2-30 ついに...王都
【30】ついに...王都
クロエをパーティーに入れることにしたロビンは、クロエを参加承認する儀式を行う必要があった。
パーティーに新メンバーを参加させるためには、リーダーの承認、つまりそのパーティーが有するライタルストーン、パーティーメンバーをそのライタルストーンへと入力する儀式、この3つの条件が必要である。
戦いや特別なミッション、イベントなどをクリアすることで、そのパーティーリーダーのライタルストーンを通して、パーティーメンバー全員へと経験が共有され、ステータスへとフィードバックされる。
また、特殊な儀式(手続き?)を経ることで、ライタルストーンへと刻まれた経験値によって、そのパーティー自体のランクが証明できる、と学園では教えられてきた。
学園にあっては、教員室、教室などのほかにある[鑑定入力室]というという部屋で、ライタルストーンに刻まれた経験値が測定できたり、新メンバーを入力できる...らしい。
らしい...というのは、鑑定入力室なるものを今年の卒業生が誰も見ていないからだ。
今年のパイシーズクラス全員のライタルストーンは、先の魔王討伐の折に魔力を吸収しすぎてしまい粉々になってしまった。そのためロビンだけでなく卒業生たちのパーティーリーダーは全員、真新しいライタルストーンを配布され、現在それを持っている。
そのため最終試験前のまっさらな状態、無経験値のライタルストーンが、ロビンたちの有するものだった。
ライタルストーン自体が、魔物を倒した魔力によって経験値が測られる仕組み、性質であるため、再入力を人為的にすることはできない。つまりは、もう一度経験しなおすしかない、ということだ。
恐らく魔王級の魔物を討伐したなら、いかにロビンとシルキーのパーティーが、スタート時にEクラスだったとしても、確実にSクラス以上のパーティーへと昇格することは容易に考えられるが...
それは仕方のないことだった。
その代わり、国王からいずれ、今回の魔王討伐に対して、何らかの褒章が与えられると学園から説明を得ていた。
「あれが、王都アルベルトンか。」
王都アルベルトンへと到着したのは、勇者学園の入り口を出発してから、およそ一か月経っていた。いかに数百キロの距離があるとしても、勇者の足は常人のそれとは異なり、そんな日数がかかるものではなかった。にもかかわらず、多大な時間を費やしたのは...
「あれが...っていうか、やっと、というか、ほんとにわたしたち...」
「長い道のりだったね、やっーーーとたどり着いた!!!」
「なんで、こんなに時間かかっちゃったんだろうね?確か用務員さんたちは、もっと早く着けるって言ってたんだけどなあ...」
[いやいやいやいやクロエさん、あなたも困ったお人ですなあ。メンバーにするの考え直そうかなあ...]
[あなたの観光好き、これはこれからもタタラレルのでしょうか....]
はあーーーー
「どうしたの二人とも?ため息つくと幸せ逃げるよ!それに旅は楽しくないとね!それじゃあ王都へとはりきってレッツゴーーーー!!! ってあれ?元気ないぞぉ君たち!ライタルストーンは今は価値は無くとも、仮にも君たちは魔王討伐した勇者パーティーなんだよん。人に見られたら恥ずかしーだろ?もっと元気出していこー!」 By クロエ
「お、ぉぉぅぅ」 By クロエ以外のその愉快な仲間たち
「声ちっさ!めっさちっさ!もっと張っていこぉ!」
「お、ぉぉぅぅ」
「もう一回、バッチコーイ!」
「お、ぉぉぅぅ」
「だめだなあ二人とも...こりゃあ先が思いやられますなあ。王都に着いたら反省会だよ、反省会、わかったかぁ!」
「へぇぇぇぇぃ」




