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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

すっぱい葡萄

作者: きつね耳モフモフ

おぎゃぁ。とは云わない。

私は依代として創られたらしい。因みに依代というモノは、

中身が空っぽの容器の様なシロモノである。本来ならば。

人間なら人間の。動物なら動物の形を模ったソレは

術者が自らの分身なりを宿らせ給うが為の乗物でもある。

 でもさふつーはさぁ。そういうモノって無機物で造らない?

なんでよりにもよって生きてる動物で実践すんのかな

      ねぇ。ゴシュジンサマ? 

 ある日ある朝起きたれば。私は何処か見慣れた

この世界の片隅の深淵なる森の奥の小屋で産声を上げていた。

悲鳴というか絶叫じみた絹を切り裂く様な叫び声は

どう鑑みても人間のソレでは無かったのだけれども。

枯れ木みたいなやせ細った両腕の中から抜け出すだけでも

一苦労して。己の毛深い細腕が視界の中に入って来た時には

あんぐりと大口を開けて絶句せざるを得なかった。

異世界転生キタコレ。とか一瞬でも思った私はがっかりだよ。

『依代』転生だなんてつくづく憑いてナイ。

 そう。あくまでも私は『依代』なのだ。御主人様が逃走するという

目的の為だけに創られた命のマガイモノ。

なにやらかしたかは知らないけれど森の奥のポツンと一軒小屋に

軟禁状態に陥ってた魔女さんが私の製作者ではあるらしいのだけど。

 ツンツンと彼女(・・)を前脚で突っ付いても返事は無い。

何でかって?言わせんな。・・・死んでるからに決まってるからさ。

但し、中身たる『魂』は死んでない。『私』の中に居る。ホラーか。

死ぬ死ぬ詐欺っつーの?ホントは死んでないのに死んでるのよ。

 ほんま、この後どないせいっつーの。丸投げかよ。

 因みに『依代』になってるこの魅惑の身体(ボディ)なんだけれどもさ。

『使い魔』とかじゃなくて、まさかの『ペット枠』で御座いました。

 ちんまいネズミとか連絡とか偵察用の鳩とか狩人な鷹とか

梟とか黒猫とか番犬代わりの森林狼なんかはもっての他。

空飛ぶ箒すら禁じられてた魔女さんがごねにごねて獲得したらしい

犬でも猫でも無いちんまい素敵なナマモノを素体にしております。

 未だに私の中でご就寝中らしいご主人様の魂に一言モノ申したい。

何故私をこの世に産んだ。鬼かアンタは。

 どうせ用が済むまでの短い生命だろうけど私の役目はただ2つ。

「なんだ。単なるペットか。」と鑑定されて捨てられるだけの

簡単なお仕事と逃走用の脚で御座いまするけどっ。


 選りに選って素体が『キタキツネ』ってどーゆーワケなのさっ

元々は続き物として構想してた物の残照。続かないので短編にした。多分この後中身の魂が何か別のモノに乗り換えしたらその場から脱兎の如く逃走する予定。因みに雌。

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