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【一年生編完】史上最強魔導士の弟子になった私は、魔導の道を極めます  作者: 白い彗星
第五章 魔導大会編

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321話 魔導学園の狂犬



『さあ、予想外の盛り上がりを見せたCブロック! まもなく始まるDブロック、選手たちも続々入場してきます!』


 割れんばかりの歓声とともに、Dブロックに出場する選手たちが入場する。

 今までは、試合を見る側、歓声を浴びせる側だった……しかし、ここに立つと言うことは、その逆。


 試合を見られる側、歓声を浴びせられる側になる。その圧倒的な熱に、エランの体はぶるりと震えた。


「これが……」


 みんな、こんな中で戦っていたのか、と、エランは感心する。

 今まで、師匠であるグレイシア・フィールドと二人きりで訓練していた。魔導学園に入ってから、初めて人前で試合をした。決闘をした。


 それとは、比べ物にならない規模だ。

 体は震える。しかし、怯えではない。


『注目選手もあちらこちらに! あちらにいるのは……』


 司会も、熱が入る。今日、大会が始まってからずっと叫んでいるけど疲れないのかな、とエランはぼんやりと思った。

 知らない顔ばかりだ。エランにとって、学園で知った人以外は、まだこの国のことはよくわかっていない。冒険者ギルドや、宿ペチュニアで見た顔はちらほらいる気がする。


 今紹介されている貴族だって、ものすごい有名みたいだが、エランには誰のことやらさっぱりだ。


『おおっと、、ただいま入場してきた少女は! 魔導学園新入生にして、すでに数々の騒動を起こしているトラブルメーカー!

 先輩だろうが教師だろうが、触れる者みな噛み付く! 狂犬エラン・フィールドォー!』


「おい待て! なんだその紹介!?」


『さっそく私にも噛みついてきた! 怖い! でも、私負けません!』


「ツッコミだよ聞けよ!」


 突然とんでもない紹介をされ、エランが目を剥き叫ぶ。いったい彼女のことはどんな風に伝わっているのだろうか。

 というか、先輩や教師に挑んだことは、実際間違いじゃないので訂正もできない。


「って、その、みなさんご存知みたいな言い方は……」


 学園内の出来事が外まで伝わっているのか。それにしたって、どんな紹介だと思う。

 こんな紹介、ドン引きだろう。


 しかし、予想に反して会場の盛り上がりはすごい。まさか、エラン・フィールドという人間は、今紹介された感じで世間に認知されているのだろうか。


「なんで!?」


「ま、学園であれだけ有名になれば、どっかから話は漏れるって。

 俺も、面白い子がいるーって家族に話したことあるし」


「おいぃ!?」


 本人の知らぬところで、エランの情報が漏れていた。ケラケラと隣でタメリアが笑う。

 自分の知らないところで自分のことを知られているというのは、嬉しいやら恥ずかしいやら……


 せめてもう少しいい話なら、嬉しさはあったのだが。現時点ではただただ恥ずかしさしかない。


「あいつが噂の……」


「なあ、前にギルドに盗賊持ってきた奴じゃねえか?」


「俺は魔獣をタコ殴りにしたって聞いたぞ」


「なんでも、冒険者ギルドを締め上げてトップに君臨しているとか」


 ひそひそと、選手たちもエランを見て話を始める。

 いったいどこまで話が広がっているのだろうか。しかも半分以上本人も知らない話だ。


 ただでさえ黒髪黒目という人物は目立つのに、彼女の行いが余計にひと目を集めている。


「わー、ママ人気なんだー!」


「フィルちゃん、しー!」


 ……熱量にかき消されていなければ、この発言を発端にまた騒ぎが大きくなっていたことだろう。

 観戦席にいたルリーは、自分の膝に乗せているフィルの頭を撫で、落ち着かせた。


「すごい人気だな、しかし」


「ダルマス……」


「あちこち手を出す狂犬ともなれば、」


 呆然とするエランに、イザリ・ダルマスが話しかけてくる。その腰には、当然のように剣が下がっている。

 嫌味ったらしい言葉だが、その表情に以前のような刺々しさはない。


 彼とは、今日までの間放課後に、ちょくちょく訓練してきた。魔力の使い方を改めて直し、剣と合わせる。

 魔導剣士として、彼は目まぐるしい進化を遂げていた。


『続いて彼女の隣に立つのは、ダルマス家長男の……』


「キミだって結構人気じゃん、ダルマ男」


「……その呼ばれ方も久しぶりだな」


 お返しだというように、エランは昔の呼び名を出してふふん、と笑う。

 最初は、彼のことはよくダルマ男ダルマ男だと言っていたものだ。


 こうして同じ舞台に立っている、乱戦なので純粋な一対一とはいかないだろうが、また仕合うことができて楽しみだ。

 以前のように、簡単に勝つことはできないだろう。


「ま、お互い悔いのないようにね」


「あぁ」


『出揃いましたDブロック! 果たして勝ち残るのは誰なのか! 私も司会ではありますが一観客として楽しませていただきます! いやぁ、こうして司会を任された以上、どうせなら私も皆様と同じように、いやそれ以上に楽しんで……』


「うるせえ! 早く進めろ!」


「引っ込め馬鹿野郎!」


 相変わらず観客たちは司会に冷たい。とはいえ、こちらはさっさと試合が見たいのだ、その対応も当然というもの。

 司会はしゅんとしながらも、気持ちを切り替える。


『それでは、改めまして出揃いましたDブロック! 勝ち残るのはいったい誰か!

 今、仕合開始のゴング!』


 ゴーン、と大きな鐘の音が鳴り、試合開始の合図を報せる。

 各自、狙いは様々だ。相手の出方をうかがうか、先の試合のように我先にと仕掛けるか……


 一瞬の膠着の後、一斉に動き出す。


「……おや?」


 示し合わせたのか、それとも偶然か……選手たちの狙いの矛先は、エラン・フィールドだ。

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