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【一年生編完】史上最強魔導士の弟子になった私は、魔導の道を極めます  作者: 白い彗星
第五章 魔導大会編

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332話 復讐者



『ガルデ選手! すさまじい猛攻でしたが、ことごとく届かず! ついには捕まってしまいました! 小柄ながら、なんという力でしょう! ガルデ選手を持ち上げています!

 えー、対する選手の名前は……ラッへ選手と登録されております!』


 フードで顔を、そしてマントで体を隠してはいるが、小柄な人物……エルフは、ガルデの首を持ち上げる。

 その光景に、会場はざわめき……その中でも、ルリーは人一倍に注意を払っていた。


 あの冒険者は、エランと友達だという男だ。

 しかし、ルリーが注視しているのは、だからという理由ではなく……また、注視しているのは、もう一人の人物の方だ。


「ラッヘ……」


 司会の男の言葉に、ルリーは形のいい眉を寄せ、誰にも聞こえない声でつぶやく。

 ラッヘと、その名前にルリーは、思い当たることがあった。

 しかし、それはあの人物と会ったことがある……という意味ではない。


 人の名前など、そこに込められた意味は様々だ。そのすべてを推し量ることはできない。

 だが、あの人物の名前……『ラッヘ』という名前は……いや、単語は……ルリーにとって、聞き逃せないものだ。


 なんせ、『ラッへ』とは……エルフ用語で、『復讐』を意味する言葉なのだから。

 ダークエルフであるルリーが、それに気がつかないはずがない。


「あの人……エルフ……? それに……偽名、なんじゃ……」


 この魔導大会は、なにも本名で登録しなければいけない、という決まりはない。

 進んで偽名を使う者も、いないのだが。


 もしも、ルリーの考えている通りなら……あの人物はエルフで、偽名を使っている。それも、かなり物騒な意味の。

 この事実に気付いているのは、おそらく、自分だけ。いったいなぜ、エルフがこの国に……それも、こんな人目のある大会に……


「お姉ちゃん、どうかした?」


「! ううん、なにもないよ」


 隣のクレアの膝の上に乗っていたフィルが、ルリーの様子に気付いたのか、声をかけてくる。

 先ほどまでルリーの膝の上にいたが、さすがにずっとは疲れるので、クレアと交代してもらったのだ。


 なんにせよ、この事実を話せるのは……ルリーの事情を知っている、エランかナタリアくらいだろう。

 このままなら……あのエルフが勝ち残る。そして、決勝でエランとぶつかることになる。

 そうなる前に、エランに伝えたいが……


「……どうしたものかなぁ」


 観客は、選手の控え室には入れない。なので、エランからここまで来てもらうしかない。連絡用の端末も、大会中は切っておかなければだし。

 とはいえ、エランならわざわざ伝えなくても大丈夫な気もする。

 第一、これを伝えてどうなる問題でもないし。


「わぁー!」


「!」


 そうこう、考えを巡らせている間にも……試合は、動いていく。


 ――――――


「ねぇ、知ってるんでしょあの女のこと。お友達かな、それとも……」


「せりゃあ!」


「!」


 首を絞め、ガルデに問いかける……そのラッへの顔に、鋭い蹴りが放たれた。しかしそれは、ガンッ、と鋭い音が響くに留まる。

 しなやかに伸びた白い脚は、魔力防壁に阻まれた。


 鋭い蹴りを放ったノマは、ラッへの顔をキッと睨みつける。


「平気なんだ……生身なら、骨が折れちゃってると思うけど」


「お生憎様。魔力で強化してますのよ」


「それだけじゃないよねぇ」


 なおもノマはら片足のみで蹴りの連打を打ち込む。

 鋭い音こそ響くが、魔力防壁を破るには至らない。


 魔力を纏っていても、生身では激突した瞬間骨が折れてしまうだろう強度を誇る魔力防壁。

 それを平然とした顔で攻撃を続けられるのは、ノマの体が"魔人"として強化されているからに他ならない。


 以前とは比べ物にならないほどに魔力は上昇した。さらに、体も強化されている。

 並の魔力防壁ならば、一撃で砕けているはずだ。


「硬い……!」


「こっちの台詞だ、よ!」


 互いに一筋縄ではいかないことを理解し、すぐさま動くのはラッへだ。手に持っていたガルデを、ノマへとぶん投げる。


「わっ……!」


 突然ぶん投げられたガルデの姿に、たまらずノマは足を止めてしまう。

 いくら結界内とはいえ、すでに意識が飛びかけているガルデに先ほどの蹴りがぶつかれば、どうなってしまうか。


 いや、それ以前に、いきなり飛んできたガルデに驚きとっさに、足を引っ込めてしまった。


「わぷっ」


 そのため、飛んでくるガルデを避けることもできず、体が衝突する。

 体がふらつき、倒れないために踏みとどまる……が、それは大きな隙となる。


 目の前にいたはずのラッへは消え、次に襲い来るのは下からの衝撃。

 ぶん投げられたガルデの影に隠れ、ラッへがノマの懐に迫り、彼女を打ち上げるように弾き飛ばした。


 ガルデともろともに、上空に打ち上げられる。


「……じゃあね」


 上空では身動きがとれない。そんなノマに向けられる、ラッへの右手。その先に、魔力のエネルギーが溜められていく。

 高密度の魔力。それなりにタメが必要なはずのそれは、しかしエネルギーが溜まるのは桁違いに早い。


 狙いをノマへと定め、高密度の魔力は放たれる。ノマは魔力防壁を張ろうとするが間に合わず、そもそも魔力のないガルデは身を守る術がない。

 二人は、ラッへの強力な魔力に飲み込まれた。


「さて……これで残ってる厄介そうなのは、あなただけかな」


「っ……」


 空中で爆発を起こし、ノマとガルデが魔力の衝突に巻き込まれたことを確認。

 次いでラッへの視線は、シルフィドーラへと注がれる。

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