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【一年生編完】史上最強魔導士の弟子になった私は、魔導の道を極めます  作者: 白い彗星
第五章 魔導大会編

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311話 膨大な力の扱い方



「……む?」


 あちこちで魔導が飛び交い、使い魔が暴れ回る中で、異変をいち早く察知したのは一人の魔導士。ジャルドル・サインだった。

 彼は、魔導学園の教師。ルリーやヨルが所属する「ラルフ」クラスの担任だ。


 年配の男性であり、柔らかな物腰が特徴。それでいて、教え方もうまいため生徒たちに人気だ。

 彼は、自分が担任を受け持つことになったクラスの中に、黒髪黒目の少年がいたことに、驚いていた。


 長く生きてきたが、そのような特徴の人間は見たことがない。

 しかも、彼は膨大な魔力を秘めている。それこそ、一年生の中ではすでにトップクラスにいるだろう。


 このBブロックには、ヨルも参戦している。この乱戦の中ではなかなか見つけられないだろうが、勝ち抜くならば彼だろうと、ジャルドルは考えていた。


「この魔力……」


「なによそ見してんだおっさ……」


 死角をついてきたつもりの男を一蹴し、ジャルドルは視線をさまよわせた。何度も感じている、この魔力はヨルのものだ。

 授業では、それなりに取り組んではいるがどこか退屈そうにも見えたヨル。彼が今、本気で誰かと戦っている。


 そしてその誰かは、誰だと考えるまでもなく……この国に住む人間なら、誰もが知っている人物。


「ゴルドーラと……」


 この国の第一王子、ゴルドーラ。彼と、互いの魔力をぶつけ合っている。

 ちなみに立場としては、一教師よりも王子のほうが上だ。しかし、教師と生徒である以上、敬語などは不要だと、他ならぬ国王から言われたことである。


 その、二つの強大な魔力がぶつかり合っている。二人と関わり合いがあり、また魔力に対して敏感に感じ取れるジャルドルだからこそ気づけたことだ。

 しかし、すぐに他の参加者も、気づくこととなる。


 ……膨大な魔力が、膨れ上がっていることに。


「……あぁ」


狂炎太陽黒(ベルセルクコア)!!!」


 次の瞬間、なにが起こるのか……それを理解して、ジャルドルは諦めにも似た嘆息を漏らした。

 そして、一つのまばたきの間に……周囲の景色は、一変する。


 業火が、辺り一面を焼き尽くしていった。


 ――――――


「……くぅぁっ、つぅ……」


 全身への痛みを感じ、ヨルはまず頭を押さえた。

 先ほど、ゴルドーラの魔術が放たれ、ヨルは間近でくらってしまった。それでも、とっさに身を守る魔法で全身を庇ったのは適切な判断だった。


 さらに、魔術はヨルどころか、周辺一帯を巻き込んだ。周囲を見回せば、何人もの参加者が倒れている。

 魔術の威力、規模、ともに高濃度のものだった証拠だ。


「っても、魔術でここまでなるかね……」


 先ほどAブロックの試合でもそうだったが、魔術は強力ではあるが普通、ここまでの規模にはならない。


 魔術は魔法と違い、自前の魔力ではなく大気中の魔力を使う。なので、人によって魔法ほどの威力の違いは出ない。

 だが、魔術を使うには相応の腕が必要だ。魔術を使うため精霊と心を通わせたり、大気中の魔力と親和性を高めたり。

 ある意味では、それは才能と呼べるかもしれない。


 ゴルドーラは、他の者よりも、魔術に関しての才能が高い、ということだろうか。


「さすがに、これで倒れはしないか」


 業火の爆発により巻き上がった戦塵を振り払い、ゴルドーラがヨルの前に立つ。

 当然だが、その身には傷一つない。


「魔術を使わせない……その方法は単純に、相手の詠唱の邪魔をしてやればいい。だから周りは、魔法ばっか撃ちまくってるってのに……

 やるねぇ会長さん」


「ふん。

 お前こそ、あの距離であの威力の魔術を、その程度のダメージに抑えるとは」


「全身痛くてたまんないんだけど」


 いくら、結界内では一定以上のダメージは受けないとは言え、あんなものをまともにくらえば気絶はしてしまうだろう。

 そうなれば、完全に勝ちの目は潰される。


 まだ体が動くということは、まだ勝ちの目が残されているということ。

 だが……


「ゴォオオオ……!」


「あ、あぁああ……!」


 サラマンドラの巨大な足に踏み潰された参加者が、場外へと投げ捨てられる。

 百一名もいた舞台は、すでに立っているのは十人といったところだ。


 その上、ゴルドーラにはまだ使い魔サラマンドラが残っている。状況は明らかに不利……


「……は、はは。ははははは……」


「……?」


 しかし、その状況下において……ヨルは、笑っていた。

 ケタケタと、立ち上がり上体をそらして。なにがおかしいのか、なにが面白いのか。ケタケタケタケタと、笑う。


 ほぼ無傷のゴルドーラと、サラマンドラを前に戦意を喪失し、気でも触れたか……ゴルドーラは、そう感じた。

 だが、それは違った。


「はははは……っ、そう、これ、これだよ! 膨大な力、俺無双……でもそればかりじゃ面白くない! この力を存分に震える好敵手! これぞ、異世界ものの醍醐味!」


「んん?」


 なにかわけのわからないことを言いながら、笑っていた。

 ゴルドーラは、エランからヨルが意味不明な言葉を言いながら迫られな、と聞いていたが……なるほど、こういうことか。


 しかし、それは妄言の類いではなく、どこか真に迫っているようにも感じられて……


「行くぞ会長さん!」


「! 魔力を……」


 ぶわっ、と、ヨルから膨大な魔力が溢れ出す。それだけではない。

 魔力はヨルの右手に収束していき……形のあるものとなる。それは、魔力で作られた剣。


 燃えるように赤い魔力、それは赤い剣となって……ゴルドーラの目にも、映る。

 そして、新たな得物を手に……ヨルは、飛びかかった。

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