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【一年生編完】史上最強魔導士の弟子になった私は、魔導の道を極めます  作者: 白い彗星
第五章 魔導大会編

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314話 魔導合戦



「ちっ……!」


 杖が、宙を舞う。

 繰り出されるヨルの二刀からなる魔力の斬撃を、なんとか弾いていたが……それもついに、限界が訪れる。


 ただでさえ、ゴルドーラの得物は一つに対して、ヨルの得物は二つ。

 その上、ゴルドーラの右腕はほぼ使い物にならない。先ほどの魔力爆発を右腕で庇ったためだ。


 なので、手数の時点で不利だった……それに加えて、ヨルの魔力は上昇し続けていた。

 どちらに戦況が傾くのか……それは、少し考えれば誰にでもわかること。


「とりゃあ!」


「!」


 得物を無くし、無防備になったゴルドーラの体に、一閃……いや、二閃が放たれる。左右の得物を、バツ印のように振り下ろして斬撃を放つ。

 無防備なゴルドーラは、それをまともにくらい、相応のダメージを負わされて……


「ありゃ?」


 しかし、斬撃は通らない。

 ゴルドーラに振り下ろした刃は、彼に届く前に止まってしまった。見えない壁に阻まれて、振り下ろし切ることができない。


「魔力防壁……まだそんな力残ってたか。けど……」


「あぁ、長くは持たない……が、それで充分だ」


 パキパキ、と魔力防壁がひび割れ、それは数秒で砕ける。

 しかし、数秒あれば充分だ。後ろに飛び退き、振り下ろされた斬撃を回避する。


 さらに、宙を舞っていた杖をキャッチ。その切っ先をヨルに向け、放つのは瞬く光。


「! 目眩ましか……!」


 一瞬の閃光で、ヨルの視界を奪う。その間に、ゴルドーラは体勢を立て直す。

 接近されれば、先ほどの二の舞いだ。なので距離を取りつつ、集中力を高めていく。


「命の源よ、清らかなる水よ、天恵より与えられし大いなる水よ、其れは全てを呑み込みし千波(せんぱ)となり……」


「! 魔術詠唱か!」


「母なる海へと景色を変えろ!」


 周囲の魔力が昂ぶり、ゴルドーラへと、彼の持つ杖へと力が収束されていく。

 目は見えずとも、ゴルドーラのやろうとしていることがヨルにはわかった。


 ゴルドーラが使おうとしているのは、水属性の魔術。それは彼の詠唱内容からも読み取れるが、実際にこの目でも見た。

 エランとの決闘で、あの大きな規模の魔力を。


 ゴルドーラの手の内は、エランとの決闘でほとんど割れている。もちろんあれが全てとは限らないし、見たからと言って簡単に対処できるものでもない。


「一方的に知ってるから、フェアじゃない……なんて、言わないでよね」


 ヨルは、ゆっくりと目を開く。そこには、すでに詠唱を終えたゴルドーラの姿。

 その姿に、ヨルは小さく笑った。


 もしも、自分が事前情報なしでゴルドーラと戦っていたとしたら……ここまで全然できたかはわからない。だから、あそこまで食いついたエランはすごいと、素直に思う。

 その彼女と、戦ってみたいから……


大海水魔(アクアマリンシービル)!!!」


「勝つのは、俺だ!!」


 ゴルドーラとヨルが、杖を振るうのは同時だった。

 ゴルドーラの放つ、水属性の魔術。圧倒的水量の大波だ。先ほど会場を包みこんだ爆炎とは、真逆の属性を持つ。


 対してヨルが放ったのは、雷のイメージを具現化したもの。雷の球体、とでもいうべきそれを、撃ち放った。

 それは、無詠唱で放たれた……つまりは魔法だ。強大な魔術に対し、魔法での対抗。


 普通ならば、魔術に魔法で敵うはずもない。

 しかし……


「!」


 大波と雷は、ぶつかり合い……互いに拮抗を見せる。

 水と雷、いくら相性の問題があるとは言え、それが魔法であれば魔術の力に呑み込まれておしまいだ。


 しかし今や、ヨルの放つ魔法は魔術に匹敵するほどの力を持っている。ゆえに、拮抗は必然とも言える。

 そして、それだけではない。ヨルの放ったものが、魔法である以上……


「そらそらそら!」


 ……何発と撃ち込むことができるのは、もはや必至。

 魔法は、自分の魔力がある限り連続して、何発でも放つことが可能。魔術も、連続で放つことはできなくはない。


 だがそれは相当難しいもので、エランやゴルドーラであっても、多少のインターバルは必要だ。おまけに、詠唱時間も加わる。

 いわば、一撃必殺のつもりで放たれるのが魔術だ。しかしヨルが放つのは、魔術クラスの威力を持つ魔法……


 それが、何発と大波に撃ち込まれる。


「……っ」


「ほらほら、まだまだ!」


 しかも、ヨルの魔力は莫大なまでに上昇している。魔力切れで魔法を撃てなくなることは、ほぼない。

 このままではヨルの魔法に押されて……いや、すでに押され始めている。


 魔術を放つための精神力も、そう長くは持たない。精神力が切れるが早いか、魔法に魔術が打ち破られるが早いか……

 それとも……


「悪いな会長さん! こいつで決ま……」


「……分身魔法」


「り……は?」


 直後、ヨルは驚くべき光景を目にする。

 ゴルドーラの姿が、増えていた。二人、いるのだ。ゴルドーラの姿が、二つ。

 なにかの見間違いか。目を擦るが、ゴルドーラは二人。


 それは、驚愕の光景だった。会場中もどよめく。

 魔術を放ちつつ、別の魔法なんて……考えられないことだ。しかし、現実としてそこにある。


 それだけではない。ヨルが驚いたのは。

 彼の脳裏によみがえるのは……あの、決闘の記憶。信じられないものを目にしたと、己の目を疑った。

 だってそれは……


「今は眠りし創生の炎よ、万物を無に還す穢れなき炎となりて……」


「! おいおい、うそだろ」


 分身の片割れから、紡がれる詠唱。それは間違いなく……かつて、エランがやっていたのと同じこと。

 分身魔法を使いながらの、二重詠唱。それを、今ゴルドーラがやっている。


 信じられないことだが……認めるしかないだろう。


「全てを焼き尽くし、喰らい尽くせ!」


「くっ……そぉ!」


焔龍豪炎(ボルケイノプレデター)!!!」


 後押しの魔術……水と火、二つの属性の魔術が混ざり合う。

 対するヨルも、魔法の連撃を止めない。二人の魔導合戦は、周囲に大きな影響を与えていく。


 そして……

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