照りつける日差し、わずかな違和感
第三話です!他の話もぜひ見てください。コメントも募集中です!
「……暑すぎる」
思わず声が漏れた。一年ぶりの墓参り。気が重いのは、この暑さのせい、疲れたせいだ
——そう思っていたい。
朝食を食べてから一時間も経っていないのに、太陽は真上から容赦なく刺してくるようだ。空には雲ひとつなく、雨どころか風すらない。照り返しを受けた砂利道は白く光り、靴底の裏側までじんわり熱が伝わってくる。周囲に建物はなく、見渡す限り田んぼと畑だけだ。
墓場まではまだ半分。ここからさらに十五分以上歩く。分かっているのに、なにかに引っ張られているように、足が重い。
ふと視界の端で、錆びたブランコが揺れた。風はないのに。ブランコが日差しを反射している。昔、何度も遊んだ小さな公園だ。墓場までの道から少し離れてしまうが、この際仕方ない。
「……無理、あそこで休憩しよ。」
呟くように息を吐きながら言った。公園に入ると、自然と水飲み場へ向かっていた。
水飲み場に向かっている途中、砂場にあったプラスチックのシャベルが目に留まる。無意識に手が動く。拾って、近くの玩具箱に戻す。別に偉いことじゃない。ただ、そうするものだと思っただけ。
シャベルを片付けたあと、ふと空を見た。太陽が眩しいわけじゃない。……ただ、癖だった。何か良いことをしたあと、父は決まって空を見ていた。それを真似している自分に気付き、舌打ちしそうになる。
気を取り直して再び歩き出し蛇口を捻る。蛇口をひねると、勢いよく飛び出した水が手と顔にしぶきを散らす。金属臭と冷たい感覚。火照った体に水が染み込んでいくのがわかった。少しぬるかったが、それでもありがたかった。そうして俺は水を飲み終え、ベンチに腰を下ろす。
「今日もまた暑いなあ」
思わずそんな声が漏れる。こうも毎日暑い日が続くと、雨が恋しく感じる。雨が降ればこのうざったいような暑さも和らぐと思うと、思わず祈らないわけにはいかない。そう思って空を見たが、太陽が照りつけるばかりで、やはり現実は非情である。
耳に入るのはミーンミーンと鳴くセミの音だけ。人影はない。前に来たときより、どこか寂しさをおぼえる。だが、その視線の先。公園の奥に、それはあった。
真っ白な箱のような建物。周囲の景色に馴染む気配もなく、ただそこだけ切り取られて貼り付けられたような存在感。新しいのに、やけに無機質で、静かで。
――まるで息を潜めているようだった。あれが祖母の言っていた新しくできた工場だろうか。そんなことを考えながら建物を見ていた時、なぜか胸の奥がざわついた。
ある一点だけ、空気が他と違う気がした。……“誰かが見てる”ような、そんな感覚がほんの一瞬だけ走った。目を逸らそうとするのに、なぜか視線が外れない。そうして俺はその建物を見つけたまま、気づけば五分くらいたっていた。
俺は、建物から視線を逸らし墓場の方に目を向けた。そしてふっと立ち上がる。あの建物が何か、それは気になる。……いや、ここで立ち止まるわけにはいかない。“久しぶりの再会”をこれ以上先延ばしにするのはよくない気がするからだ。俺は建物に背を向け歩き始めた。公園には、先ほどよりも、祝福するみたいに、俺の気持ちなんて知らない顔で、太陽が強く照り付けていた。
現在、カクヨムをメインに焼きそばにきという名前で行なっています。ぜひそちらの方も見てください。一章は毎日投稿予定です。




