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百合っと皇女の猫  作者: WAKA
35/36

アリレリア 6

「なにをするんですの?」


「いいから。あ、手は私の後ろに回しておきなさい。落っこちないようにね」


「ええ」


私の膝に座ったアウレリア。

私は彼女のわき腹に手を添え、彼女は私のうなじに腕を回す。こうすると、互いの距離がぐっと縮まる。


「ねえアウレリア」


「はい?」


「果物食べない?」


「え? えぇ。いただこうかしら」


「なら、私が食べさせてあげるなら、言った通りに食べてみてよ。どう?」


「よくわかりませんけど、アリスがそう言うなら。あなたの言う通りにいただきますわ」


「いい子ね」


ちゃんと言えたのだから、ご褒美をあげないといけない。

アウレリアの髪を撫で、頬に軽く口づけをする。


「じゃあ、これから始めましょうか」


フルーツ皿からチェリーをつまむ。ヘタを取り、ビー玉のように小さな果実をアウレリアの唇の前に持っていく。


「唇を使って挟んでみて」


コクリと頷いたアウレリアは上下の唇を使い、果肉を挟んだ。


「ふふ」


アウレリアの両頬を包み込む。


唇が触れるか触れないかの距離を保ちつつ、ゆっくりとチェリーに顔を近づける。「んっ」と呟いたアウレリアが体を強ばらせた。キスをされると思ったのだろう。


でも違う。私はただ、顔を近づけて僅かな吐息を彼女の唇に向けるだけ。


アウレリアの煌めく瞳がこちらに向く。不安と戸惑いの色が光っていた。


「ふっ」


「んっ!」


吐息で焦らした後、息を吹き掛けたら体が跳ねた。


「動いちゃだめよ」


ペロリ、と出した舌で、チェリーの皮を舐める。決してアウレリアの唇には触れないように、慎重に舐めた。

最初は瞳を大きくしていたアウレリアも、やがては目を閉じて静かな吐息を吐き出した。はぁはぁ、という呼吸が、唇と唇の間で交わるが、唇同士は触れない。私とアウレリアの吐息に挟まれた果実が、甘い匂いを発している。


私が舌で果実をねぶる音、呼吸のリズムだけが響く。


軽く舌を這わせつつ、ときどき「チュッ」と吸い付いてみる。薄皮からほんのりとした甘味が伝わってきた。


「はい。食べていいわよ」


ひとしきり舐めたチェリーを指でつつき、アウレリアの口に押し込んだ。


「んっ、あーーはぁ。なんですのこれは。普通に食べさせてほしいですわ」


「あら、文句でもあるの?」


アウレリアのわき腹や二の腕を優しく擦る。指を服に這わせると、シュルシュルと衣が擦れる音がした。


「んうっ! あうっ!」


アウレリアは、ゾワゾワと迫る快感に全身の毛を逆立て、腰をくねらせた。儚くもむず痒い、抗いがたい快楽が突き抜けていく。

柔らかくも温かなアリスの手つきが、心を揺さぶる。


「はあっ、んっ! ちょっと! くすぐったっ、はぅ、はぁぁ」


「次も食べる?」


「食べます、からっ、やめっ、はっ、はぁはぁ、もう」


手を離すと、アウレリアの体から強張りが溶けた。

恨みがましい視線は無視する。

口ではなんだかんだと言っても、こうゆうのが好きなのはよく知っている。


「じゃあ次はキュウイにしましょうか」


・・・・・・・・・・


【ここからアウレリア視点】


「え・・・・・・」


キュウイは苦手だ。酸っぱいし、ブツブツとした種の食感も好きじゃない。


「キュウイは、ちょっとーー酸っぱくて」


「あんたねえ、城で出されてるキュウイが酸っぱいとか言ってたら、庶民が食べてるキュウイなんて食べられないわよ。贅沢言ってないで食べなさい。体にいいんだから」


アリスは眉をひそめ、キュウイの皮を向いていく。やがて緑色の果肉が露になり、「ほら」と目の前に差し出された。

食べたくない。

そう言っても許してくれなそう。すがるような目をしてみるけど、目を細めて睨まれてしまった。ちょっとだけアリスが怖い。


「食べなさい」


ズイ、と押し出される。


「うっ」


諦めてそっと唇で触れてみる。苦手なものを、いきなりガブリとはいけないもの。


「うぅぅ」


ちゅ、と唇に感触が伝わってきた。


表面だけでも、すごく酸っぱい。

お口の中に、ジワジワとだ液が溢れる。舌で触れてみたら、押し返されるほどの弾力がある。果肉の中にたくさんのお汁が詰まっている証拠だ。

これをお口いっぱいに頬張らないといけないのだ。そうしないと、アリスは許してくれない。

なかなか一口頬張る覚悟が決まらず、ちゅっちゅっちゅ、と吸い付くだけになってしまう。


「なにをもたもたしているの。ほら口を開けなさい」


「はもっ! んちゅっ!?」


無理矢理押し込まれてしまった。お口いっぱいに頬張った驚きのまま思わず、


くちゅり、と果実を噛んだ。


「んん! うぅぅぅぅ」


お口の中に特有の酸味と食感、さらに香りまでもが広がっていく。

舌がひきつき、だ液がどんどん溢れ出てくる。


酸っぱい、それに気のせいかも知れないけど苦味も。果肉が舌の上で転がるたびにお口の中が大変なことになってしまう。少し噛んでみると、ぬるぬるとしたお汁が滲み出てきた。


「あっ、はあっ」


衝撃に瞳を閉じた瞬間、目尻には涙が溜まり始める。

駄目、吐いてしまいそう。


「私の目をみて」


「んむ、んぅ?」


「しっかり味わって飲み込みなさい。あんたが食べ終わるまでずっと見ていてあげる。お返事は?」


とても口を開けない。開いたら吐き出してしまいそうだから。

片手で口をふさぎ、必死にコクコクと頷くと、アリスは嬉しそうに微笑んだ。


「いい子ね。頑張るのよ」


アリスが頑張りなさいと言ってくれた。

それだけで、勇気が湧いてきた。


ここで頑張れば、また頭を撫でてもらえる。キスをしてくれるかもしれない。


ーー頑張りませんと、しっかりするのですわアウレリア。この程度で


自分を叱咤激励する。


意を決して噛み締めると、お口の中にお汁がたくさん溢れた。

構わずに噛み続ける。

酸味も香りも気にしない。


「うっ」


ちょっとエヅくくらい、なんでもない。

このまま一気に飲み込んでしまおう。


「んくっ」


背中をのけ反らせて飲み込んだ。このくらい勢いをつけないと、とても飲み込めなかった。

自分でも聞こえるほど、コクン、と喉が鳴った。

プルプルになった果肉が喉の奥に入っていく。酸っぱいお汁も、たくさん出てしまっただ液も、なにもかも飲み込んだ。


「ぷはっ、はあっ!」


潜水から浮上したかの如く、息を吸い込む。


やった! やりきることができた!


「偉いじゃない」


アリスが誉めてくれた。背中をのけ反らせた時も、きちんと支えてくれた。

なんだかんだと言ってもやっぱり優しい・・・・・・あれ? どうしてアリスは口いっぱいにキュウイを頬張ったの?


「あの、アリス、まさか」


「ふふ、これでキスをしたらあんたはどんな顔するのかしら」


想像しただけで、背筋にゾワゾワと悪寒が走った。


「アリスおねが、いですわ。それは、やめて」


「ふふ、苦しそうなあんたの顔見るのが楽しみだわ」


がっしりと強めに頬を包まれた。


意地悪い微笑みを浮かべたアリスの唇が迫って、そして・・・・・・


これがアリスだ! どーん


ただ果物を食べているだけだから健全ですね

うん、これなら大丈夫ですね


本編は終了してしまいましたが、こちらはずっと続けていきます!

今後ともよろしくお願いします!

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