『無事という、無事じゃない無事』・・・『詩の群れ』から
『無事という、無事じゃない無事』・・・『詩の群れ』から
㈠
俺は幾時も、無事だったさ、俺の知る限りにおいて、だろうだ。
だろうだ、しかし、その無事は、本当の無事か、え?
なんだって、そんなこと、考えもしなかったな、無事じゃない無事なんて、あるのかい。
それは、お前にしか分かるまい、だろうだ。
㈡
だろう、銃で脳を百発打たれても、無事だと言えば、無事だろうだ。
そんなことはないだろう、無事じゃない無事とは、その事実から生命が守られた時に言える言葉さ。
成程な、つまり、無事とは、命のことだったんだな、だろうだ。
だろうだろうだ、事実と無事とは、言葉も酷似しているからね、だろうだ。
㈢
俺たちは、俺もお前も、だろうだ、を繰り返すしかないんだろうか、無事という、無事じゃない無事、だろうだ。
そんなことはない、銃で脳を百発打たれても、生きている奇跡が、俺たちの無事を明証するさ、だろうだ。