学園生活!
多くの恵みを受けた星「地球」
多くの生物が誕生し、進化していった。
そして人間が生まれ、科学が発展し、地球は姿を変えていく。
――2011年、東京。
ある住宅街の一軒家に住む一人の青年。名前は新藤 信。年は17歳。
空色学園二年の生徒だ。
目覚ましが鳴り響き、信は目を覚ます。
「寝たりねぇ……でも、行かなきゃ……ぐぅ……」
目覚ましを止め、ゆっくりと布団に潜り込む。
「こらっ! 起きなさいっ!」
信の頭にチョップがさく裂する。
「う……なんだぁ?」
信が頭をあげてみると、そこには幼馴染の「あやか」がいた。すぐ隣の家で、屋根伝いに信の部屋に忍び込み
よく信を起こしに来てくれる可愛い幼馴染だ。
「おまえ、年頃の男の部屋に勝手に入ってくるのは、もうやめてくれよ」
「何言ってるの。信がちゃんと起きないからでしょ。私はおばさんから信をよろしくって頼まれているんだから」
「なんだそりゃ」
頭をぽりぽりと掻いてしぶしぶ信は起き上がる。
「おい」
「何?」
「今から着替えるんだけど、俺の裸そんなにみたいのか?」
「!? ば、バカっ!」
あやかはその場からそそくさと退散する。
「ふぁぁ~、眠い」
大きく欠伸をしながら信は学校へ行く支度をする。
母の作った軽い朝食を済ませ、家を出るとあやかともう一人女の子が待っていた。
「おっす、信! 今日も冴えない顔してんな!」
そう元気に挨拶したのは、もう一人の幼馴染「佐藤 朱音」だった。
三人は昔から一緒で同じ時を過ごしてきた。
「なぁなぁ。知ってるか? 今日さ、転校生がうちのクラスに来るらしいぜ」
朱音はわくわくした顔で言う。信とあやかは、転校生が来るというのは、初耳だった為に詳しく話を聞く。
「いや、詳しくは知らないけど」
「なんだよー。男か女かぐらい調べとけよなー」
「信は女の方がうれしいもんな」
「は!? 女になんか興味ねーし!」
少し顔を赤らめて信は反論する。そんな姿をみて朱音はにやにやとして、次の言葉を放った。
「あやかちゃんの事はどうなんだよ」
「は?」
「え……」
その言葉に、信とあやかの歩みが止まる。
「好きなんだろーあやかちゃんのこと。付き合っちゃえよー」
「ちょ、ちょっと朱音ちゃん。何言ってんの!」
「は、は~? きょ、興味ねぇし全然!」
信は必至に否定する。その言葉を聞いたあやかの顔は悲しそうだった。
「何きょどってんの? やっぱり好きなんじゃん!」
「も、もういいよ朱音ちゃん」
あやかが止めに入る。それでも朱音は止めようとせず
「それじゃーあとは若いお二人に任せて私は退散しましょうかね。じゃー先行ってるよー」
朱音は走り去ってしまう。あとに残される気まずい雰囲気の二人。それを繕うように、あやかは話し始める。
「もう、朱音は何言ってんだろうねー。私たちが付き合うとかそんなのあるわけないのにね」
「あぁ、当たり前だ。天地がひっくり返ってもあり得ない話だ」
「そ、そうだよね……」
あやかは悲しそうな表情を浮かべた。
学校に到着し、それぞれが席に着く。一番後ろの窓際の席には、信。その隣には、朱音。
そして一番前の真ん中の席には、あやかがいた。
「で、どうだったんだよ。あの後、仲良くやれたのかよ、おいー」
にやにやしながら、朱音が信に訊く。だが、信は窓の外の校庭を見つめながら朱音を無視する。
こういう時の朱音はしつこく、うざいと感じていた信は関わらないようにしようと決めていた。
「なんだよー。相手してくれよー。寂しいじゃんかよー」
「……」
「ちぇーっ! つまんねぇの」
朱音はふてくされたかのように、机に突っ伏した。
「ん」
校庭を何気なく見つめていると、一人の女子高校生が校門から入ってくるのが見えた。
顔に見覚えはなかった。あれが転校生だろうかと信は考えながら見ていると、その女生徒は二階の窓際から
見ていた信に顔を上げて視線を合わせた。
「う……」
信は気まずくなる。が、即座に視線をそらす事も出来なかった。すると女生徒は鞄から一冊の本を取り出し、掲げた。
「今度は私が助ける番だから!」
女生徒は、信に向かって大声でそんな言葉を叫んだ。
つづく