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【一年生編完】史上最強魔導士の弟子になった私は、魔導の道を極めます  作者: 白い彗星
第五章 魔導大会編

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322話 エラン大暴れ



「おー」


 試合開始のその直後。各選手たちが、一斉に向かってくる。その光景に、エランは声を漏らした。

 バトルロイヤル形式のこの試合、先ほどまでの試合と同じく入り乱れると思っていたが、まさか一斉にエランへと向かってくるとは。


『Dブロック参加者総勢百名!

 そのほとんどが、まっさきにエラン・フィールドを狙うー! 子供一人におとなげないことこの上ない!』


 Cブロックのように、事前に組むことを決めていたのだろうか……

 ……いや、そうではないだろう。


「覚悟しろエラン・フィールド! お前の首はこの、カマイタチのセズ様がもらったぁ!」


「いやこのおれ、ポッキーウマシのススリン様がいただいた!」


「待て待て、おいらドラム缶のビストルのものだ!」


「個性的な人多いな……」


 頼んでもいないのに口々に名乗りを上げるのは、魔導士だからか冒険者だからか、それともただの趣味か。

 いずれにしろ、エランを狙っている彼らはその手柄をひとり占めしようとしている。


 つまり、事前にエランを倒そうと画策していたわけではない、ということになる。


「やだもー、私ってば、みんな一斉に狙っちゃうくらい魅力的ってことー? やだもー」


「ひゃっほぅ!」


 頬に手を当て、くねくねと体を動かしているエランに、横薙ぎの斧が迫る。

 刃は確実に首を捉え、そのまま振り抜きエランの首を斬り裂いた……


 ……はずだった。


「! すり抜けた!?」


 振るった斧がすり抜けたことに、カマイタチのセズは驚愕する。

 この結界内では、ある一定以上のダメージは無効化される。死に直結するようなダメージは、傷こそ負わないがそのまま戦闘不能へと至る。


 しかし、斧はすり抜けた。首を斬り裂くなどの大きなダメージ、それは結界内では無効化されるとはいってもも……すり抜ける、なんてことはありえない。

 もしも、すり抜けるのが本当だとしたらそれは……


「! 幻影か!」


 それが幻影であることに、カマイタチのセズはいち早く気づく。冒険者としての勘は、健在だ。

 聞いた話では、エラン・フィールドは浮遊魔法に分身魔法と、多才な魔法を使う。幻影魔法くらい使えてもおかしくはない。


 ……だとするとエランは、いったいいつから幻影魔法を使っていたのだろう。


「っ、なら本体はどこに……ぁう!」


「ここだよーん」


 いつの間にか、カマイタチのセズの背後に立っていたエランが、杖の先端をつんと、カマイタチのセズのうなじに押し当てた。

 するとカマイタチのセズは、間抜けな声を漏らしながらその場に倒れた。


 意識は、ない。


「な、一撃!? なにを……」


「ちょっとツボをね、強めの力で刺激しただけだよ」


 なにが起きたかわからないといった具合に騒ぐ選手たちに、エランは得意げに説明する。

 人間にはいくつものツボがある。それを探し当て、魔力強化で強化した杖でそこを突っつけばあら不思議。ばたんきゅーとなるのだ、と。


 しかし、理屈はわかっても実際にそれをできる技量と力は簡単ではない。


「ほらほら、そこで固まらずにかかってきなさいよ」


「ちっ、なら望み通りやったらぁ!」


「噂通りのとんでもねえ女だ、お前を倒せば俺の名も売れるってもんだ」


「ひゃおーぅ!」


「邪魔すんな!」


 エランを狙うのは、さすがに全員ではないがそれなりの数がいる。しかし協力しようという気持ちはないのか、ギャーギャー言い合っている。

 誰がエランを先に倒すか、我先にと飛び出す者が後を絶たない。


 しまいには、エランを狙う者と狙う者とで奪い合いの組み合いが始まってしまうほどだ。


「やめて! 私のために争わないで!」


「余裕だなてめぶべぁ!?」


 後ろから飛びかかってきたモヒカン風の男を、裏拳でぶっ飛ばす。

 今のはなにも言わず、潰し合うのを見ておいたほうがよかっただろうか。しかし、それだと強いやつと戦いたいエランの気持ちに反する。


 どうせなら、強いやつと、たくさん戦いたいのだから。


「そんな順番取りなんてしないでさー、まとめて来なよ」


「! おいおい、ずいぶん余裕じゃねぇか。ならここにいる全員でかかっても……」


「うーん、それも悪くないよねぇ」


 さすがに百人……いや、自分を抜いたら九十九人か。その相手をするとなれば、骨が折れるだろう。

 だが、それすらも面白いかもしれないと、エランは笑った。


 そして……次の瞬間、舞台の人口密度が、増えた。


「! こりゃあ……!」


 舞台に上がってしまえば、戦闘不能脱落で人が減ることはあっても、増えることはない。

 しかし、今人数が、増えている。その理由は……


「こいつが、分身魔法ってやつかい……!」


 周囲に現れるのは、エラン・フィールド。それも、一人や二人ではない。

 次々と、現れる。その数十を超えるほど。


 分身魔法……これにより、エランはその姿を増やすことができる。

 エランが二人になれば、その力は単純に倍……というわけではない。分身魔法は、分身人数が増えれば増えるほど、一個の力は弱くなるのだ。


 とはいえ、エランはゴルドーラとの決闘の後、分身魔法についても鍛えた。鍛えたとはいっても、分身人数を増やせば一個の力は弱くなる、という性能は鍛えようがない。

 鍛えたのは、分身の動き。


「よっ、ほりゃ!」


「うぉお!?」


 分身体の一人が、近くにいた選手を投げ飛ばす。

 分身魔法を鍛える過程で、気づいたことがある。分身が増えれば増えるほど、一人の力もまた低下する……そう、思っていた。

 そしてこれは、正しくて間違いだ。


 この"力"というのは、イコール魔力のこと。つまり、分身が十いれば魔力は本来の十分の一。

 それは変えようがない。しかし、身体能力は別だった。


 エランはこれまで、力が減少するのは魔力も身体能力も、体の機能すべてだと思っていた。勝手に思い込んでいた。だが、減少するのは魔力のみ。

 身体能力は、減少せず本来の性能のままだ。つまり……


「うぇええい!」


「ぶはっ!?」


 魔法を使わず体術にのみ専念すれば、エランは今十倍の力を手に入れたことになる。

 さらに、エラン自身の魔力は減少しても、大気中の魔力は変わらない。なので、魔術の威力はそのままだ。

 これは、ゴルドーラとの決闘時に確認済みだ。


 分身含め十人のエランは……本能の赴くまま、暴れまわっていく。

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