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運命の人は男の子でした【完結済】  作者: 甘語ゆうび
三章【リガルーファル家編】

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昔の自分は自分じゃない

書いててしんどかったです

 ミラーボールがぎらつく薄暗い店内。あるテーブルで、黒髪にピンクのメッシュを入れた女が、男の腕に強くしがみついていた。


「ねぇ美夜、この前返信遅かったじゃん。何かあったの?」

「そうだっけ?ごめん、覚えてない」


 あれは、あれは……


 そうだ。私だ。前世の私、花村絵麻だ。これは、夢、なのだろうか。妙にリアルな夢だ。自分が体験したことだからだろうか。しかし、声を出そうとしても、舌は動かなかった。それどころか、自分の身体すら怪しい。夢ならではの神視点というやつだろうか。


「は?マジで有り得ないんだけど。私言ったよね?LIME送ったらすぐに返してって。しかもあれ既読無視したでしょ?マジで無いんだけど。お前さ、見たならさっさと返せよ。それでもホスト?金もらってんだから、その分ちゃんと返せよ」


 私、本当にこんな発言していただろうか。あまりにも自己中過ぎて見ていられない。


「ごめんって。忙しかったんだって」

「また忙しい?この前もそれ言ってたよね?ナンバー取ってから最近調子乗りすぎじゃない?誰のお陰でNo.2取れたと思ってんの?」

「だからごめんって。次は気を付けるから」

「それも何度目?……はぁ、もういい。今日帰る」


 絵麻はソファを立って、さっさと離れようとした。しかし、その手をホストの美夜が止める。


「待って、ごめん、もうしないから。見捨てないで」

「流石に無理。離して」


 そう言って、絵麻が手を跳ね除ける。それでも、美夜が手を掴んでくるんだ。そして、常套句を言われる。


「俺のこと、信じられない?」

「……そんなこと、一言も言ってない」


 私のことをほったらかしにする美夜に嫌気が差していたのに、私は彼のことを信じていた。当時は盲目だったせいで何も考えられなかったが、今思えばとんだ馬鹿な行為だったと理解できる。異世界に来て毒素が多少抜かれたらしい。


「それじゃ、また来てくれる?」

「……はぁ、連絡、ちゃんと返すなら来る」

「返す!返すから!俺には、絵麻しか居ないから、これからはちゃんとすぐに返す」

「マジで言ってる?」

「マジ!なんなら、ホスト辞めたっていいよ。そして、絵麻と暮らす。一生分遊べる金で、二人でタワマンにでも住もうよ」


(絶対嘘だ……)


 今ならそう思える。だけど、当時の私は、その言葉だけで舞い上がるくらいに嬉しかった。なんで、それだけで嬉しく思えたのだろう。前世の私、絵麻は頬を赤らめ、心からの歓喜を顔に表していた。やはり、私は昔から感情が顔に出やすいらしい。


 絵麻が美夜に抱きついた。

 ──そこで、景色が急に一変する。


(ここは……。セナの家?)


 セキリュティが施されている立派なマンションの一室。テレビにはサブスクで選んだ当時流行っていた邦画が流れていて、それをソファに並んでセナと絵麻が見ている。

 セナは地下アイドルのメンバーの一人だ。握手会の時にLIMEのIDを渡されて、そこから繋がった。結局、都合よく捨てられてしまった。こんなことをする人も居るということが許せなくて、友達から勧めてもらった暴露系配信者にネタとして提供した。配信中、その配信者にもコメント欄にも、ずっと叩かれて、真面目に一週間くらい引きづった。結果として、お互い謝罪して二度と接触しないという話で終わった。しかし、ソファに座っている私はそんなこと当然知らない。この後の余興に胸を躍らせるばかりだ。


「え〜、この女優、この前不倫したって人じゃなかった?」

「え?そうなの?」

「うん。ネットで記事見たもん。なんか最近いい噂聞かないよね〜」

「ふーん。でもさ、ネットの噂なんて、簡単に信じちゃ駄目だよ?」

「はーい」


 なんて間の抜けた返事をして、セナに寄りかかる。かつての自分がそんなことをしていたのかと思うと、とてつもなく恥ずかしい。セナもセナで、絵麻の誘いに応えているようで、彼の手に、自身の手を重ねていた。


(うへぇ〜……)


 これ以上見ていられないと思い、きゅ、と目を瞑る。次目を開けた時、また景色が変わっていた。


(ここは……蓮との待ち合わせかな)


 都内のある駅前、ずっと手鏡を見ながら前髪を整えている私が居た。マッチングアプリで出会った人と初めて会う約束をしていた。


「お待たせ」

「あ、もう!蓮遅い〜!」


 絵麻が可愛子ぶって自分より遅く来た蓮を叱りつけた。年齢は今の私と変わらないのに、ラディとなった私には出来ないことで、ある意味尊敬する。


「今日はどこ行くの?決めてくれたんでしょ?」

「うん。遅刻してしまった分、しっかりと楽しませてあげるからね」


 二人は手を繋いで、駅前から離れていってしまった。追いかけようとしても、身体が思うように動かなくて、上手く追いかけられなかった。そうしてもがいているうちに、また景色が変わっていく。


(今度は何……)


 そこは、かつての私の実家だった。机に置かれたスマホは、ずっと着信音量が鳴りっぱなしだ。絵麻はそれを無視して、ずっとソファで蹲っている。



 私の両親は、いつもそうだ。

よければ、ブクマや評価、リアクション等お願いします。一言の感想だけでも、作者のモチベになります


マジでどうでもいい裏話

夢の時系列、実はかなりバラバラです。正しい順番に直すと、セナ→蓮→美夜の順番になります。ちゃんと二十歳でホストに通ってるので安心してください

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