した可愛い魔女ですよ?」

「え」



くりくりとした目やさらさらの長髪、また服装のセンスからして魔女というより―――どう見たって魔女ごっこをしている同年代の少女にしか見えなかった。


かなり可愛い容姿をしている女の子。

ただでさえ女の事は話したことが少ない少年にとって、緊張する状況でしかなかった。




「あー、信じてないな!其の目は~」

「いや、そ、その。てっきりお婆さんみたいな人かと思ってたか」

「ん?少年、それは私が老けているといっているのかな~?因みにそういう魔女は時代遅れ、時代は魔女っ娘よ」



魔女っ娘(仮)は心外だという。

本人からすれば依頼があってきたというのに、依頼人から『貴方だれですか』と言われた上、信じてもらっていない。


このままだったらわざわざ来たというのに来た意味がなくなってしまうので、踏んだり蹴ったりという事になるから当然だ。



「一生に一度のお願いってお手紙に書いてあったから、大至急で飛んできたというのにひっどいな~」

「す、すみません。他にどうしていいか分からなくって慌てて書いたので…」



頬を膨らませて怒る其の仕草は誰がどう見たって少女の外見にとてもあっているものであり、数々の伝承にある恐ろしい魔女と同じ存在には少年は見えなかった。


むしろフェアリーや精霊などに近しいと思わせる雰囲気が少女にはあった。



「悪い事言ってすみません・・・」


少年は正直に謝った。

そもそも本気で怒ってなかった少女はあっさりと許す。

単に少年をからかってただけなのだ、この性悪魔女は。



「分かればいいわ――――――で。レオル君は私、つまり“魔女”に手紙を出す事の意味を理解してるよね?」



先ほどまでとは打って変わって少女の顔には年相応さがなくなって、代わりに厳かさがあった。


それは伝承に伝わる魔女としての威厳だったのか、また別の存在としても威厳だったのかはその時の少年には分からなかった。



「・・・・・うん、分かってるよメルメさん」

「うん、良し良し。ではご依頼内容の確認と行きましょうか♪」



その返事に少女は満面の笑みを持って答え、先ほどまでの明るさが戻ったため少年は胸を撫で下ろす。

そうして月夜に少年と少女の間に一つの契約が成立した。

レオルくん、初登場。

ちなみに中性的(やや女顔)な美少年という設定です。

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