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【一年生編完】史上最強魔導士の弟子になった私は、魔導の道を極めます  作者: 白い彗星
第六章 魔大陸編

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360話 わりと詰んでる



 思わずして、ラッヘと名乗る彼女の昔話を、聞いてしまった。

 彼女の気持ちを考えると、とても複雑だ。自分は死んだと思われて、親に置いていかれ……その親は、見知らぬ人間に自分の名前をつけ、育てている。


 もしも、私が逆の立場だったら……

 本当の親の顔なんて覚えてないけど、きっと心中穏やかではいられない。


「あの……あなたのこと、やっぱりエランさん、と呼んだ方がいいですか?」


 恐る恐ると、ルリーちゃんが聞く。

 ラッヘという名前が偽名だった以上、本名で呼ぶべきだろうか。


「はっ、その名前はもう、私の中じゃ大嫌いな名前になってる。その名前は捨てた……ラッヘのままでいい」


 だけどラッヘは首を振る。

 そこにどれだけの気持ちがあるのか、わからない。だけど彼女にとっては、エランという名前も忌むべき名前なんだ。


 なら私も、これからもラッヘと、そう呼ぶこととしよう。


「私の目的は、あの男を見つけ出すことだ。そのためには、まずこの魔大陸から出ないことには話にならねえ」


「あの男……師匠、だよね。でも、師匠がこの魔大陸にいるって可能性も……」


「さっき言ったろ。エルフにとってこの環境は、きつい。

 史上最強の魔導士だか、Sランク冒険者だか知らねえが、エルフである以上、あの男だってこんなところにゃいねえよ」


 人間である私でも、この魔大陸は、空気が重いと感じる。

 エルフは、魔力の質を強く感じるって言うし。この魔大陸は、体に合わないのだ。


 確かに師匠はすごい魔導士だ。でも、いくらすごい人でも、好き好んで環境の悪い所にはいないよね。


「ここから出るためなら、てめえと協力してでもやってやるよ」


「……」


 ラッヘは、私が嫌いだ。そんな私と協力してでも、ここから出たいのだ。

 今のところ、昔話をするくらいには、余裕がある。でも、未知の魔族が住む土地である以上、この先なにがあるかわからない。


 私としても、味方は一人でも多い方がいい。


「うん。ならとりあえずは、三人で協力して、この魔大陸を出よう」


「はい!」


「はっ」


 さて……これで、一応は協力し合うことになったわけだ。

 次にやることは、目的地の確認。ここが魔大陸のどこで、どの方角に向かえばベルザ王国にたどり着けるのか、だ。


 これまでは、あてもなく歩いてきた。それでもまずは、位置を知りたい。

 位置を知るために、どこともわからない道を歩く……不思議な気分だ。


「そういやてめえ、浮遊魔法とか使えるんだろ。ちょっくら空から、周囲を見てこいよ」


 と、ラッヘは言う。

 なるほど、浮遊魔法ならば空から周囲を確認することが、可能だ。それはとてもいい案だ。


 だけど……


「……実は、結構限界近くて……魔法は、ここぞってときに取っておきたい……」


 それは当然、私も思いついたことだ。なのに、実行しない理由。

 それは、魔力の問題だ。今、体内に残っている魔力量、あんまり多くない。


 私、わりと魔力量には自信あったのに……なんか、ルリーちゃんを助けに行った直前あたりから、魔力の消費が激しいんだよね。

 そういえば、Dブロックを勝ち抜いたあとも、すんごい疲れてたっけ。


「魔術を使おうにも、精霊の力が弱まってて、存分な力は発揮できない……ちっ。

 ならダークエルフ、てめえは。てめえらの使う闇魔術は、邪精霊の力を使ってる。つまり、この環境なら使うのに問題ないどころか、効力も増大するわけだ」


 現状の確認……魔法も魔術も、満足には使えない。

 ならば、ルリーちゃんはどうか。ルリーちゃんの使う闇魔術なら、問題なく使えるはずだ。


 ラッヘと私の視線を受けて、だけどルリーちゃんは首を振る。


「私が使える闇魔術は、目くらまし程度です。今お役に立てるかは……」


「ちっ、使えねえな」


「す、すみません」


「ちょっと!」


 ルリーちゃんにも、現状を打開する策はないようだ。でも、そのことでルリーちゃんを責めるのは、間違っている。

 そもそも魔術を使うこと自体難しいし、使えても一つか二つくらなものだ。


 目くらましの闇魔術というのは、以前学園に現れた魔獣に対して使った、あれのことか。


「おおまかな場所もわからないどころか、魔法や魔術の制限もあるってわけか……」


 ……もしかしてこれ、結構詰んでない?


「とりあえず、ご飯食べればなんとかなると思うんだけど……」


「こんな殺風景なところで、なにがあるって?」


 周囲を見ても、食べ物がありそうなところは、なにもない。

 木一本も生えてないし……木の実とか、そういう類いも期待できない。


 この際、魔大陸の食べ物が体に合うか、なんて問題より……食べ物をまず、見つけられるかどうかだ。

 食べ物があって食べないのと、そもそも食べ物が見つからずに食べられないのとでは、違う。


「しょうがない……ちょっとだけ、空から見てみるよ」


「! 大丈夫なんですか?」


「ちょっとならね。それに、ここでこのままなにもしなくても、お腹は空く。

 なら、今魔力を使ってでも、目指す先くらいははっきりさせたい」


 このままあてもなく歩いても、そのうちに体力も魔力も尽きる。

 そうなるくらいなら、空から食べ物がありそうな場所を探して、その方角を目指した方が、いい。


 そういうわけで、私は浮遊魔法を使い、空へ浮かぶ。


「暗い……」


 これまでは、空に浮かべば太陽の光が近づき、眩しかったけど……この魔大陸では、そうはならない。

 空を飛べば気分が晴れることは多かったけど、そんな気持ちにはなれなさそうだ。


「さて、なにかめぼしいものは……ん?」


 周囲を、見回す。空から見ても、殺風景だ。

 だけど、なにかないか……目を凝らして、探す。


 そのときだ……視界の端に、ギラリと光るものが映った。

 ……なにかが、私に向かって、迫ってきていた。

ここまで読んで下さり、ありがとうございます!

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