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【一年生編完】史上最強魔導士の弟子になった私は、魔導の道を極めます  作者: 白い彗星
第六章 魔大陸編

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392話 今考えても



 みんな、ダークエルフに関しては……嫌ったり、恐れたり、そういう感情を本能に刻み込まれているという。

 そんな、まるで呪いのようなもの。


「誰が、そんなことを? どうやって?」


 そんな、みんなの本能に刻み込む、なんて規模の大きなこと……素直には信じられない。

 でも、ダークエルフに対するみんなの……ルリーちゃんに対するクレアちゃんの様子を見ていたら、一概に信じられないとは言えない。


 ただ、それが本当だとして……そんなことが、果たしてできるのか、という疑問が出てくる。


「んなの私が知るかよ。ただ、事実としてそこにあるだけだ」


「……」


 ……まあ、それもそうか。ダークエルフを嫌う呪いをかけたのが誰かなんて、本人くらいにしかわからない。

 そういう呪いがあるって知れただけでも、少しは進歩したような気もするけど。


 けど、今の言い方だと、ちょっと疑問もあるな。


「でも私は、ルリーちゃんや他のダークエルフも、怖いとかは思わないよ?」


 私はダークエルフに対し、負の感情を抱いたりはしていない。

 私が世間知らずにしたって、本能に刻まれている呪いなら、私にもそういうのあるんじゃないか。


 なのに、私にはそういうのはない。それはなぜか。


「バカだからじゃねえか?」


 ……バッサリだ。


「ま、なにも全世界の全人類がってわけじゃねぇ。てめえや、お友達の"魔眼"持ちの人間もそうだろ」


「"魔眼"持ち……ナタリアちゃん?」


「名前は知らねえ」


 私だけじゃなく、ナタリアちゃんもルリーちゃんのことを友達だと思っている。

 ナタリアちゃんの場合、"魔眼"っていうエルフの目を持っていたから、すぐにルリーちゃんの正体がダークエルフだと気づいた。その上で、仲良く接してくれた。


 かつて、エルフに命を救われて、その目を貰ったって言ってたけど……


「うぅん……昔エルフにお世話になった人は、ダークエルフへの悪感情少なめなのかな」


 ナタリアちゃんを思えばそうだ。私だって、師匠と一緒に暮らしていた。

 そう考えると、納得できる部分もあるか。エルフは数が少なく、関わる人は少ないから、ほとんどの人がダークエルフに悪感情持ったままなんだろう。


 そうすると、エルフ本人のラッへはルリーちゃんに対して、どう思っているんだろう。


「私か? はっ、そこのダークエルフより、てめえのほうが嫌いだな」


 ……またもやバッサリだ。

 エルフだから他の人より呪いの効果が薄いのか、本能で刻まれた呪い以上に私が嫌いなのか……


 悲しいなぁおい。


「私……もう、クレアさんたちとは、仲良くできないんでしょうか」


「そんなことないよ」


 落ち込むルリーちゃんの、肩を叩く。

 気分が沈んでしまうのはわかるけど、あれで終わりなんてこと、絶対にない。


「クレアちゃんは、ルリーちゃんの正体を知って混乱してる。でも、あそこには……ナタリアちゃんもいた。きっと、なんとか落ち着かせてくれてるよ」


 ルリーちゃんの正体を知り、ルームメイトであるナタリアちゃんなら、クレアちゃんを落ち着かせてくれることもできるはず。

 ルリーちゃんが危険でないってことも、わかってくれる。


「そのクレアってガキも、自分がダークエルフと同じ……いや、それ以上におぞましい姿になったってんだから、笑えるね」


 相変わらず、ラッへの言葉は手厳しい。どこか棘がある。

 おぞましい姿……って、言うのは……


生ける屍(リビングデッド)……って、言ってたっけ」


 あのときクレアちゃんは、一度死んだ……殺されたのだ。

 けれど、ルリーちゃんが闇の魔術を使って、生き返らせた。死者を生き返らせるなんて、私も知らない魔術だ。


 でも、一度は死んだ自分がよみがえったのだと知ったクレアちゃんは……とても、つらそうな悲鳴を上げていた。

 その姿を見て、エレガは言ったのだ。生ける屍(リビングデッド)と。


「……あんなに、取り乱すなんて」


「当たり前だろ。あれなら、死んだままの方が本人だって幸せだったろうさ」


 あの姿は、目に焼き付いて離れない。

 あんな思いを、させてしまったのは……紛れもない、ルリーちゃんだ。そして、それを止めなかった私も、同罪だ。


 でも……


「死んだほうが、マシなんて……」


 そんなこと、あるものか。死んだほうがいいなんて……そんな、悲しいことが。


「……わかってねぇようだが言っとくがな。そもそも嫌われ者のダークエルフが扱う闇の魔術、これも人々から疎まれている。

 それに、死者を生き返らせるなんて、そんなもん禁忌だ。それを考え、まして蘇生を試みようとするやつなんざいねぇ」


「……どうして? だって、大切な人が生き返ったら、それは嬉しいことなんじゃ……」


「あぁ、そうかもな。だが、それは感情論……実際に死んだ奴が生き返ったら、そこにあんのは"気持ち悪い"だろ」


 私が知らないだけで、死者を生き返らせるっていうのは、よっぽど重要なことみたいだ。

 エレガは言っていた。一度死に、生き返ったその存在は……生者でも、死者でもないと。


 そんな曖昧な存在にしてしまい、そのクレアちゃんを、置いてきてしまった。

 彼女が生ける屍(リビングデッド)になったという事実は、私たち以外知らないのに。


 不安で仕方ない時に、側にいられないなんて……!


「ま、今んなこと考えても仕方ねえだろ。どうせ明日の、魔族の戦争とやらで私らの知りたいことは知れるんだろ? なら、その時まで体でも休めとけ。そのお友達とは、帰った時によぉく話し合うんだな。

 ……生きて帰れれば、な」


 そう言って、ラッへは横になる。

 冷たい言い方だけど……ラッへなりに、気を遣ってくれたり、しているのだろうか。


 ラッへの言うとおりだ。今は、考えても仕方ないことより……体を休めることに、集中しよう。


「寝よっか、ルリーちゃん」


「……そうですね」

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