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0 エピローグ
意識が戻ってくる。
夢であるようにと願いながら目を開けると見えたのは昨日から泊まっている宿屋の天井だった。夢であってほしかった、と思いながらも現実であると認めるために重い体を持ち上げた。
床には散らばる様々な武器。それらを一つづつ手に取りながら調子を確かめる。シンプルなつくりの鋼鉄のハンマー。どす黒い色の双剣。すらりとのびる白い刀。そして、真っ赤な和弓。
この世界で生きるようになってから毎日使い続けてきた弓は今日も異常はなく、俺に元の世界に帰る勇気をくれた。
右手を横に動かすと出てきた亜空間に荷物をすべて放り込み、昨日の夜にくんでおいた井戸水で簡単に顔を洗うと動きやすいいつもの装備に着替えた。
いったいいつまでこんな生活を続ければいいんだと考えながら、俺はこの世界に召喚されたときのことを思い出していた。