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寿命一年戦記  作者: フーカ
ファンタジー編
10/13

読死本第一巻【白の書】

 国家軍一級兵士、世界中から選りすぐられた最強の兵士。

しかし、そのほとんどが史上最強の生物「佐藤 朱音」によって戦闘不能へと追いやられた。

現在残る一級兵士はたったの二人。如月 ユキをさらった冷酷で残酷な男NO9「ランテーン」と

未だに姿を現さないNO2のみである。


 そして、今まさにランテーンは最大のピンチを迎えていた。

如月 ユキを奪い返しに来た信に世界政府が壊滅させられたら、ランテーンの立場はなくなる。

地位も名誉も消え去ってしまうのだ。


「ランテーン! 貴様の責任は重大だぞ! わかっているのだろうな?」


 クレイが声を荒げる。


「は、はい。もちろんです」

「ならば、あの男をなんとかしろ! 息子がやられる前に!」

「わ、わかりました」


 ランテーンは信のいるエリアへと向かう。その間にどう信と対峙すれば良いか

「何もせず相手を地面に伏す」能力を持った相手にどう太刀打ちできるのかを考える。


「やはり、これしかないか……」


 ランテーンは懐から一冊の本を取り出す。それは紛れもなく――読死本第一巻【白の書】であった。


 場面は変わって、大森林「ボス」中央部。朱音に倒されたキリヤとレイアが目を覚ましていた。


「あの娘、化け物だったわね。どんな攻撃も全く効かなかった。リコとどっちが強いのかしら」

「……」

「あら、キリヤ。珍しく悔しそうな顔しているわね。そうよね、誰かに負けたのは「2度目」ですものね」

「……3度目だ」

「え、そうなの? あの化け物とリコの他に誰に負けたのかしら」

「……空飛ぶ男だ」


 キリヤは上空を見つめる。風で森がざわめいていた。


 

 世界政府最上階一歩手前にて、信とシレンの戦闘が始まっていた。

フロア中に風を切る音と突風が吹き荒れる。その中央には信唯一人が立っていた。


「へへーんだっ! 僕の速さに全くついてこれないでしょ!?」


 シレンの姿は見えないが、声だけが届く。


 シレンの持つ金の書の能力、それは光の如き速さを発揮することの出来る能力。誰もシレンの速さには追いつけないし、触れる事も出来ない。そしてシレンには、他の人間の動きがスローモーションのように見えた。


「確かにすごい。たぶん無敵の能力だろうな、俺が相手じゃなければ」

「へんっ! 何を負け惜しみを!」

「いや……、お前の能力は俺の能力の前では無意味なんだよ」


 そう言うと、信は本を開き右腕を天に掲げた。それと同時にシレン姿があらわになる。


「な、なんで……」


 シレンは動きを止め、地面に伏す。それは、今までに信と対峙した者全ての末路。


「俺の能力は重力を操る事。重力を0にして空を飛ぶ事も出来るし、自分以外の重力を通常の何倍にもして

相手の動きを封じる事もできるってわけだ」

「う、うぅ……」


 シレンは地面に伏したまま泣く。負けたという事は死を意味する。またモニターを見ていたクレイもわが息子の敗北に絶望していた。


「安心しろよ。お前も助けてやるから」

「――え?」


 信は早々にその場を後にする。シレンの持つ読死本を奪う事もなく。



 一方その頃、ランテーンは白の書を開いていた。偶然手に入れた、白の書。ランテーンは、読死本を読めば

一年で死に至るというルールを知っていた為に今まで、読まずに隠し持っていた。だが、それも終わり。

自分の立場が危うくなり、頼れるのは読死本だけとなった。


「フ、フフ……だ、大丈夫だ。すでに此処には四つの読死本が揃っているじゃないか。

 残る一冊を一年以内に集める事など容易い事だ。さぁ、どんな能力を与えてくれる?」


 【Foreword】


 ■貴方の余命はあと一年となりました。


 この本【読死本】第一巻を手に取って頂きありがとうございます。

読死本は読んで字の如く、読めば死ぬ本です。ですがご安心下さい。

猶予は一年間あります。


 読死本のルールに従い目標を達成出来た場合に限り、貴方の命は助かります。

しっかりと読死本に目を通し、熟読し、自分の命をお守り下さい。


【It is a rule of the book to die when reading】


 ■ルールを守り、明るい未来を手に入れましょう。


【1】本を読んでから一年以内に残りの読死本四冊を手に入れましょう。

それが唯一死から逃れる方法です。


【2】残りの四冊はそれぞれ銀の書(第二巻)黄の書(第三巻)

黒の書(第四巻)金の書(第五巻)となります。


【3】本書の能力【他マスター権限の破棄】は絶大な為、24時間に一回の使用制限を定めてあります。


【4】それぞれの読死本には特殊能力が備わっています。


【5】読死本の持ち主(以後マスターと呼ぶ)が存在している間

他者が読んでも真っ白な本にしか見えない。


【6】読死本はマスターがいない状態で手に入れなければならない。

持ち主不在の読死本を集めなければならない。


【7】24:00~1:00の一時間は読死本はただの本と化す。

その為能力は使えなくなる。


【8】読死本は他マスターの居場所を探知する能力を有している。


【9】読死本の破棄は不可能。


【Postscript】


 それでは、命をかけたゲームスタートです。



 読死本を読みながらランテーンは、不気味な笑みを浮かべた。

ランテーンが注視する、読死本第一巻「白の書」の能力が詳しく書かれたページ。


【他マスター権限の破棄】


【1】この能力を使用された他マスターは24時間、マスター権限を失い能力も封印される。


【2】権限を失ったマスターは24時間後に新たに読死本を読まない限り、権限は戻らない。

   しかし、死の呪いから逃れる事は不可能。


【3】効果が絶大な為、使用は24時間に一回限りという制限付き。



 ランテーンは踵を返し、如月 ユキの元へと戻る。能力の効果を確かめる為に。



 信が世界政府に乗り込んでから一時間後、世界政府の前に佐藤 朱音とクインツェは立っていた。


「この中に全ての読死本が揃っていますね」


 クインツェは読死本のマスター探知能力を使って、この場所を突き止めた。


「じゃー、もうすぐエンディングで夢は終わりっぽいな!」


 ――役者は揃った。

次回投稿は少しお時間を下さい。すいません。

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