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【一年生編完】史上最強魔導士の弟子になった私は、魔導の道を極めます  作者: 白い彗星
第四章 魔動乱編

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228話 名前の意味



「げはっ……」


 正直、動く暇もなかった……それは一瞬のことで、ルランの手助けをするつもりではあったけど、それは叶わず、ルランは腹に膝を入れられた。

 それはよほど重いものだったのか、ルランは後ずさる。さっき私もくらったから、その威力の高さはわかる。


 だけど、追撃はくらわない。それよりも先に、ルランは後ろに下がったのだから。


「あははっ、だっさ! さっきまであんなにいきまいといて、その有様とか!」


「……あいつの顔で、下品に笑うな」


「はぁあ?」


 ルランは、油断した……それは、間違いないだろう。だって、憎き敵の顔が……同じ種族の、仲間の顔に変わったのだから。

 斬りかかろうとしたルランは、目の前でランノーンがリーサの顔に変わったことで、油断してしまった。その隙を、つかれた。


 あれだけ人間を憎んでいても、目の前で憎むべき相手の顔が親しい相手の顔に変わったら、混乱して当然だ。

 私だって、同じ目に遭ったとしたら……相手の顔が、私の良く知ってる、仲のいい子に変わったとしたら。


 なにも、できなくなるかもしれない。


「お、落ち着いてルラン! そいつは、ランノーンは、本当に顔を変えてるわけじゃない! 相手に、そう認識させているだけ……」


「そうさ! アタシは、なにも変わっちゃいない。別に、顔が変わったわけでもないよ、エランにはアタシはアタシとして見えてる。

 ほら、殴るなら殴ってみろよ?」


「……気に入らない」


 得意げに笑って見せるランノーン。その態度に、余裕の表情に、気に入らないと吐き捨てるルラン。

 よほど、リーサの顔を見せられたのが堪えたのだろうか。さっきよりも、怒りの気持ちが増しているように見える。


 それは、ダークエルフを滅ぼした人間への恨み、リーサの顔を見せた怒り……それ以外にも。


「そもそもその名前……ふざけているのか」


「え?」


 ギロリ、とランノーンをにらみつけるルランは、言う。それがふざけた名前だと。

 えっと、私のこと……じゃあないよね。もしそうなら、師匠に貰った名前をふざけたって言われて怒っちゃうんだけど。


 だけど、このタイミングで私を指すとは思えないし、ルランの視線はランノーンに注がれたままだ。

 つまり、ふざけた名前というのは、ランノーンのことを言っている。


「どういう、こと?」


「……ランノーン。それは、エルフ族の言葉……正確には、二つの言葉を組み合わせたものだ。

 ランは"価値"、ノーンは"無"」


「価値、無……無価値……?」


「そう、名乗っている。俺の、エルフの前で。エルフは無価値だとでも、言いたいのか」


 私も知らない、言葉の秘密。ランノーンという名前に、言葉に隠された秘密。

 エルフ族特有の言葉だというそれは、ランとノーンという二種類の言葉。それを組み合わせることで、新たな言葉が生まれる。


 無価値……これは、エルフ族にしか意味の伝わらない言葉。ルランの言うように、意味が通じたエルフ族に対し、お前は無価値だと言っているようなものだ。


「ひ、ひどい……あ、私……」


 私っ……意味を知らないとはいえ、ルランも聞いている前で何度も、ランノーンランノーンと名前を呼んで。

 ルランに、悪いことをしただろうか。


 だけどルランは、気にするなというように首を振る。


「お前は意味を知らなかったんだろ。気にするな」


「あれま、ルランくんったらやさし〜。アタシも、別に意味は知らなかったんだよね〜、許して」


「黙れ。俺の名前を呼ぶな」


 許してもらった私に便乗して、ランノーン……いや、女はケラケラ笑いながら許しを求めるけど、当然受け入れられない。

 にらみつけたまま、ルランは自分の名前を呼ばれたことに不快感を表している。


 ……もしも、ランノーンが本当に彼女の名前で、意味も知らなかったんだとしたら、情状酌量の余地はあるだろう。

 でも、そうではない……ランノーンというのは、彼女の名前ではない。


 だって、そうでなければ「意味は知らなかった」なんて言葉は出てこない。意味がわかった上で、名前をつけたんだ。


「悪趣味……」


「あらら、そーんなににらまなくてもいいじゃん。お詫びに、アタシの本当の名前教えてあげるからさぁ」


 なんのお詫びだ、とは思ったけど、私の疑問などどこ吹く風で、彼女はその場でくるくると回る。

 私とルランに、挟み撃ちにされた状態で。余裕の態度のまま。


「アタシは、レジー……以後、よろしく」


「レジー」


「そ、めんどくさがり屋のレジーちゃん。なーんてね」


 どこまで本気なのか。レジーと名乗ったその人物は、一瞬だけにこっと微笑んだ。

 その直後……


「ゴォォォオオオ!」


 この場のものではない、獣のような雄叫びが響いた。それに、私は聞き覚えがあった。

 まさかと思い、声の方向を見ると……そこには、巨大な魔獣の姿。


 魔獣を止めるために立ち向かっていた、国の兵士さんたち。それらが、全員倒れていた。

 強大な魔獣を前に、全員、やられてしまったのか……!?


「そんな……」


「さあどうする? 魔獣を止めに行かないと、国が大変なことんなっちゃうかもよ?

 あ、でもそしたら、アンタなんのためにこっちに来たんだって感じだよね〜」


「っ……」


 こんな状況だからか、いつもならば受け流してしまう軽口に、つい反応してしまいそうになってしまう。

 でも、向こうを放置できないってのは、その通りなわけで……


「ルラン!」


「手助けはいらん。お前の勝手にしろ」


 バッサリとした言葉だけど、なんとも心強い言葉だ。私はルランにこの場を任せ、魔獣のところへ向かおうとして……


「……あれ」


 魔獣に群がる、複数のゴーレムがいるのが見えた。あれってもしかして……

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