表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【一年生編完】史上最強魔導士の弟子になった私は、魔導の道を極めます  作者: 白い彗星
第五章 魔導大会編

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

316/1220

307話 Aブロック決着の時



 放たれた魔術は、周囲を包みこんだ。並の魔術では、ここまでの規模にはならなかっただろう。

 これは、ナタリアの魔力あってこそ。そして、乱戦の場というのもナタリアにとっていい方向に働いた。


 これだけの数の魔導士が一つの場所に固まっている。それは、そこかしこで魔力が高まっていることを意味している。

 魔力があちこちで昂っている以上、魔術を放つために魔力を練り上げている人物を特定するのは難しい。


 もちろん、その利点はナタリア以外にも作用する。中には、魔術を放とうと詠唱を唱えつつあった者もいた。

 だが、周囲の乱戦がそれを許さない。ゴーレムが、使い魔が、魔法が。誰もから、魔術を放つための集中力を奪っていった。


 魔術を放つには、まず集中力が必要とされる。精霊と心を通わせ、魔力を練り上げる。

 この場において、それができる人間は限られる。それこそ、無詠唱で魔術を放てるまでに魔力とのシンクロ率が高いコロニアか……


「……っ、はぁ」


 ……周囲を包みこんだ爆炎は燃え上がり、辺りを爆煙で覆っていた。

 そんな中、立っている人影が一つ……ナタリアのものだ。魔術を放った余韻か、体が火照っている。


 ナタリアにとって、魔術は数少ない特技の一つだ。いかに早く放つか、そして魔力とのシンクロ率を高めるか。それこそ物心ついた頃から、叩き込まれてきた。

 おかげで、同年代はおろか年上を見ても、ナタリアより魔術の扱いに長けた人物はいなかった……

 少なくとも、学園に入学するまでは。


「はぁ、はは……一発放っただけでこれか。まだまだだな」


 魔術を放つには集中力が必要。そして、魔術を放ったあとには必ず相応の疲労感がある。

 それは魔術を得意とするナタリアであっても、逃れられないもの。


 もちろん、例外はある。属性、そして規模によって消費する精神力は変わってくる。

 今回、ナタリアは他の参加者に感知されないよう、コロニアとメメメリの攻防に気を張っていた。二人の戦いの近くは危険であり、同時に安全でもあったからだ。


 何者にも邪魔されることなく、魔術を放つ。それは、思っていた以上に精神力を消費する。


「エランくんは、これを、何発も……たいしたものだ」


 学園生徒会長であり、下級魔導士相当の力があるゴルドーラは言わずもがなだが。彼と相対したエラン。

 彼女は、何発も魔術を放っていた。それがどれほど大変なことか、果たして本人は気づいているのだろうか。


 改めて、敬意を評する……その彼女と戦うため、ナタリアは勝ち抜いた。

 乱戦に撃ち落とされた強大な魔術。もはや、ナタリア以外の人物は誰も立っては……


「……ぁ」


 ……いや、ナタリアだけではなかった。もう一人、影があった。

 それが何者か、確認するまでもなく……ナタリアの体は、雷に貫かれた。


「……っ」


「見事な魔術だった……危うく、私もやられてしまうところだったよ」


 精神、そして肉体共に疲労が限界に達したナタリアは、その場に倒れた。

 その人物は、ナタリアの魔術が放たれたと同時、同威力の魔術を放ち身を守っていた。


 それは攻撃に対して防御となる魔術。彼女の中でトップクラスの防御力を誇るそれは、ナタリアの魔術と相殺し砕かれた。

 そしてタイミングが一歩でも遅ければ、やられていたであろう。


 ナタリアの魔術に対しての的確な判断……それは、ただの魔導士が対応するには難しい芸当だ。

 しかし、冒険者としての経験を積んだ彼女だからこそ、対応が間に合った。


『強大な魔術が放たれた場内、立っているのはただ一人! 他の参加者はどうやら戦闘不能のようだ!』


 司会者の声が響く。倒れている参加者たちは、ある者は動けぬほどに負傷しある者は場外へ。

 そこに立っているだ一人の人物……


『Aブロック、試合終了!

 最後まで立ち残っていたのは、Aランク冒険者であるフェルニン選手ー!』


 Aランク冒険者、フェルニン。かつて、白き魔獣と戦ったエランを手助けした冒険者だ。

 彼女も大会に参加し、虎視眈々とチャンスを狙っていた。その結果が、これだ。


 魔導の腕もさることながら、冒険者として磨かれた勘は、彼女を勝利へと導いた。

 熱い試合に湧く会場、それに応えるように、フェルニンは手を上げた。


「すまないな、最後かっさらうような形になって……だが、これが経験の差というやつだ」


 ―――――


「……ナタリアちゃん」


 Aブロックの試合。それはとても白熱したものだった。

 どの参加者も手強く、それぞれ力いっぱいに戦っていた。その中で、一番みんなを翻弄したのはナタリアちゃんだろう。


 コロニアちゃんのゴーレムは、私の訓練時より数も力も速さも……あらゆる精度が上がっていた。

 まあ、あれから力を上げたのか、あのときは訓練だから力をセーブしてたのかは、わからないけれど。


 ゴーレムは参加者たちのことごとくを倒し、または倒されて……百人の乱戦をさらに混戦させていった。

 コロニアちゃんにはメメメリ先輩がつき、二人の戦いを中心として周りの参加者も迂闊に手が出せなかった。


 だけど、その二人を前に様子をうかがっていたのが、ナタリアちゃんと……フェルニンさん。隙をついて、ナタリアちゃんは魔術を放った。

 本当ならそこで、決着がつくはずだったけど……


「やっぱり強いや、フェルニンさんも」


 フェルニンさんは、他の参加者を圧倒していた。学園だけでは得られない、冒険者としての戦い方をしていた。

 対峙する相手を倒し、だけど自分からは勝負を決めに行かない……事態が動くのを、待った。


 待って待って待って……ナタリアちゃんの魔術を、利用したんだ。

 まさか、フェルニンさんの姿まであるとは思わなかった。力では、決してナタリアちゃんも負けてなかったけど……


 ……以前私も言われた。経験値のなさが、勝敗を分ける結果になったんだ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ