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1-11 そっち派

【11】そっち派


「パーティー対決?パーティー同士が戦うということ?」

シルキーが尋ねる。

「いや、そうじゃない。どちらが早くラストモンスターを倒すことができるか?という勝負、ではどうだ?。」

ロビンが慌てて割って入る。

「ダンジョンのラストモンスターのいる場所は、他の階層と違って特殊な部屋になっていることが多くて、しかも同時に入ることのできるパーティーは、その入室を条件に、すぐに閉鎖空間になるから、確か一組だけしかチャレンジできないんじゃ?フィッシャー先生からそう授業で習ったはず。」

オードリーもうなずく。

「それにラストモンスターを倒したら、強制的にダンジョンから転移させられてしまうから、交代でラストモンスターに挑むのも無理だし。」

ディーンが、人差し指を立てて横に振った。


「それはそれで裏技があるから大丈夫だ。それにな、よくみろオードリー・クリスタ。いまの俺たちのチームは、2チームだ。」

「えっ?」

オードリーは自分が脱落したディーンのチームメンバーは、パーティー組み式の時は確か4人だったことを思い出した。だが今は8人の大所帯になっていた。

「メンバーが増えてる!」


「そうだ、いまの俺たちは合同パーティーだ。いや、ラストモンスターを倒すために先ほど協定したのだがな。」

「いいのか?」

「校則とか、とくに教頭とかに知られたら罰せられないの?」

「相変わらずお前は応用のきかない人間だな、オードリー・クリスタ。」

「何よ!」

「お前たちは俺たちがこのアルバート王立学園を卒業した後、どうなるか…いや、どうしていくかわかっているのか?」

「卒業後なんて…わたしたちは大魔王や魔王を倒すことを目指すだけでしょ。」

「お前それ本気で言っているのか?」

「あ、当たり前でしょ!そ、そりゃ、わたしたちは、いえ…わたしはまだまだ弱いわ。大魔王討伐どころか魔王討伐も夢のまた夢…そんなことはわかっているけど必死で努力するわ!そうよねロビン!」

「そうだ!僕も剣聖アルクスライン様のような大勇者を目指す!そしてオードリーとシルキーと、他にも仲間を集めて、大魔王を討伐するんだ!」

シルキーも、笑顔でうなづいた。


ディーンは、急にダンジョンの階層中に響き渡るほどの大笑いした。

「何がおかしんだ?」

「いやあすまない…相変わらずだなロビン。だからお前は落ちこぼれなんだ。パーティーを組んで、まさかダンジョンアタックできるまでになるとは正直驚いたのだがな…やはりお前は落ちこぼれだ。まさか剣聖の…大魔王討伐してみせる…などというとは…そのくだりがな。マジかと思っちまってな。ヒヒヒヒヒ!」

ディーンは、ディーンのパーティーメンバーをぐるっと見渡した後、心底バカにしたように、再び笑い出した。ディーンのパーティーメンバーたちも同じように笑い出した。

「何だってのよ!何がおかしいの!」

「いやあ久しぶりに大笑いさせてもらった。腹が裂けるかと思ったよ。すまんすまん。お前らは、そっち派かー。そっち派なら仕方ない。」

「そっち派?そっち派ってなんだ?」

「そっち派?ああ、そっち派の奴らは自分ではわからんか。まあ仕方ない、自覚がないのだから。そっちの奴らは、お前らのようなバカが多いから無理ないがな。」

ディーンは、一度唾を吐き、そのまま嘲るように言った。ロビンたちは、全員きっとなってディーンを睨んだ。

「まあお前らは仲間にしてやってもいいから教えてやろうか。そっち派っていうのはな、勇者ごっこのグループのことを言ってるんだ。」









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