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【一年生編完】史上最強魔導士の弟子になった私は、魔導の道を極めます  作者: 白い彗星
第四章 魔動乱編

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297話 もはや神だよね



「ところでラン、質問がある」


「なにかな、サリアちゃん」


 食事を終え、少し休んでいたところに、サリアちゃんが話しかけてきた。

 この子、案外自分から話しかけてくれるんだな。クレアちゃんと似たようなタイプだし、二人きりでも話題に尽きることはなさそう。


 サリアちゃんは、つい先ほど頼んだデザートを口にし、私を見る。生クリームが口元についている。かわいい。


「ランは、あのグレイシア・フィールドの弟子なんだよね」


「へ、師匠? うん」


 なにかなと思って聞いていると、話の内容は師匠に関するものだった。

 師匠ってば、魔導士としても冒険者としても有名なんだ……弟子としては鼻が高いけど、だからこそ弟子として無様な姿は見せられないという気持ちもある。


「師匠がどうかした?」


「実は……」


 やけに、真剣な表情だ。いったい、なんの……


「……私、グレイシア・フィールドの大っっっファンなの」


「……おう」


 途端に、目がキラキラし始めた。表情こそ変わらないけど、その瞳は興味津々であることを隠せていない。

 ふーむ……師匠は有名人で、憧れとする人は多かったけど。


 ここまで、熱烈な視線を向ける子は、初めてだったかも?


「それは……ありがとう?」


「グレイシア・フィールドが残した数々の逸話はもちろん! 彼が執筆した、この『凄腕魔導士になるための100の方法』の本ももう何度も読み返した!」


 興奮した様子でサリアちゃんが鞄からなにかを取り出す。あまり大きくはない鞄だ。

 その中に、なにやら大きなものが入っているなと感じてはいたけど……


 取り出したのは、やけに分厚い本だった。

 表紙には、今サリアちゃんが言った『凄腕魔導士になるための100の方法』とタイトルが書かれている。


「……」


 それを見て、私が思ったのはまず、これだった。

 師匠、ネーミングセンスないなぁ……と。


 名付けられたのがエランって名前でよかった。もしかしたら、変な名前をつけられていたかもしれないんだ。


「ていうか……師匠って、本出してたの?」


「そうだよ、知らなかった?」


 知らなかった……サリアちゃんは、信じられないものを見る目で私を見ていた。

 そんな目で見ないで……!


 師匠本人から聞いたことはもちろんないし、本屋に行けば見つけられたのかもしれないけど……あんまり、本屋には行かないからなぁ。調べ物をするには図書室で充分だし。

 あ、図書室にはないのかな。


「これは、グレイシア・フィールドが執筆した第一冊目の記念すべき初版で、ほら見て、ここに、グレイシア・フィールド直筆の生サインを書いてもらって……えへ、えへへへ……!」


「待って! 一冊目!? 初版!? 生サイン!?」


 思わぬ事実に、思わず机を叩いて立ち上がってしまった。あの人本当になにやってるの!?

 勢いよく立ち上がったけど、運よく机の上のものは倒れなかった。よかった。


 私は座り直して、その本を改めて見る。

 よく見れば、結構古い本だ……それに、カバーがかけられて、傷つかないようにしてある。


 ……それにしても、いつ出したんだよこんな本。サリアちゃんが初版をゲットしたってことは、結構最近なんだろうか。


「あ、うらやましい? えへへ、あっげないよー」


「あぁ、うん。別に……」


 そしてもっと驚いたのが、サリアちゃんの豹変ぶり。本に頬ずりしているその姿は、とてもさっきまでのマイペース人間と同一人物だとは思えない。

 この子、本当に師匠のことが好きなんだな……


 それは、なんだかちょっと嬉しい。


「ランが……グレイシア・フィールド(しん)の弟子だと聞いた時は、是非ともお話したいと思って……でも、なかなかそんな機会もなくて……

 だから、レアがランの話をいつもしているとき、うらやましくて仕方なかった」


「へへへ、なんか照れるなー。うん、私もサリアちゃんとお話ができて嬉し……

 ……今なんて? グレイシア・フィールドなんだって……?」


「グレイシア・フィールド神だよー。私にとってはもう、憧れとか尊敬とか……そんな次元じゃあないんだよね」


 ……あー……この子師匠の話になるとちょっとやべーんだな。

 師匠がすごいってのは、私も同じ意見だけど……そっかぁ、神様かぁ……師匠、ついに神様になっちゃったかぁ。


 でもいいのかいサリアちゃん。神様はそんな残念な名前の本は書かないと思うんだけど。

 それを口にしたら怖いので、胸の中にしまっとく。なんか目が怖いし。


「私、こんな見た目だから、故郷では腫れ物扱いで……一生一人なのかなって思ってたんだけど、この本に出会って、考え方というか世界が変わったんだよ」


 と、サリアちゃんは頭から生えている一本の赤い角に触れる。あんな角が生えている種族なんて、見たことがない。

 しかもサリアちゃんの話を聞くに、サリアちゃんの故郷ではみんながみんな、サリアちゃんのような見た目をしているわけではないようだ。それがどういう意味なのか、私にはよくわからないし、さすがに仲良くなったばかりの子から聞く話でもない。


 ただ、お話自体はいい話なんだけど……『凄腕魔導士になるための100の方法』のなにに感銘を受けて世界が変わったのか、よくわからない。


「これからも、仲良くしてほしい。それから、グレイシア・フィールド神のお話を、いろいろ教えてほしい」


「えぇと、うん……私に話せることなら」


 なにはともあれ……師匠のおかげで一人の女の子が救われて、私と仲良くなってくれる女の子ができた……ってことで、いいのかな。

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