人魔動乱~はじまりの悲劇~
小説に興味を持って初めて投稿してみました。まだまだ未熟で、至らない点も多いことと思いますが、読んだ感想を伝えていただけると、これからの糧として頑張っていけるので何か意見を頂けたら幸いです。
今を生きるものたちにとって解決したくてもなかなかそうもいかない問題は上げれば幾つとなく上がるだろう。これはそんな問題のひとつに焦点を当てたお話である。
野心を持つ者達による陰謀とそれが生む諍いと悲劇と溝。それらに惑わされ生きるもの達。そんなもの達が見るものを我々が見て我々は何を思うか…
ルーベル紀 元年
世界には様々な生き物が生きとし生きていた。人間、ドラゴン、妖精、妖怪、ゴーレム、精霊、鬼、オーク、龍魚、ヴァンパイア、ゴブリン、魔獣、魚人。これら13の主な種族が世界の覇権を巡って争いを絶やすことなくいがみ合い続けた。
世界を創造したとされる絶対神より生を受けた彼らはその永劫の時を常に争いで満たしてきた。だが、それを快く思わなかった者が一人いた。それをはるか天上から見続けてきた絶対神の息子の一人ルーベルである。永らく戦い続けるものたちに対してルーベルは業を煮やし、『リセットウェーブ』を発動させた。
争いを好まなかったルーベルは世界を破滅の手前まで追い込む波を使うことで全ての種族を追い込み、生き残ったものたちでありとあらゆるものが滅んだ世界で互いに協調することを覚えさせ、後の世を互いの種族で手を取り合って良き文明を気づいて欲しいと願ったからである。しかし、幼かったルーベルの計らいは予想以上の被害を生むこととなった…
この波で弱小の種族であったゴブリンはほぼ絶滅し、
知恵なき種族の妖怪や鬼も波から逃れるすべのないことを悟り、その存在をこの世から抹消してしまった。
妖精達も自ら死を選び、妖精に使役されていたゴーレムも同様の運命をたどった。それに追い打ちをかけるように、あまりに水を得すぎたことと、度重なる激流に飲まれた魚人と龍魚もほとんどが死に絶えた。強靭な肉体を持つドラゴンと何者にも精神力で引けを取らなかったと精霊、その狡猾さと生への欲求が高かったヴァンパイアとヴァンパイアに使役されていたオーク、力が劣るとも、その知恵で活路を見出してきた人間と人間に狩られていた一部の知恵なき魔獣は数を大きく減らしたものの、生きることを諦めず、ルーベルの願った互いに協調して築き上げる未来に少しずつ近づけていった。
ルーベルの勝手な行いに怒った絶対神はルーベルを永き眠りにつかせ、地上にその身を封印した。ルーベルが起こしたこの事変により大きく変わった世界から始まる新たな歴史はルーベル紀と呼ばれるようになり、この神話が民衆に認知されるようになったのはちょうどその事変の375年後のことである。
ルーベル紀 1401年
この時代には生き残った種族等の生活圏がかなり確立されてきていた。人類は脅威の繁殖力で数を再び増やしていったが、大きく数を減らしたドラゴン、精霊、オークは自分たちだけで生活するのは困難と判断し、人に似せた姿に進化して人間との関わりを作り上げてこの世に順応していった。ヴァンパイアは人間に並ぶ繁殖力で数を増やし、その狡猾さから知恵なきオークたちから頼られ、恩を売って使役することで新たな地位を擁立していった。妖精の末裔たちは人の外見をしていることから『精人』と呼称され、ドラゴン、オークらの末裔も『龍人』、『力人』と呼ばれるようになった。ヴァンパイアは元から外見が翼と牙以外は人間によく似た容姿をしていたため、時が経ってもヴァンパイアという種族自体はあまり大きな変化を見せることは無かった。人間たちはその知恵のおかげででどこよりも文明の発展はめざましかった。高度な科学技術を持って発展を遂げ、その技術を他種族に共有することで関係を築き上げてきた。一方で妖精やドラゴンはもともと水や風といった自然の力を利用する術をその身に宿しており、これを末裔たちは更に発展させ、後に魔法と呼ぶようになった。オークやヴァンパイアも微小ながらもその力を有していたが、自慢の怪力で事変の後の混乱の時を粘り強く生きた。
人間は技術と、動物と呼ばれるようになった魔獣の労働力を。精人と龍人は魔法の力を。オークとヴァンパイアは強大な怪力を。それぞれの種族に共有することで互いを助け合って世界の均衡を永きにわたって保ってきたのだ。
たが、その均衡はある日の事件によって事も簡単に崩壊した。
何者かが、ヴァンパイアのトップを暗殺したのだ。現場に残された証拠からそれは龍人の仕業だと断定されたものの、龍人たちは人間たちによって脅され、やらざるを得なかったと主張。当然人間たちは否定したものの、抵抗虚しく、怒り狂ったヴァンパイア達による人間の殺戮が開始された。龍人の行為を、人間による指示だからといって許すことが出来ないと言った考えを持ったものも多かったため、同時に龍人達にも同様の制裁を下そうと、活動を開始した。龍人は繋がりの深かった精人と共に必死に抵抗し、力人はヴァンパイアと共に人間と龍人、精人を攻め続けた。ヴァンパイアと力人による一方的な攻撃に対抗すべく、人間たちは兵器を用いて、それぞれの領土を分断し、互いに侵入を許さぬ環境を作り出してしまった。5つの種族によるこの争いは人魔動乱と呼ばれ、世界は再び最悪の方行へと進みつつあった…
だが、そんな時代の中でも他種族との協調を諦めぬものたちもいた。そんなもの達は過酷な時代への抵抗を忘れることなく一心不乱に生きている。そのものの中には少し変わった1人の少年がいた…
基礎となる世界観をまず初めに書いてみました。ここから主人公たちによる物語が始まります!次回以降からは様々なキャラクターたちによるお話が展開されていくのでご期待ください!