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【一年生編完】史上最強魔導士の弟子になった私は、魔導の道を極めます  作者: 白い彗星
第六章 魔大陸編

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356話 濁っている場所



 魔大陸……初めて来た、大陸。

 まあ、私は元々、師匠と暮らす以前の記憶はないし、師匠と暮らしてからはあの家と、魔導学園に行くために王都に行った、くらいしかないんだけど。


 まあ、ともかく、初めての場所。しかも、ベルザ王国から遥かに離れた土地。

 そのせいだろうか、違和感を感じるのは。それに、ラッへの様子も変だ。


「ねえラッへ、つらいなら休んだほうがいいよ」


「別に、んな必要ねえよ」


 つらくなんかない、と言うラッへだけど……正直、それは強がりにしか見えない。

 額から汗が流れているし、表情もどこか暗い。


「……多分、周囲の魔力の影響だと思います」


「おい!」


「魔力?」


 なにやら、言いたくないらしいラッへ。だけど構わずに、ルリーちゃんは続ける。


「はい。大気中に漂っている魔力……これが、なんていうか……王国にいたときよりも、うーん……濁っている、と言ったらわかりやすいでしょうか」


「濁っている?」


 説明してくれようと、言葉を探しているルリーちゃん。

 彼女が言うには、周囲の魔力が濁っている、ということらしい。


 濁っているって、あくまで比喩なんだろう。わかるような、わからないような。


「はい。周囲の魔力は、人体に少なからず影響を及ぼしていますが、私たちエルフ族は特に、体にもたらす影響が強いんです。これは、精霊にも同じことが言えます。

 エランさんも、違和感を感じているのでは?」


「それは、うん、そうだね」


 魔力が、人の体に与える影響……それは、魔力の質によって体調がよくなったり、悪くなったり……そういったことみたいだ。

 それを、エルフ族は私たちよりも感じやすい。


 魔力が濁っているから、私はちょっと違和感を感じているし、エルフのラッへは体調が優れない、と。

 そういえば、エルフ族は魔力との親和性が高い、と聞いたな。それも、森の妖精と呼ばれるゆえんだと。


 そっか、だからルリーちゃんは、ラッへの体調の異変の理由がわかったのか。同じエルフ族だから。


 それに、魔力の質は精霊さんにも影響する。

 以前師匠が言っていた。精霊さんには、精霊さんでも嫌う場所がある……と。たとえば、毒のある空間とか。

 それが、魔力の淀んだ……濁った、場所ってことか。


「……そういうことか」


 どうりで、さっきから精霊さんの反応も悪いわけだ。

 ここがまさか毒……のある場所ではないと思うけど、あまり長くいないほうがいい。


 私は、つらそうなラッへと、わりと平気そうなルリーちゃんを見る。


「……ルリーちゃんは、平気そうだね?」


「あ、それは……」


「そいつがダークエルフだからだろ」


 エルフのラッへの様子が悪いのに、同じエルフ族のルリーちゃんは平気そうだ。

 そう思って、聞いてみると……答えるのは、ラッへだ。


 それは、ダークエルフだからというもの。ダークエルフだと、なにか大丈夫なのだろうか。


「そいつらダークエルフは、精霊じゃなく邪精霊としか契約できない。精霊じゃなく、邪精霊と心を通わせるのさ。で、邪精霊は、こういうきったねえ魔力が好きだからな。

 だから、ダークエルフのそいつは体調を崩さない……むしろ、いつもより調子いいんじゃねえか」


「い、言い方!」


 ……ルリーちゃんが平気な理由、それは、ルリーちゃんがダークエルフだから……ダークエルフの体質に、よるもの。

 小難しいことは置いておいて、とにかくダークエルフにとってここは、それほど苦しい場所ではないみたいだ。


 ラッへのように、弱ってしまったらどうしようかと思ったけど……うん?


「ダークエルフはむしろ元気になる? なら、なんでそんな場所に、ルリーちゃんを転移させたのさ」


 自分で考えていて、気づく。私たち……正確にはルリーちゃんだけをここに転移させるうもりだった、エレガ。

 ダークエルフを転移させるならば、ダークエルフにとって毒となる場所に転移させるのが、普通ではないのか。


 なのに、なんでダークエルフが元気になる場所に、転移させたのか。


「私が知るかよ。ま、おおかた、魔族に食い殺されればいいとでも思ったんじゃねえの」


「ま、魔族って人を食べるの?」


「……ものの例えだよ」


 ふむ……なんでこんなところに飛ばされたか、今考えても仕方ないか。

 今はとにかく、ベルザ王国に帰ることを考えよう。


 ラッへはつらそうだけど、動けないほどではないみたいだ。

 私とルリーちゃん、そしてラッへ……この三人で、協力していかないとな。


「じゃ、ベルザ王国に戻りたいんだけど……二人とも、方角とかわかる?」


「わかるわけねえだろ」


「わ、わかりません」


 ですよねー。


 ただ、ここでじっとしていても始まらない。

 なので、とりあえず歩く……歩いた先に、なにか手がかりになるものが、あるかもしれないし。


「はぁ、転移の魔石かぁ。そういうのか、そういう魔法でもあれば、一瞬で帰れるのに」


「そうですね。でも、あんな魔石があるなんて初めて知りましたし、魔法もそういうものごあると聞いたことがありません」


「そういうのがあれば、私はてめえらなんか見捨てて、さっさと帰るんだけどな」


「……そういえば、他にも大陸があるって言ってたけど、そこにまだ竜族とか鬼族とか、生きて暮らしてるってこと? なんだかドキドキするよね。

 でもさ、なにがあって別々の大陸に別れたんだろう?」


「はっ、この場所この状況で歴史のお勉強がしたいって言うなら、教えてやるよ」


「……またにしよっか」


 ただ歩くだけでは、味気ない。なので、他愛ない会話をしながら、進む。

 ……進む。

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