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【一年生編完】史上最強魔導士の弟子になった私は、魔導の道を極めます  作者: 白い彗星
第四章 魔動乱編

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幕間 エラン



 ……エラン・フィールドという人間について、語ることは結構ある。

 第一に彼女は、明るい人間である。

 底抜けに明るい……とまではいかないが、彼女と接していると相手まで思わず笑顔になってしまう、そんな不思議な人物だ。


 彼女の名前を初めて聞いたとき、"私"はひどく驚いたものだ。なんせ、あのグレイシア・フィールドと同じ家名だったからだ。

 ただ、家名だけでいうなら、ただ同じだけの名前、という可能性もあった。よりによって、フィールドというたまたま同じな名前、というのはあり得ないだろうけど。


 その疑惑は、本人がグレイシア・フィールドの弟子だと公言したことで確信に変わった。口でならなんとでも言えるけど、その後……いや、その前からか。

 とにかく、彼女のしでかした……おっほん、収めた成績を見れば、あれがただの妄言でなかったことがわかる。



 魔導学園入学に際し、組分けの時間、触れた者の魔力を測る魔導具を破壊する

 入学早々同クラスのダルマス家長男と決闘、勝利

 学園に現れた魔獣をほぼ単身で討伐

 クラスによる試合時に浮遊魔法と魔術の重ね技を見せる

 生徒会長ゴルドーラ・ラニ・ベルザと決闘、敗北するがいい感じに渡り合う

 魔術の二重詠唱という離れ技

 一年生にして生徒会に所属

 "魔死事件"とちょいちょい関わる

 新任の教育実習生となんか勝負して敗北

 はぐれ魔獣と戦いそれを討伐



 ……ざっとこれだけのことを、入学から半年も経たずにやってのけたのだ。

 正直普通じゃない。


 まあ普通じゃないだけに、あのグレイシア・フィールドの弟子だという言葉が妄言ではなく事実だと決定づけることにもなっている。

 行動力もおかしいが、彼女の持つ魔力の量、魔導の技量などは、もはや一学生に収まるレベルではないのだ。


 それほどの人物が、魔導学園に来るまでになんの功績も残していないのはおかしい。『エラン』という名前も、そう。

 そんな彼女は、どうやら昔にグレイシア・フィールドに拾われたらしく……それからずっと、彼の下で過ごしていたという。


 さらに驚くのは、彼女にはグレイシア・フィールドに拾われる以前の記憶がないらしい、ということだ。

 記憶がないというのは"私"にはどんな感じなのかはわからないけど、不安で仕方ない……はずだ。でも、彼女はまったく不安げにしていない。

 むしろ、記憶がないことを隠すこともなく話している。


 そして『エラン』という名前は、グレイシア・フィールドにつけてもらったものだという。そして、魔導学園へ入学するために彼の下を離れる際、『フィールド』の家名をもらった。

 つまり、エラン・フィールドという名前はすべてグレイシア・フィールドが与えたものであり、彼女の本当の名前は不明なのである。



『私はエラン・フィールド! グレイシア師匠の、弟子なんだ!』



 ……と、彼女は自信満々で話していたから、彼女自身それが与えられた名前というのは気にしていないのだろう。

 むしろ、誇らしげにさえしている。


 さて、彼女が師匠と慕うグレイシア・フィールドといえば、知らない人はいないくらいに有名な人物だ。

 なにしろ、エルフでありながら人々から羨望の眼差しを受けるくらいだ。彼の残した伝説は数しれない。


 ひとつ、彼は魔導学園を首席で卒業しその名を刻んだ。ひとつ、彼は世界中を旅して各地で大きな功績を残している。ひとつ、彼は冒険者でもありその中でトップクラスに位置するSランク冒険者。

 直接会ったことのある人は少ないが、それでもその名は、誰もが知っている。


 同時に、謎の多い人物でもある。そんな彼と、おそらく一番長く過ごしたことのある人間はエラン・フィールドであろう。

 彼女自身への興味はもちろん、彼女を通じてグレイシア・フィールドという人物の内面にも迫ることができるかもしれない。


 グレイシア・フィールドが彼女を拾ったその理由は、単純に倒れている女の子を放っておけなかっただけか別に理由があるのか。

 その理由のひとつに、彼女の容姿がある。黒髪黒目、それはベルザ国……いや世界中を探しても、検討する人物のいない特徴をしている。

 世界を回ったグレイシア・フィールドは、黒髪黒目の子供を見て、驚き、物珍しさに惹かれた。


 それはあるいは、容姿だけでなく彼女の中身によるところもあるのかもしれない。

 彼女の中身には、人を惹きつけるなにかがあるのかもしれない。彼女の周りには、多くの人が集まっている。


 クラスメイトはもちろん、別のクラス、王族、生徒会長、さらには国王とまで接点を持っている。

 人を惹きつけるなにかが、もしかしたらグレイシア・フィールドのなにかを、動かしたのかもしれない。


 ……こうして、観察するだけでも飽きることのないエラン・フィールドという人物だが。彼女は近く開かれる、魔導大会に出場する。

 魔導大会とは、国内外からあらゆる人が集まり、競い合う大会。まさに彼女にとってはうってつけの大会だろう。


 かくいう"私"も、魔導大会に出場する。数多の実力者が出てくるだろう大会だが、"私"の目的はやはりエラン・フィールドだ。

 触れるものみな噛み付くと評判の狂犬エラン・フィールド。ぜひともシあいたいものだ。


 あぁ、あぁ、エランエランエラン……エラン・フィールド。あぁ、なんて甘美で……そして、憎たらしい名前なのだろう。

 "私"の得られなかったものを、すべて持っているお前が……あぁ、憎くてたまらない。その顔が苦痛に歪む姿が、あぁ、今から楽しみでならないよ……



 ……待っていてね、エラン・フィールド。"私"と同じ――の女の子……

第四章はここまでです。ルリーの過去が明らかになったり、魔導学園内外でトラブルに見舞われるエラン……そして舞台は大大会へ!

次回から、第五章 魔導大会編が始まります。

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