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斧使いのおっさん冒険者ハーレム英雄譚 ~報われない人生が神話級の斧に出会って激変する話~  作者: いかぽん
第2章

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ランクアップ申請、天才剣士の少女

「で、ダグラスぅ、これからどうするにゃあ?」


 ミィナが再び俺の腕に抱きつきながら、妙に甘ったるい声で聞いてくる。


 いつまでそれを続けるつもりなのか。

 人生四十年間ずっと女日照りだったおじさんには、たいそう刺激が強いのだが。


 だが、ミィナの喋り方からして、冗談なのは明白だ。

 こうやっておじさんをからかって遊びたい年頃なのだろう。


 そういう遊びは危ないからやめたほうがいいぞ、などと言うのも憚られて、俺はただただ内心で焦るばかりだった。


 ともあれ、気を取り直して──


「冒険者ランクが足りないなら、まずランクアップ申請をしようと思う」


「ランクアップ申請? そういえば冒険者ランクを上げるには、試験が必要だって聞いたにゃ。それのことにゃ?」


「ああ、それだ」


 冒険者ランクを上げるためには、通常、二つのステップが必要になる。


 一つ目は、現在のランクに対して適切な難易度のクエストを、決められた回数だけ成功させること。

 これに関しては、俺は現在のEランクに関しては、問題なくクリアしている。


 そして二つ目は、その条件を満たしたうえでランクアップ申請をし、冒険者ギルドが選んだ検定員に実力を見てもらって、上のランクに上げるにふさわしい能力があることを認めてもらうこと。


 この二つをクリアしたときに、自らの冒険者ランクを一段階上げることができる。


 ちなみにこのランクアップ申請には、若干のお金がかかる。

 俺はなけなしの金貨をにぎりしめて、ギルドの受付へと向かった。


 顔なじみの受付嬢が、営業スマイルで俺を迎えてくれる。


「いらっしゃいませ、ダグラスさん。……あれ、なんか雰囲気が少し変わりました? 以前よりもちょっと格好良くなって、ダグラスさんのまわりの空気が輝いているような……気のせいです?」


 首を傾げる受付嬢。

 おそらく聖斧ロンバルディアのスキル【カリスマ】の影響力だろう。


「いや、その辺は気にしないでくれ。それよりもランクアップ申請をしたい」


「あ、はい、分かりました。……って、ランクアップ申請ですか? 珍しいですね。ダグラスさんってたしか、毎年一回決まった日にランクアップ申請をしていましたよね? 今年はまだ前回の検定から、一ヶ月ぐらいしかたってないと思いますけど」


「まあ、ちょっと色々あってな。ちゃんと金は払うから、頼む」


「そうですか、分かりました。──えーっと、そうなると検定員は……ちょっと待ってくださいね」


 受付嬢はそう言って、奥にいる年配のギルド員に相談をしに行った。


「ダグラスさんがランクアップ申請をしたいっていうんですけど、誰か検定員ができそうな人っています?」


「ダグラスが? 珍しいな。ダグラスはたしか、Eランクの戦士だよな。となると……あ、それならちょうど今、王都から来たCランク冒険者がギルドマスターと話しているから、できるかどうか聞いてくるよ。しばらく待っていてもらってくれ」


 相談をした年配のギルド員は奥へと引っ込んで、受付嬢がこちらに戻ってくる。


「えっと、聞こえてました?」


「だいたいな。しばらく待っていればいいんだろ」


「はい。あちらの席に掛けて待っていてください」


「わかった、ありがとう」


 俺はミィナを連れて、案内された待合用の席へと向かった。

 そうして申請を出してから、待つこと少々。


 やがてギルドの奥から、一人の剣士らしき姿の少女が、俺たちのもとへとやってきた。


 黒髪をポニーテールにした少女で、やや勝気そうでボーイッシュな顔立ちだが、目の覚めるような美少女でもある。

 タイプこそ違うが、容姿の整い具合はミィナともいい勝負かもしれない。


 その胸元には、Cランク冒険者であることを示す銅製の冒険者証が光っていた。


「やあ、お待たせ。あなたがランクアップ申請を出したダグラスだね。ボクは今回の検定員を務めることになったエレンだ。よろしく」


 そう言って少女は、俺に向かって手を差し出してくる。

 まだ若いながらに、Cランク冒険者の貫禄が見え隠れしていた。


 この娘もまた、まごうことなき天才の類だろう。

 それもこの若さでCランクともなれば、とびきりの才能を持ったうえに努力家のはずだ。


「ダグラスだ。よろしく頼む」


 俺は剣士の少女エレンが差し出してきた手を取り、握手をする。


 ところで、俺がこのエレンという名の剣士の少女と会うのは、これが初めてのはずだ。


 しかし初めて会うはずなのだが、どこか見覚えがあるような気がしないでもない。

 ミィナに初めて会ったときと、同じ感覚だ。


「なあエレン。妙なことを聞くが、俺たちどこかで会ったことはあるか?」


「ん……? いや、これが初対面だと思うけどな。ボクは普段は王都のほうで活動をしているからね。……って、ひょっとしておじさん、ボクのことを口説いてる? 悪いけどボク、自分より強い人にしか興味がないから」


 エレンはきっぱりと、そう断ってきた。

 どうやら【カリスマ】スキルの効果も、無差別なものではないようだ。


 ロンバルディアは【カリスマ】のことを「ちょっとした好感度上昇スキル」と説明していたが、文字通りに好感度が多少上がる程度の効果なのかもしれない。


 だがまあ、とりあえず誤解は解いておこう。


「あー、いやいや、そういうわけじゃねぇ。悪かったな、変なことを聞いて」


「ううん、いいよ。こっちこそ自意識過剰でごめんね。ボクのことを口説こうとする男の人、結構多くてさ。最初にはっきりと言っておくことにしているんだ。──そっちのキミは、ダグラスのパーティメンバー?」


「うん、ミィナにゃ。よろしくにゃ、エレン」


「ボクの方こそよろしく、ミィナ」


 それから剣士の少女エレンは、クエストが貼り出されている掲示板のほうへと向かった。

 俺とミィナもそれについていく。


「Eランクの戦士の実力を見るには、っと……ん、これがいいね。クエストランクDのオーク退治」


 エレンは掲示板に貼り出されているクエストの中から、Dランクのものを一枚剥がし、受付嬢のほうへと持っていく。


 それを見たミィナが、不思議そうに俺に聞いてくる。


「どういうことにゃ、ダグラス? エレンと一緒にクエストをやるにゃ?」


「ああ。検定員として選ばれた冒険者がクエストに同行して、ランクアップ申請を出した冒険者がランクアップにふさわしい実力を持っているかどうかを確かめるんだ」


「にゃるほど、そういうことにゃ」


 ミィナはまだ新人冒険者で、冒険者の常識に関しては知らないことも多い。

 俺と遺跡探索をしたあれが、まだ二回目の冒険だったんだとか。


 一方で剣士の少女エレンは、クエスト受注の手続きが終わったらしく、俺たちのほうに戻ってくる。


「さ、じゃあ行こうか。せっかくボクが同行するんだから、しっかり合格してみせてよね、斧使いさん」


 エレンはにっこりと笑って、そう言ってくる。


 ややもするとバカにしたようにも聞こえる言葉だったが、彼女のさっぱりとした人柄なのか、あまり嫌味とは感じなかった。


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