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【一年生編完】史上最強魔導士の弟子になった私は、魔導の道を極めます  作者: 白い彗星
第五章 魔導大会編

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334話 その素顔に隠された秘密



 "魔人"であるノマを一気に倒してしまおうと、魔力を溜めていたラッへ……しかし、その動きが止まる。

 否、止められた。


 自身の動きを止めた要因へと、ラッへは振り返る。なんとか、振り向くことくらいはできる。

 そこにいたのは、額に三つ目の目を開いたシルフィドーラ。その力こそ、三ツ目族の能力の一つだ。


「三ツ目族は珍しい種族だから、力の詳細は謎に包まれてる……体の拘束を奪うのが、その目の秘密?」


「ふん、話すわけがないだろう」


「そうだね」


 これがあの目の力であることに、違いはない。だが、それが種族としての能力だろうと、魔力によるものだとしても、どちらでも変わらない。

 なにが相手だろうと……やることは、変わらないのだから。


「……っ」


 次の瞬間、ラッへから一気に魔力が吹き出し……拘束が、強制的に解除される。

 力を破られたことにシルフィドーラは驚愕し、その隙をついてラッへは魔力弾を撃ち込む。


 シルフィドーラは次なる動きを見せようとしていた……それを、事前に防いだ。

 なにをやるつもりだったのか、興味がないわけではない。だが、珍しい種族だからといって、わざわざ待ってやるつもりもない。


「せやぁあああい!」


「わざわざ声上げたら、後ろから仕掛ける意味ないじゃん」


「どうせ、魔力の動きはわかっているのでしょう!」


 ラッへの背後から、勢いの強い掛け声が。同時に飛び上がるノマは、魔力を纏った右拳を振り落とす。

 寸前に展開された魔力防壁、それと拳とが衝突し、激しい風圧が生まれる。


 展開された魔力防壁は、ピシッ……とヒビが入る。眉を寄せるラッへは、その場から後ろへと飛び、離れる。

 その直後、魔力防壁は砕ける。


「だんだん力が増してる、か」


 冷静に分析し、追撃してくるノマに反撃。拳が、蹴りが、互いへ向かって放たれる。

 その余波に巻き込まれ、残る選手も吹き飛ばされ……


 ついに舞台上には、ノマとラッへの二名だけが立っていた。


『残るはついに二名! 魔導学園生徒ノマ・エーテン選手! 対するは、謎の参加者ラッへ選手!

 どうやら戦況は、徐々に傾いてきている模様!』


「くっ、ぅあ……」


 傍目からは、両者の戦いは互角に見えていた……しかしそれは、次第に素人目にも、戦況が傾いてきていることを理解させる。

 そう、ラッへ優勢へと。


 "魔人"であるノマに、半端な攻撃は通じない。その硬さを持ってして、ラッへの攻撃を防ぐことはできない。


「く、ぅ! とりゃ!」


「"消えろ"」


 殴り合いの勝負では敵わない。ならば魔導で、と思い魔法を放つが、それは言霊により打ち消される。

 ノマの放つ手段が、一つ一つ消されていく。


 このまま、ただ一方的に負けてしまうのか。どれだけ努力しても届かず、事件に巻き込まれた副産物でたまたまこの力を手にして、それでも……

 まだ彼女には、届かないのだろうか。


「エラン、さん……」


 この試合に勝ち、決勝をエランと戦う……その思いは、どうやら叶いそうにない。

 こんな体たらくでは、エランにはまだまだ、追いつけない。


 自然と、彼女の名前が口に出た。その瞬間……


「っ……」


 ラッへは歯を食いしばり、ノマを睨みつける。伸びる手は、ノマの首を掴む。

 そのまま、地面へと打ち落とそうとして……


「ぐ、ぅ……」


 せめて……最後の悪あがきで、ノマはもがき、暴れる。

 それが鬱陶しくて、ラッへは首を絞める手に、力を込めて……


「あっ、ぐ……!」


 苦しみに喘ぐノマ。しかし最後まで、その目は死んでいない。勝てないだろうとわかりながら、せめて最後まで足掻いてやる。

 エランだって、ゴルドーラとの決闘では、あんなにも足掻き、最後まで戦ったではないか。


 ノマは、暴れ、もがいて……目の前に見える頭へと、思い切り頭突きをする。


「っ、つ……」


 ゴンッ、と鈍い音がして、少しラッへが後退りした。ここにきて、ついに攻撃が当たった。

 早く、距離を取らないと……そう考えるノマは、ラッへの手を引き剥がそうとする。


 ……しかし、次の瞬間には動きが止まってしまう。止まってしまった。


「ぇ……」


 目の前の……露わになった顔に、たまらず息を呑む。

 頭突きをした影響で、フードが捲れたのだ。ノマは目の前にある、ラッへの顔を見ることになる。


 金色の髪、緑色の瞳、尖った耳……思っていた通り、エルフだ。それも、おそらくは女……見た感じ、ノマと同い年くらい。

 もっとも、エルフ族は見た目と中身の年齢が合わないが。


 しかし、ノマが驚いたのは、エルフという予想が、当たっていたからではない。

 ……そこにあった顔が、見知った顔にそっくりだったから。


「……エラン、さん……?」


 ラッへ……彼女の顔は、エルフ族の特徴だ。彼女がエルフであることに、間違いはない。

 問題があるとすれば、ラッへの顔が、ノマにとっておまりに身近な人物だったということ。


 こんなギリギリの状態でも、視線を外せない。……ラッへの素顔が、エランにうり二つだったからだ。


「……っ!」


 それを指摘された瞬間、ラッへは怒りに瞳を燃やし、力任せにノマを地面へと叩きつける。

 さらに、抵抗できないノマに、至近距離から魔力エネルギーをぶつけるという、おまけつきで。


「……かっ……」


 さすがのノマも、こんな距離から攻撃を受けては、なす術はない。

 ついには気を失い、それを確認してラッへは離れる。フードを被り直し、その顔を再び隠して。


『け、決着ぅー! Eブロックの試合、ここに決着しました!

 最後まで立っていたのは、ラッへ選手! 決勝へ進むのは、ラッへ選手です!』

 

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