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【一年生編完】史上最強魔導士の弟子になった私は、魔導の道を極めます  作者: 白い彗星
第五章 魔導大会編

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340話 段違いの魔導士



『おぉ、これは! Cブロックで、ナーダ・デルマニ選手が見せた雷の魔法だぁ!』


「ボックの魔術だぞ!」


 客席から、声が飛ぶ。ちなみにナーダ・デルマニの魔術ではない。

 しかも、規模が段違いだ。


 降り注ぐ雷の柱……それは、ナーダ・デルマニが放ったものとは太さも、威力も、全然違う。

 実はラッへも、魔術は無詠唱で使える……しかしそれは、慣れた魔術での話。今回初めて使うものには、やはり詠唱が必要だ。


 先ほどの試合で、ナーダ・デルマニが使っていた魔術……それを見ただけで、実際に使いこなせる力が、ラッへにはあった。


「そんなに邪魔したいなら、もろともに吹き飛ばしてやる」


「くっ!」


 エラン含め、四人の選手を雷が襲う。

 フェルニンは魔法でなんとか弾く。しかし、一つの柱を弾いても、続けざまに放たれるのだ。いちいちすべてを対処は、できない。


 各々がそれぞれの対処をする中で、雷の柱が集中的に狙う場所がある。それは……


「うぉおおおおおおおお!」


 ダッシュで駆け走り、叫び声を上げるエラン。一歩でも足を止めれば、すぐさま雷に打たれる。

 そのあとは、幾つもの雷に集中砲火される。


 ……この雷の魔術。実は一本一本は、元来の魔術の威力とはいかない。この魔術はあくまで"降り注ぐ雷の柱"という魔術なのだ。

 なので、一応魔法でも対処できないことはない。一本や二本なら。


 しかし、降り注ぐものが幾本もの柱となれば、話は別だ。おまけに、魔術は大気中の魔力を使うため、精神力が続く限りガス欠はない。


「ぅわっち!」


「逃げてばかりか、エラン・フィールド!」


 降り注ぐ雷とはいえ、そのすべてがただ単に降り注いでいるわけではない。ある程度は、術者がコントロールできる。

 今エランが集中的に狙われているのが、その証拠だ。


 足元に雷が落ち、飛び跳ねる形でエランは顔面から地面に着地。

 ある程度のダメージは無効化される結界内でも、ある程度以内のダメージはそのまま適応される。


 顔を押さえて悶絶したい気持ちを抑え、すぐさまその場を離脱。雷が、降り注ぐ。


「逃げるなエラン・フィールド! そんなものか!」


「そんなこと言ったって仕方ないじゃん!

 ……なぁんて」


 逃げる、逃げる、逃げる……しかしエランの狙いは、ただ逃げるだけにはない。

 あっちこっちに逃げ回っていたのは、撹乱するため。本当の狙いは、逃げるふりをして術者を叩くこと。


 魔法も魔術も、魔導そのものを打ち消す以外ならば、術者を倒せば消える。

 まして、必要以上に精神力を使用する魔術ならば、少し切り崩すだけで充分だ。


「覚悟ぉー!」


「だろうと、思ったよ」


 飛びかかるエランに、ラッへは口元を歪ませた。フードに隠れて、その姿は見えない。

 直後、エランに向かって魔法が放たれた。とっさのことにエランは、ギリギリ体をひねってかわすので、精一杯。


 ラッへを狙っていたその思惑は外れ、着地する。

 今のは、魔法だ。ラッへは目の前にいる。ならば、他の選手か。

 フェルニンか、アルマドロン・ファニギースか……


「! あー、そういうことか」


 誰にせよ、警戒は怠らない。目の前のラッへに注意を向けつつ、視線は魔法を撃ってきた術者へ。

 そこに立っていたのは……ラッへだ。


 二人のラッへが、エランの視界の中にいた。本来ならば、ありえないこと……しかし、魔導がそれを可能にする。

 しかも、エランは実際にやったことのある魔法だ。


「分身魔法か」


「そういうこと。……足、止めていいの?」


「おわっ!」


 ラッへが二人いる理由……それは、分身魔法に他ならない。

 片方が魔術を放ち、片方が今エランを狙って魔法を放った。魔術を放ちながら器用なことだ、とは思ったが、実際エランは分身魔法での二重詠唱を行った。

 相手がなにをしても、不思議ではない。


 そして、実感する……分身魔法の、その厄介さを。


「ピギュアァ!」


「ウォーリー!」


 アルマドロン・ファニギースの使い魔、ウォーリーが雷に打たれ、撃墜される。空を飛ぶ鳥は、かっこうの的だ。

 あちこちに落ちる雷が、次々と選手たちの退路をなくしていく。

 元々逃げ場などない舞台上だ、逃げる場所もそう多くはない。


 ならば、それぞれの思惑は一つ……ラッへ本体を狙う。

 しかし、本体を守るように、立ちふさがるのは分身体だ。


「おのれ、ウォーリーの仇だ!」


「あ!」


 足踏みすることなく、立ち向かうのは使い魔をやられた、アルマドロン・ファニギース。彼はその巨体からは考えられない速度で、ラッへの懐へと潜り込む。

 が、それを読んでいたのか。目の前に来たアルマドロン・ファニギースの眼前に、手のひらが突きつけられていた。


 魔力の流れを制御できるラッへに、杖は必要ない。ゆえに、手のひらから遠慮なく、魔力弾が放たれる。

 もっとも、この距離からなら制御が効かなくとも、放って問題はないが。


 強烈な魔力弾と、正面衝突……する未来は、しかし訪れない。


「っ?」


 放たれた魔力弾……しかしそれは、アルマドロン・ファニギースの顔面には当たらなかった。

 それはなぜか。魔力弾をかわしたから……ではない。


 魔力弾が、止まっているからだ。


「これは……」


「せい!」


 その光景に、ラッへがあっけにとられる。その一瞬の隙を狙い、アルマドロン・ファニギースはラッへの分身体を投げ飛ばす。

 邪魔者がいなくなり、続いて本体へと手を伸ばして……


「っづ……!」


 のけぞるラッへの、フードに指先が触れ……その素顔が、露わにとなった。

 美しい金色の髪、白き肌、尖った耳、そして緑色に光る瞳……


 その特徴を持つ存在は、一つしかいない。


「エルフ……?」


 誰かが、つぶやいた。

 さらに、驚くべきは……ラッへの顔だ。その顔は、ある人物にそっくりだった。


「わ、私……?」


 そう、エラン・フィールドに。


 ――――――


「……エルフ、見ぃつけた」


 エルフの存在に、ざわめく会場……そんな中、観戦席にいたある人物が、エルフの存在に、にやりと笑みを浮かべた。

ここまで読んで下さり、ありがとうございます!

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