短剣使い
作者が失礼します。
没入をぶった切ってすみませんが、宣伝をさせてください。
本作書籍版の発売日が、およそ四週間後に迫りました。
各店舗でもすでに予約が開始しておりますので、よろしければ是非お買い求めください!
なお以下の専門店でお買い上げの場合には、各キャラクターの店舗特典SS(書き下ろし)が付く予定となっております。
(なくなり次第終了かも?)
ゲーマーズ→ミィナ
メロンブックス→エレン
アニメイト→セラフィーナ
とらのあな→ロンバルディア
どうぞよろしくお願いします。m(_ _)m
木々に囲まれた山の、緩やかな斜面の地。
俺と“竜神器十将”短剣使いのホッドは、各々が武器を手にぶつかり合っていた。
「──っらあ!」
俺はホッドに向かって、聖斧ロンバルディアを振るう。
だが──ブンッ!
空振り。
ホッドは身をかがめて、俺が放った横薙ぎの一撃をやり過ごすと、こちらの懐に飛び込んでくる。
「……遅い。……【毒撃】【麻痺撃】」
「ぐっ……!」
──ぶしゅっ、ぶしゅっ。
ホッドの左右の手にある短剣が閃き、それぞれに俺の肉体を切り裂き、血が噴き出す。
どちらも重傷ではないが──
「ちっ……!」
俺は再度、斧を振るう。
だがホッドはそれも悠々と回避し、トントンと軽やかなステップで後退していく。
「……遅いと言ってる。……ノロマな斧使いの攻撃なんて、当たらない」
「まいったな……相性最悪かよ」
俺は苦い顔で、短剣使いの少女を見すえる。
当の少女はまったくの無傷で、すまし顔だ。
──“竜神器十将”短剣使いのホッド。
これまで戦った“竜神器十将”の中でも、速さだけなら最速かもしれない。
とにかく攻撃が当たらない。
そして向こうの攻撃は、着実にこちらの生命力を削ってきて、そのダメージは俺の【治癒能力】を上回ってくる。
俺は小さくため息をつく。
「……しょうがねぇ。連戦を想定して、なるべくスキルは温存したかったが」
「……負け惜しみ。……それにもう、お前は終わってる。……お前が死ぬのは、時間の問題」
「そう思うか? じゃあ、試してみようぜ──【神速】!」
俺はスキルを発動して、一時的に速度を倍加。
すぐさま地面を蹴り、ホッドに接近して斬りかかった。
いくら速さに長けた短剣使いでも、これは対応できない速さのはず。
実際にも、ホッドは驚きの表情を見せた。
「……っ!? ──【神速】!」
だが短剣使いの少女は、こっちとまったく同じスキルを使って速度を上げて対応してきた。
俺の斧の一撃を、すんでのところで回避する。
「おっと、そんなこともあるのか──なら、【重圧】!」
「……っ!?」
俺は【神速】の効果が切れるよりも前に、次の一手を投入する。
【重圧】の効果を受け、ホッドの動きが目に見えて遅くなった。
俺はそこに、斧を振りかぶって──
「お寝んねしな、短剣使い──【ホーリースマッシュ】!」
光り輝く聖斧ロンバルディアで、渾身の一撃を放った。
「……くっ!」
ホッドは慌てて両手の短剣を交差させ、俺の攻撃を受け止めようとするが──
「……こんなっ……!? ……威力が、強すぎ──きゃああああああっ!」
──ドゴォオオオオオンッ!
思いきり吹き飛ばされた小柄な少女の体は、太い木の幹に激突。
その勢いで、半ばからへし折れた大木が、メキメキと音を立てて倒れていく。
一方、木に激突したホッドはと見れば、ぐったりと力を失って気絶していた。
この様子なら、しばらくの間は目を覚ますことはないだろう。
「ふぅっ……。ひとまずはこれでよしか」
俺は安堵の息をつき、ロンバルディアを肩に担ぐ。
それにしても、【神速】【重圧】【ホーリースマッシュ】のコンボはやはり強力だな。
バカの一つ覚えのようだが、使い勝手がいいのでしょうがない。
ちなみに、向こうの攻撃で俺には致死毒や麻痺毒が入っていたようだが、ほぼ効果は感じなかった。
【毒耐性】様々だな。
「──っと、こうしちゃいられねぇ。アウローラたちのほうを見に行かねぇと」
俺は気絶した短剣使いホッドをそのままにして、山を駆け上がっていく。
殺してから行く、という選択肢も脳裏をよぎったが、踏み切れなかった。
道理と気持ちの乖離。
「……やっぱ俺は、平等で正しい正義の味方にはなれそうにないな」
『くくくっ……。我はおぬしのそういう人間くさいところ、嫌いではないぞ?』
「そうかい。相棒にそう言ってもらえるなら嬉しいよ」
俺はロンバルディアと軽いやり取りを交わしながら、山中の獣道を駆け上がっていった。





