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1-9 チームワーク?

地下ダンジョン 第五階層

【9】チームワーク?


「どうせなら、ここで少し訓練していい?」

言い出したのはオードリーだ。2人はすぐに同意した。

「いいの?」

「オードリーだけじゃなく、僕の訓練になるから。早くユニークスキルを発現したいし。」

「わたしも大丈夫。2人の成長を見守っているし…(見ていて飽きないから)」


3人はラストモンスターを倒す目標ではなく、第5階層に留まることにしたのは、経験値獲得もだが、個人のスキルのブラッシュアップやチームの戦闘パターンを幾つか作るためでもあり、また一方で、他のパーティーが既に第6階層へと進んだため、のびのび誰にも気兼ねなく活動できたからだ。

第4階層のモンスターより、第5階層のモンスターであれば、今のステータスのロビンやオードリーでも、ギリギリ、シルキーの力を借りずに戦える範囲でもあったからだ。

卒業試験には、期限は設けられていない。最下層に行き、戻ること(生き残り)が条件なのだ。

それに今からでは、一番乗りのラストモンスター討伐にはもちろん間に合わず、むしろ、たっぷり時間をかけて、ステータスアップのために、このダンジョンを有効活用することのほうが良いと3人で判断したのだった。


「身体強化!疾風!」

ゴブリン、一角ウサギ、ワーム、たまにワーウルフやジャイアントヴァットの集団に遭遇した。

「幻惑ダンス!ハイジャンプアタック!」


「オードリー!壁を利用して!そうするとスピードも角度も調整できるから!」

「ロビン、わかったわ!」

「ロビン、あまり身体強化に頼らずに!疾風の重ねがけの方でスピード勝負の方が有効よ!」

「ありがとうシルキー!やってみるよ!」


「オードリー、そろそろ休憩しない?もう10時間も戦い続けてきたから、集中力も途切れがちなんじゃないかな。」

「何を言ってるの!わたしは、だんだんコツが掴めてきて、あなたの戦い方やクセがわかってきて、そろそろコンビネーションができるかなって思ってたんだけど!」

「えっ?ほんとに。僕もいまそれを試したいから、休憩しがてら相談しようと思ってた。」

「別に!いま試せばいいんじゃない?わたしあなたが、どうしてほしいか、だいたいわかる気がするから!」

「僕も!じゃあ遠慮なく!幻惑頼むよ!」

「わかったわ!幻惑ダンス!」


オードリーが幻惑をかけ、それを活かして、ロビンが疾風でワーウルフの集団に切り込み動揺を誘って個別に分離、オードリーの最も高い攻撃力ハイジャンプでの一撃で確実に相手を倒していく戦術が生まれた。しかもダンジョンの壁を活かすことで、一撃で仕留められなかったモンスターへのダブルアタックも、このとき会得した。ロビンもまた戦いながら、疾風を最初から重ねがけにせず、走りながらスピードを倍加したり、魔法が切れるタイミングを逆にはかって、わざと緩急をつけて攻撃に活かすことを覚えた。


「危ないオードリー!」

「えっ!?」

死角から、オードリーが倒したと思ったワーウルフが起き上がり、後ろから襲いかかってきた。


ガキン!!!

フワッ。


オードリーが油断した、と思い目を閉じた瞬間に、何かの障壁に護られて、しかも床に激突するところを、ゆっくりと軟着陸した。

「わたしもメンバーの1人なんだから、忘れないでね!」

いつの間にかシルキーが参戦し、オードリーを護っていた。オードリーを襲ったワーウルフも、ロビンがいつの間にか倒していた。


「足に怪我してるよオードリー大丈夫!」

「ありがとう。でもロビンもよ。頭にキバだか爪だか刺さってるよ。あっ違うか、それ。ワームの幼虫かな?」

「ウワー取って取って!」

「冗談冗談、あはははは!」

「何だよ、ビックリするじゃないか!それより足の治癒しないと。」

「待って、わたしがやるわよ。ロビンは魔力のチャージで休んだほうがいいから。2人とも休んで。それにご飯も用意してたから、ご飯も食べてね。」

「(2人とも声を揃えて)シルキーさん、グッジョブ!」


あはははは!3人は大声で笑った。


「どうしたの?」

オードリーが急に元気が無くなったのを、ロビンが心配した。足の痛みかも、もしかしてポイズンアタックを受けてしまったかもしれない。ロビンが、シルキーを見ると、シルキーは既にハイヒールと解毒の呪文を開始して、ロビンにウィンクした。オードリーが泣き出した。

「わ、わたし。前に組んだ訓練のパーティーではお荷物みたいだった。」

「オードリー…」

「ううん、よく言い過ぎた。完全にお荷物だった。幻惑ダンスや魅惑のダンスでモンスターの注意を惹きつけるときは、パーティーが逃げるときにっていうのが、そのパーティーの方針で。だから必ず最後にわたしが残るから、いつも命がけで…本当に怖かった。死にかけたこともある!それでもパーティーのディーンの決定に逆らえなかった。」

ロビンとシルキーは顔を合わせる。

「だけど、このパーティーでは、こんなわたしにも役割があって、そして居場所がある。ただの目の保養キャラとか、雑用係とか…もう陰口で変なこと聞かなくても良くなったんだって思ったら…」


「オードリー、そういえば背中にゴブリンのよだれが付いてたよ。ワーウルフだったかな?」

「シルキー、えっほんとに?取って!早くシルキー。あれ臭いからやなのよ!精霊魔法で、綺麗にできるんでしょ?」

「じょーだんよ、ていうか、間違い。ロビンの方だった!」

「えーーーー僕の方?う、うわーーーほんとに付いてる!うわっなんだコリャーーーー!シルキーお願い、早く頼むよ!」

「ちょっと近寄らないで、ロビン。匂うから。」

「鼻つまんで言うなよなーオードリー!!!」


あははははは!!












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