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【一年生編完】史上最強魔導士の弟子になった私は、魔導の道を極めます  作者: 白い彗星
第五章 魔導大会編

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308話 初めての敗北



「すごかったですわねぇ」


「うん」


 Aブロックの試合が終わり、参加者たちが退場していく。そのほとんどは、運びだされている形だけど。

 結界の中での戦いだから、一定以上のダメージは負わないようになっている。でも、動けないほどのダメージを受けた人は多い。


 大会側の人は、回復魔術を使える人もいるみたいで、ある程度回復させて自分で移動している人も多い。


「てっきりカルメンタールさんが勝ち残ると思っていましたが……

 フィールドさんは、勝ち残った方をご存じで?」


「うん。前に話した、魔導士冒険者だよ」


 まさか、フェルニンさんも参加しているとは。

 最初から知らなければ、あの人数から探しだすのは難しい。


 正直、ナタリアちゃんはAブロック参加者の中でもいろんな部分が飛びぬけていた。

 でも、最終的には隙を作ってしまい、そこを突かれた。


 やっぱり、油断ならない大会ってことだな。


「ナタリアちゃんたち……Aブロックの参加者は、どこ行ったのかな」


「治療室があるので、そこだと思いますわ。

 まあ、結界があって回復魔術専門の運営もいるので、怪我などしていてもすぐに治ると思いますわ。

 その後は、まあ各々の自由化と」


 なるほど……まずは傷を癒して、その後はそれぞれ、か。

 じゃあ、ナタリアちゃんもコロニアちゃんも、事が済んだら見学に戻ってくるだろうか。

 負けたからって拗ねて帰る子たちじゃないし……


 ……それに、次のBブロックは……


「あ、次が始まりますわよ」


 ノマちゃんの声に、私も舞台を見る。

 Bブロック開始に際して司会の人が叫ぶ中、続々と参加者が入場してきた。


 その中に、彼の姿も……


 ―――――


 Aブロックが終了し、Bブロックに参加する選手は続々と移動を開始していた。

 その中には、彼……ゴルドーラ・ラニ・ベルザの姿もあった。


 ベルザ王国第一王子にして、魔導学園生徒会長。その力は、すでに下級魔導士相当と言われている。

 周囲からは尊敬と共に恐れられている人物……しかし本人は、その事実を受け止めかつ、天狗になってはいない。

 元より自惚れという言葉とは無縁だったが……改めて、己の未熟さを思い知った。


 わずか数か月前のこと。新入生エラン・フィールド……彼女に、決闘を挑まれた。

 彼女のことは、知っていた。新入生で、しかし魔力測定の魔導具を壊すほどの魔力量の持つ主。それでいて、入学してからの騒動の中心には彼女がいた。


 なかなかに面白い人物だとは思った。そんな人物から、決闘を挑まれた。

 しかも彼女は、あのグレイシア・フィールドの弟子だと言う。王族として負けを許されない彼にとっては、興味を抱きこそすれ、油断やおごりなどあるはずもない。


 ……そう、油断も慢心も、なかった。



『へへ……わた、しの…………勝ち、だ……ね……』



 あの時、彼女との決闘を終えて……ゴルドーラは、額に冷や汗が流れるのを久しぶりに感じた。

 あの決闘は、多くの観衆の下で行われた。彼ら全てが、なによりエラン本人が、あの決闘がゴルドーラの勝利だと認めている。



 ……冗談では、ない!



 結果として、ゴルドーラは勝ったのかもしれない。最終的には力尽きたエランが倒れた。それは事実だ。

 だが、覚えている。あの体を震わせる魔導の撃ち合いを、全身昂る熱を、本能から楽しんでいたことを。


 そして……喉元に突き付けられた、杖の切っ先を。


「……」


 あの時、エランはゴルドーラの喉元に杖の切っ先を突き付けた。しかしそれは、周囲を覆う土煙でみんなの目には見えなかった。もしかしたら、エラン本人も覚えていないかもしれない。

 あの時、煙が晴れるが少しでも早ければ……あの姿がさらされるのが、少しでも早ければ。評価は、まったく違ったものになっていただろう。


 王族として、ゴルドーラは負けるわけにはいかなかった。だからあの姿を見られなくて、助かったとも言える。

 しかし……それは、ゴルドーラの真に望むことではない。


 もはや、エラン・フィールドの名を知らない者はいないほど、学園内では有名だ。

 だが、あの決闘の真実を知る者は、もはやゴルドーラ一人だ。ゴルドーラの人望の高さゆえ、たとえあのあと真実を語ろうが、大抵の人間はゴルドーラの謙遜だと受け流していただろう。


 ……自分が初めて、敗北を認めた相手。それがエラン・フィールドだ。

 彼女はきっと勝ち上がる。ならばゴルドーラも、彼女ともう一度戦うために、ここで負けるわけにはいかない。


「あれー。会長さん、黙ってどうしちゃったんですか?」


「……お前」


 ふと、考え事をしていたゴルドーラの前に顔を出すのは、黒髪黒目の少年……ヨルだ。

 彼に関しては、もちろんゴルドーラは知っている。学園中の生徒を記録しているとはいえ、エラン・フィールドと彼はまた特別だからだ。


 二人とも、これまでに見たことがない黒髪黒目の人物。

 それだけならばまだ珍しいで済ませられるかもしれないが、二人とも爆発的な魔力量を秘めている。

 魔力測定の魔導具を壊したのは、エランだけではないのだ。


 その後、彼について調べはしたが、平民の出という以外の情報がない。

 もっとも、国外の平民出身ともなれば、調べる手段も限られてしまうわけだが……


「残念だったな、エラン・フィールドと別のブロックで」


「あれ、なんでここでエランのことを?」


「お前はエランに興味津々のようだからな」


「言い方!」


 ……学園内での行動について、まず挙げられるのは、エランへの執着だ。

 ヨルの方から、エランになれなれしく話しかけている。もしかして二人は元から知り合いなのかとも思ったが、エランはそんな素振りは見せない。


 とはいえ、エランはグレイシア・フィールドとクラス以前の記憶を無くしている。あるいはその空白の期間に……

 ……それならば、なぜヨルがなにも言わないのか疑問だ。


「まあ、エランと戦いたいのは事実ですけどね」


「つまり……俺をも蹴落とし、決勝に進むと」


「言い方ぁ。いやぁ、さすがに一対一じゃ勝ち目ないっすけどねー、乱戦ならワンチャンあるかなって」


 ケラケラと笑う男の、真意はわからない。

 組分けでの騒動以降、ヨルはエランとは逆にたいして目立っているわけではない。なので、その実力のほどはわからないが……


 なにか、底知れないものを感じる。

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