おめでとう!
楽しい学園生活。夢のような学園生活。
俺はそんな学園生活を満喫していた筈だ。なのに、何処かで「このままでいいのか」
という不安が心を支配していた。
――本当にこのままでいいのか?
目覚ましがなり響き、ベッドから起き上がると普段通りに準備を済ませ
幼馴染と共に学校へ行く。
そうそう、転校生がいたがあれは別のクラスだった。あの時の転校生の発言は気になったが
特に何も接触はない。もしかしたら、俺に言った訳ではないのかもしれない。
勘違いか、恥ずかしい。
時は容赦なく過ぎていく。
学校を卒業し、社会人になって結婚して家庭を築き、老いていく。
65歳になったころ、私は自宅の倉庫から一冊の本を見つけた。
表紙は銀色で、タイトルなどは何も書いていない。
ただ、何か懐かしい感じがした。
「……はは」
私は本をそっと戻しながら笑みを浮かべた。
知らない方がいい事だってある。きっとこの本は読まない方がいい。
直感で私は思った。
「さて、孫の顔でも見て来よう」
私は倉庫の扉を閉め、孫の元へと向かった。
私の人生は決して悪いものではなかった。
――これでいいのだ。
完
無事完結できました。ありがとうございました。
ここまで頑張ってこれたのも、みなさんのアクセス数のおかげです。
それだけを気力の元に頑張ってきました。
それではさようなら。おめでとう。