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寿命一年戦記  作者: フーカ
学園編
12/13

学園生活!

 多くの恵みを受けた星「地球」

多くの生物が誕生し、進化していった。

そして人間が生まれ、科学が発展し、地球は姿を変えていく。


 ――2011年、東京。


 ある住宅街の一軒家に住む一人の青年。名前は新藤 信。年は17歳。

空色学園二年の生徒だ。


 目覚ましが鳴り響き、信は目を覚ます。


「寝たりねぇ……でも、行かなきゃ……ぐぅ……」


 目覚ましを止め、ゆっくりと布団に潜り込む。


「こらっ! 起きなさいっ!」


 信の頭にチョップがさく裂する。


「う……なんだぁ?」


 信が頭をあげてみると、そこには幼馴染の「あやか」がいた。すぐ隣の家で、屋根伝いに信の部屋に忍び込み

よく信を起こしに来てくれる可愛い幼馴染だ。


「おまえ、年頃の男の部屋に勝手に入ってくるのは、もうやめてくれよ」

「何言ってるの。信がちゃんと起きないからでしょ。私はおばさんから信をよろしくって頼まれているんだから」

「なんだそりゃ」


 頭をぽりぽりと掻いてしぶしぶ信は起き上がる。


「おい」

「何?」

「今から着替えるんだけど、俺の裸そんなにみたいのか?」

「!? ば、バカっ!」


 あやかはその場からそそくさと退散する。


「ふぁぁ~、眠い」


 大きく欠伸をしながら信は学校へ行く支度をする。

母の作った軽い朝食を済ませ、家を出るとあやかともう一人女の子が待っていた。


「おっす、信! 今日も冴えない顔してんな!」


 そう元気に挨拶したのは、もう一人の幼馴染「佐藤 朱音」だった。

三人は昔から一緒で同じ時を過ごしてきた。


「なぁなぁ。知ってるか? 今日さ、転校生がうちのクラスに来るらしいぜ」


 朱音はわくわくした顔で言う。信とあやかは、転校生が来るというのは、初耳だった為に詳しく話を聞く。


「いや、詳しくは知らないけど」

「なんだよー。男か女かぐらい調べとけよなー」

「信は女の方がうれしいもんな」

「は!? 女になんか興味ねーし!」


 少し顔を赤らめて信は反論する。そんな姿をみて朱音はにやにやとして、次の言葉を放った。


「あやかちゃんの事はどうなんだよ」

「は?」

「え……」


 その言葉に、信とあやかの歩みが止まる。


「好きなんだろーあやかちゃんのこと。付き合っちゃえよー」

「ちょ、ちょっと朱音ちゃん。何言ってんの!」

「は、は~? きょ、興味ねぇし全然!」


 信は必至に否定する。その言葉を聞いたあやかの顔は悲しそうだった。


「何きょどってんの? やっぱり好きなんじゃん!」

「も、もういいよ朱音ちゃん」


 あやかが止めに入る。それでも朱音は止めようとせず


「それじゃーあとは若いお二人に任せて私は退散しましょうかね。じゃー先行ってるよー」


 朱音は走り去ってしまう。あとに残される気まずい雰囲気の二人。それを繕うように、あやかは話し始める。


「もう、朱音は何言ってんだろうねー。私たちが付き合うとかそんなのあるわけないのにね」

「あぁ、当たり前だ。天地がひっくり返ってもあり得ない話だ」

「そ、そうだよね……」


あやかは悲しそうな表情を浮かべた。



 学校に到着し、それぞれが席に着く。一番後ろの窓際の席には、信。その隣には、朱音。

そして一番前の真ん中の席には、あやかがいた。


「で、どうだったんだよ。あの後、仲良くやれたのかよ、おいー」


 にやにやしながら、朱音が信に訊く。だが、信は窓の外の校庭を見つめながら朱音を無視する。

こういう時の朱音はしつこく、うざいと感じていた信は関わらないようにしようと決めていた。


「なんだよー。相手してくれよー。寂しいじゃんかよー」

「……」

「ちぇーっ! つまんねぇの」


 朱音はふてくされたかのように、机に突っ伏した。


「ん」


 校庭を何気なく見つめていると、一人の女子高校生が校門から入ってくるのが見えた。

顔に見覚えはなかった。あれが転校生だろうかと信は考えながら見ていると、その女生徒は二階の窓際から

見ていた信に顔を上げて視線を合わせた。


「う……」


 信は気まずくなる。が、即座に視線をそらす事も出来なかった。すると女生徒は鞄から一冊の本を取り出し、掲げた。


「今度は私が助ける番だから!」


 女生徒は、信に向かって大声でそんな言葉を叫んだ。


 つづく

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