ヤンキーの心は薄情
澤田が歩く道はいつのまにか表道からずれて細い裏道になっていた。裏道は明るく見通しが良い表道と取って代わって薄暗く何となく不気味な感じがひしひしと感じられた。
それでもまるで自分が王だど言わんばかりにズカズカと道の真ん中を歩く澤田の姿はある意味感服する。
手を頭の後ろで組んで、ダルそうに歩くこと、数分。
裏道に澤田以外の通行者が現れた。
ラフそうな服にラフそうな短パン、更にはサンダルと言う、楽を体全身で表すような格好は少々ダサい。顔も普通の中年の顔で特に目立った特徴はなかった。
澤田はちらっとそいつの存在を確認すると興味を失ったかのようにまた視線を戻す。
しかしあのトムとジェリーのトムのようなノリで二、三回見返す羽目になった。
それはその男が、サンタかよと突っ込みたくなるぐらい大きな袋を抱いていたからだ。そしてその袋の中身がなんとか逃れようと必死に手や足を動かしている人間だと言うのが袋越しからでも分かった。
男はまるで周りを警戒せず、即座に道の曲がり角に消えてった。
それを一部始終見ていた澤田はあいも変わらずすまし顔。なんとも薄情な奴である。
しかも助ける気なんて無いと道も変えずいつもと同じ登校路を歩く。
これは偶然で、別に助けようとしたわけではないが同じ曲がり角を曲がる。
たまたま、そっちの方向にある駄菓子屋に寄ろうと思っただけで、道は変えていないと自分の心にいいかせる澤田であった。