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おバカな奴ら  作者: ゆかり
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001 俺は馬鹿

001 俺は馬鹿




俺は馬鹿だ。

のっけから何だと思うだろうが、言わせてくれ。

俺は、正真正銘の馬鹿だ。

何故俺が何の変哲もないシルバーのママチャリをこぎながらこんな事を心の中で言ってるかっていうとだな・・・・・・え?別に訊いてないって? まぁそういうなよ。

なんと、な・ん・と、だな・・・・・・


入学式早々、遅刻しそうなのだ!


今、溜めといてそんな事かと思った奴!

それはお前が入学式に遅れそうになった事がないから言えるんだよ!!

この気持ちは実際に体験した奴しか分からないよ・・・・・・

こんな時でも平気な奴は平気なんだろうが、チキンハートのぼくちんには耐えられそうもないよ・・・・・・ぐすん。

てか、寝坊した俺が悪いんだけどさ。

そんな意味不明なことを考えながらも、ママチャリをこぐ足はやすめない。

学校近くの上り坂でラストスパートをかけて勢いづける。

「うおぉぉぉお!」

俺の叫び声に何人かの新入生と思しき奴らが引いていたが、気にしなーい気にしなーい。

そんなこんなで高校初日から息も絶え絶えに校門を潜って、携帯を確認するとあらかじめ知らされていたクラスに集まる時間まであと二分だった。

「やっべ」

俺は慌ててチャリを置くと、鞄を乱暴に掴んで構内に入った。

中に入ると、下駄箱で靴を履き替えてすぐのところにご丁寧に<新入生 教室>という文字と矢印の書かれた看板が立っていた。

うひょーい、気が利いてるじゃん。

すぐさま矢印の方向にある階段を駆け上がって、俺のクラスになる予定の1-Bに向かう。

「えーと・・・・・・1-B、1-B・・・・・・1-B組金〇先生ってか」

意味分からん。

自分で言ってて意味分からん。

大体あれは3-B組だっつーの。

「あ、あった」

最近立て替えられたばっかりと言うだけある綺麗な校舎の中に自分のクラスを見つけて立ち止まる。

少し中をのぞくと、すでに先生が来ていて何やら話しが始まっている。

俺は一瞬、考えたあとすぐに後方のトビラに向かった。

そして、音を立てないようにそっと開ける。

静かに、静かに・・・・・・

俺はそのままそっと見えないように後ろから教室をホフクゼンシンしてみた。

ていうか、俺の席はどこだ?

「何してんだよ、成也せいや

「よお、相棒」

一番後ろの席に座っていて呆れたように話しかけてきたのは、幼馴染権悪友の古川ふるかわ 十矢とおやだ。

ちなみに俺のフルネームは本田ほんだ 成也せいやだ。

てあれ? 誰にせつめーしてんだ俺。

「まさか入学早々遅刻してホフクゼンシンで動きまわるとは・・・・・・限度を超えた馬鹿だなお前」

「うるせいやいっ。余計なお世話なんだやいっ」

若干不自然な日本語だが、気にしなーい気にしなーい。

「そういや、俺の席どこだよ。」

「別にどこ座ってもいいんだと。適当に座れ」

「あいあいさー」

ホフクゼンシンのまま敬礼してまたホフクゼンシンで進む。

空いてる席ないかなー

お、ラッキ。

窓際あいてんじゃん。

何で誰もすわんねーの?

とおもって、その席の横見てなっとく。

なるほど。

こりゃまぁ・・・・・・

そこには時代誤差なリーゼントが座っていた。

「うわっ、なにあんた!」

横の奴に意識を取られていて傷かなかったが、俺がいまホフクゼンシンのまま座ろうとしていた席の前の席の女子が気持ち悪いものでも見るようにこちらを見ていた。

そりゃそうだ。

なんたっていきなり教室でホフクゼンシンしてる奴がいんだから。

あ、この角度パンツみえそうかも。

そう思って覗き込もうとして、即座に顔面に蹴りが入った。

「な、何してんのよ!」

女子生徒は顔を真っ赤にさせてわなわなと震えている。

い、いてぇ。

何も蹴り入れなくても・・・・・・さ。

しかたねぇべ。

俺も健全な男子高校生なんだ。今日から。

「おい、そこ。何してんだ」

と、いかつい声が聞こえた。

「先生!変体が教室にいます!」

え、この女あきらか俺を指差してね?

へ・・・・・・変体って・・・・・・

「いくらなんでもそれはねぇべ」

俺はすくっと立ち上がっていきなり俺の顔面にけりを入れた女に詰め寄った。

「こ、こないでよ変体!」

どごっ!

「がはっ」

まだ何もしてないのに・・・・・・

あくまで、<まだ>だけどね・・・・・・

あまりに綺麗に入った女のパンチに俺はやむ終えなく意識を手放した。



























































































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