表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
浪人異世界転生伝  作者: クレイ
1/3

浪人生が異世界転生することに

その時間が来るとぼくはパソコンを開き、パスワードを打ち込んで一見すれば意味のない数が載っているサイトにアクセスした。そして、予想通り、ぼくの探していた番号はなかった。

落ちたことはわかりきっていたが、こうして確定するとやはりこたえるものらしい。

ぼくは深々とため息をつき、下の階にいる母親の、楠木 陽子のところに報告にいった。


ダメだった、とぼくが言うと、母は先程のぼくのため息に負けないほどの深いため息をつき、まあ仕方がないわね、後期頑張りなさい。と言って台所の方へ行ってしまった。


ぼくはその後ろ姿をしばらく見つめていたが、首を振って二階の部屋に戻り、予備校の用意を持って台所にいる母に「予備校に行って来る。」と言って家を出た。返事は、なかった。


電車に乗って、予備校の最寄りの駅に着いた。しかし電車を降りてぼくが向かったのは予備校とは逆の、図書館の所だった。


そう、ぼくは本来浪人生としてするべき勉強を放棄して、図書館で世界の文学の名作を読むことに時間を費やしていた。ゲーテ、ドストエフスキー、トルストイ、ディケンズ。このような本を読むときぼくは浪人生であることを忘れることができた。つまり現実逃避ということだ。そして今日もまた、その現実逃避をしようと図書館へ向かっていた。それはいつも通りのはずだった。


しかし、やはりぼくは落胆していたらしい。車通りの多い横断歩道で、信号無視をするという今時小学生でもやらないようなミスを犯した。そしてそのことに気づいた時にはもう巨大なトラックが眼前にせまっていた。体が宙に舞い、地面に叩きつけられる感覚があった。不思議と痛みはなかったが、自分は死ぬ、ということはなんとなく理解できた。そしてぼくの意識はブラックアウトした。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ