喫茶『渡り鳥』開店です
営業時間は朝の六時から夕方の五時まで。
喫茶店にしては少し閉まるのが早い、そんな程度。
そんな新しい喫茶店のマスターは、まだ年若い青年……いや、少年だ。
別にオシャレ街でも学園近くにあるわけでもないので、少年だろうが女性の人気を集めるといった事はない。
年が若いというのはむしろ不利。
一般的に見て治安は悪くはないが、良くはない。世間からは悪いと認識されていて荒くれ者が集う、そんな一角。
右隣は武器屋。左は道を挟んで、雑貨屋。ただし、狩人専用店。
正面は、この街の総ギルド支部。
総ギルドとは狩人、冒険者、行商人と様々な職業が利用する場所だ。主に世界を旅する者が多い。
基本荒くれ者が多いが、商人も結構いるのでイメージよりは落ち着いた場所なのだが。
ただし、それはあくまでイメージよりも、という前提がつく。
街の中心街や、普通の居住区に比べれば明らかに治安は下がる。
商人でも、利用するのはほとんどが行商人や、狩人や冒険者目当ての商品を扱うものたちであるのが常識だ。
そんな物々しい区画。
「よし、開けるかっ!」
それでも、マスターは元気いっぱい笑顔満点でオープンの札を掛ける。
ごく普通の喫茶店『渡り鳥』本日開店。
さて、今日はどんなお客様が来るだろうか。
一気にほのぼの仕様になりました。